表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

光の趣味

ようやく彼女に認識され有頂天なのに喜びを分かち合えずにいる。

元々報告するつもりはないがそれでも明るく楽しく過ごしたい。

だが間が悪い。らしくなく悩んでいる光の相談に乗ることに。


「それで愛せないってのは? 」

僕の聞き違いでなければそう言った。確かに言ったんだ。

「俺は好きの感情が薄いんだ。どうしたって対象が消えていく」

「それなら心配するな。お前は絵の影響で手段になってしまってるだけさ」

とんでもないことを言うのでとんでもないことで返す。それが僕のやり方。

この場合光が気づいてないことを指摘すればいいだけ。難しいことは何一つない。


「手段? 俺が愛せないのは絵のせいだと? ふざけてるのか? 」

あれ? どうも怒りの感情があるぞ。いつもはただ笑って流すだけなのに。

気になってしょうがない様子。分かる気もする。今回はふざけられないよな。

でもそうでなくてはからかいようもない。

いつものらりくらりとかわしていた奴を思い出すと無性に腹が立ってくる。


「絵に集中するあまり好きでもない者を求めてしまう。

それを繰り返した結果が今だと言ってるんだ」

見て来たような嘘を言う。生意気だが親友だからなこれくらい強く言おう。


光にも悩みがあったんだな。

愛せないのは認識されないより辛いのかもしれない。

可哀想に…… いや真に受けては行けない。

こう言う時もたまにはあった。でも次の日は元に戻り笑って否定する。

だから絶対に真に受けてはダメだ。わざとやっている可能性さえある。


「それかただ愛する対象が変化したとか」

つい核心に触れてしまう。何となくだけど前からそう感じていた。

だがこれは危険な賭け。もしそうなら光の愛する者は身近な男となる。

そんなの僕しかいない。でもあり得ない。あり得ないけどもしかしたら……

おかしいな。つい意識してしまう。もしかして僕まで?

ははは…… それこそありえない。とんでもない仮説だ。

何があろうと僕は彼女を愛してるのだから。


「正直に言ってみろよ」

ついからかいたくなる。でもこれくらいにしないと火の粉が降りかかる。

「そうかもしれないな」

意外にもあっさりと認める。どうしたんだ? らしくない。

やはりどこまでも掴みどころがない。笑ってるがもはや笑いごとじゃない。


親友が違う道を行くなら全力で止めるべき?。それとも素直に応援するべき?

どの道この問題は簡単に解決するものじゃない。

親には無理だろうから教師にでも相談するように伝える。

これで一応はこの話は終わりに。愛が分からないのか対象が分からないのか?

まあどうであれ光は僕にとって掛け替えのない親友。それは変わらない。

たとえそこに愛が加わろうとそれは…… いやいや何を考えてるんだ僕は?

光の冗談を真に受けてどうする? 

とりあえず明日以降も同じ相談するようならその時は真剣に向き合おう。

それがいい。今すぐ結論を出す必要はないんだ。


「そう言えばお前は何でこっちに? 」

気づかれたか? 呼び止められた時に明らかに違う方向に進もうとしてたからな。

どちらかと言うと光の家の方向。でもそれは彼女の後を追いかけたからで。

確かに僕の家とは方角が違うのは確か。だからって正直には言えない。

「ちょっと寄り道。用があったんだ。ははは…… 」

彼女の後をつけようとしたなんて言えない。これでは僕はまるでストーカー。

言えやしない。それが残酷な真実に繋がるとは今は思いもしないだろう。

それにしても彼女はどこに行ったんだろう? まったく手がかりがない。


「まあいいや。だったらクレープを買いに付き合えよ」

強引な誘い。もちろん奴の狙いはクレープ屋のお姉さん。

恐らく二十代の優しくて大人のお姉さんだ。

見てないから予想でしかない。それでも光のことだから魅力的な女性を選ぶはず。

ただ気がかりなのはただのきれいなお姉さんは選ばないということ。

モデルには多少癖のある女性を選んでいた。


笑顔が素敵を通り越して面白い。

豊満なボディーにばかり目が行って肉がつき過ぎたりだとか。

逆に痩せすぎて見ていられないほどの女性。

女の趣味がコロコロ変わる。もはや基準はない。


でも今回は美人で素敵なお姉さん。そんな予感がする。

だってクレープ屋さんなんだぜ。

きっとクレープみたいな甘いもの好きな人は優しくてきれいさ。

そんな勝手な思い込みがある。

では確認と。


「ホラあのお姉さん」

「ううう…… 」

もはや日本人でさえない。確かにきれいだけど。言葉通じるのか?

僕としてはそこが一番大事。コミュニケーション取るのに英語など冗談じゃない。

付き合っても安心して一緒にいられないじゃないか。

超遠距離の恋なんて妄想の類さ。


「まさかこの人? 」

「ああその反応。やめとけって言うんだろう? 」

分かってるのに突っ込んで行こうとする光。その熱意は尊敬すべきだが。


「おおサンキュー! 」

片言の日本語と英語を駆使し笑う彼女。思っていたよりも素敵な人だ。

でも彼女はやめておけ。いつかトラブルになるぞ。

そんな風に注意したいがモデルなら構わないか。付き合わないなら心配ないよな。


うん? またか?

さっきから嫌な視線を感じている。

まるで睨んでいる。どこかは分からないが見られてるような嫌な感じ。

これはもはや気のせいなどではない。


               続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ