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第2話 最初の改革は、田んぼから
「……本気で言ってるのか」
役人の声は低かった。
坂井新之助は、正面からその視線を受け止める。
「収穫を増やすと言ったな」
「はい」
「どうやってだ」
空気が張り詰める。
「やり方を変えます」
「……は?」
「田の使い方、水の回し方、植え方。すべてです」
周囲がざわつく。
「百姓が何を言ってやがる」
だが、新之助は続けた。
「このままでは、来年はもっと取れません」
沈黙。
やがて役人は言った。
「……よかろう。ただし一作で結果を出せ」
「増えなければ——責任は取ってもらう」
「分かりました」
―――
「水を引く」
「植え方を変える」
「手間を徹底する」
泥だらけになりながら、村は動いた。
何度も失敗し、崩れ、やり直す。
「これでダメなら、終わりだ」
―――
収穫の日。
「……多い」
明らかに違った。
歓声が上がる。
だがその背後で、役人が言う。
「一部、減免を認める」
——村が救われた。
だが新之助は呟く。
「……次だ」
(売り方も変えないと)
「――次は“市場”を変える」
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