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目覚めのキス

ミツキちゃんへの強い想いを封印してまた次の機会。

そんな風に考えていたがどうも彼女の方が止まりそうにない。

「早く! 」

どうやらまだ足りないらしくもっと楽しもうと我がままを言う。

一体どうしたんだ? これ以上は危険だと分かるだろうに。

僕だってここで終えたら欲求不満でどうにかなりそう。

それでもギリギリのライン。これを超えてしまえばもう戻って来る自信はない。


「なあこのくらいで止めないか? 」

「嫌! 最後まで行くんだから! 」

我がままで暴走気味のミツキちゃんも悪くないがもう限界だ。

「最後って…… 冗談だろう? 止まらなくなるって言ってるだろう! 」

つい大声を出す。でも客はもう寝てるか雪女に怯え布団を被ってるかだろう。


仕方なく再びキス。本当なら僕だって続けたいよ。でも無理なものは無理。

突然のことだから準備してるはずがない。

おかしな展開にならないように急いで距離を取る。

だがミツキちゃんが近づくから無意味。

「やめろって! これ以上は危ないって言ってるだろう? 」

「へへへ…… 欲求不満のくせに何を言ってるの元気? 分かってるんだから」

「だからやめろって! 」

逃れようと布団から畳の上に転がるもすぐ壁に当たる。

これでは逃げたくても逃げられない。

ミツキちゃんがあられもない姿で迫って来る

普通逆だぜ? 嫌がる女の子を追いかけるものだ。


「ダメだってミツキちゃん…… 」

拒否したくても強くは出れない。

もうすでに壁に追い詰められて逃げ場がない。

いっそのこと外に出てしまえばいいのだが。

無闇に外に出れば騒がれてしまう。当然光にも気づかれてしまう。

それだけはどうしても避けなければならない。

大人しく抱き合おう。それが大人の対応。まだ高校生だけどね。


「これでいいだろう? 今夜はもうこれくらいで。頼むよミツキちゃん」

「嫌! でも元気がそれがいいって言うなら従う」

唐突に従順で物分かりのいい子へ豹変した。

しつこく求めると嫌われるとでも思ったのだろう。

でも実際はそんなことない。例のモノさえあれば僕だって今すぐにでも。

「だったら抱き合ったまま寝よう」

「おいおい。それはいくら何でも無理だって。苦しくて仕方がないだろう? 」

「いいから! 苦しくなったら離れればいいでしょう? 」

「嘘だろう? 冗談だよねミツキちゃん? 」

「いいから早く! 」

「へいへい。これでいいのか? 」

「だから私に聞かない! 自分で考えて! やる気を見せて! 」

注文の多いミツキちゃん。これは宥めるのにも一苦労だ。

こうして一時間は抱きしめ合った。でもそれが限界。

いつの間にか眠りについていた。


翌日。スキー合宿二日目。

ただスキーに来ただけなのにとんでもないお荷物を抱えてしまった。

ミツキちゃんが夜遅くにいきなり訪ねて来るから参ったよ。

驚いたなんてものじゃない。しかも雪女風の格好だから余計に恐怖を感じた。

そんなミツキちゃんはなぜか夜のうちに戻ろうとせずに一晩過ごす。

そのおかげでいい夢が見れた気がする。

しかも朝の目覚めもすっきり。ミツキちゃんに優しく起こされた。

まるで夢のようだけど現実のこと。でもいつまでもこうしてられない。

もし万が一にでも光に見つかればとんでもないことになる。

急いで帰ってくれないかなと言えば元気のくせに生意気って言うんだろうな。

かわいいけど困った存在。それがミツキちゃんだ。


眠いな…… 昨日は大変だったんだから。

「へへへ…… いい夢見た気がするぜ」

「おはよう元気。どう眠れた? 」

僕よりも後に寝て先に起きたよう。感心する。さすがに自分は真似できない。

「そろそろ着替えようか」

「待って。おはようのキスがまだでしょう? 」

甘えるミツキちゃん。ははは…… まだガキだな。

「その格好でか? 」

誰もが恐れる雪女スタイルで迫るミツキちゃん。

全裸よりはマシだけど上着ぐらい着ろよな。


「おはよう」

そう言うと頬にキスをする。独特のスタイル。

キス好きの自分からすればもったいない限り。

「なあもう一回しようぜ」

つい朝だからと余裕をこく。ミツキちゃんだって断らない。

まずい。冗談のつもりなのに。まさかもう一度始めるのか?

それは願ってもないことだけど。もう間もなく奴がやって来る。

眠れたかと雪女伝説についてあることないこと吹き込む。

どうせ僕が恐怖のあまり逃げ惑う姿を見て満足するんだろうな。

自分の方が怖がりのくせに。本当に困った奴だ。


「ねえ元気! お願い早く! 」

どうやら急いでほしいらしい。どうもおかしいと思ったんだよな。

「待てって! これ以上は危険過ぎる。今は鉢合わせしないようにするのが大切」

「でも…… 」

膨れ顔も何だかか愛らしいミツキちゃん。

こんなかわいいなら文句の一つや二つ聞いてやるさ。

「元気! 」

「ミツキちゃん! 」

再び体を重ねようと言う衝動に駆られる。

だが使者が訪れてはそうはいかないさ。


ドンドン

ドンドン

どうやら光が訪ねて来たよう。

まったくタイミングの悪い奴だ。

二人揃っておかしなことになる前に立ち去らないと。

「どうしようミツキちゃん? 」

情けなくも年下の彼女に頼ることに。まあ仕方ないよね。

「どうするって…… 隠れるしかないでしょう? 」

「分かった。では押し入れに。ミツキちゃんはクローゼットの中にでも隠れて」

急ぐしかない。ここはどうにか脱出しなければ。

逸る気持ちをどうにか抑えて手を繋ぐ。

へへへ…… これは良い感じかな。


「バカ! 元気まで隠れてどうするの? 」

当然の指摘をされてしまう。

いや僕もそこまでバカではない。ただこのシチュエーションを楽しんでいるだけ。

見えないだろうがまだ余裕がある。

「よし。ミツキちゃんは押し入れに。合図があるまで出て来るなよ」


                続く

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