四度目の正直! 結ばれる二人
四度目の正直。ついに今夜二人は結ばれることになるのか?
そう考えるだけで体が思い通りに動かない。情けない話緊張している。
「ほら…… 今回は光だっているし。さすがにまずいよ」
とりあえず説得して様子を見ることに。
ミツキちゃんがどれだけの覚悟か分からない。
自分一人で盛り上がってるだけかもしれない。だから相手の動きを確認。
ここで失敗するとかなり恥ずかしい。
下手すればミツキちゃんにコントロールされてしまう恐れも。
いくら会いたくて追いかけて来たと言っても落とし穴がないとも言えない。
ここは慎重になるところだろう。
「聞いてるのか? 」
「知ってる。でもそれがどうしたの? 」
「いや…… どうもしないけど心配するだろう? 」
「大丈夫だって! それにお兄ちゃんの部屋をノックしたけど反応なかったし」
すると二人は別々の部屋に? ならばリスクはない?
手強いな。説得しようとしても逆に言い負かされてしまう。
どうしてこうミツキちゃんに甘いんだろう? 情けなくなってくる。
光の名前を出してもやる気を失わない。本気度が窺る。
そう言えばミツキちゃんはずっと本気だったっけ。
毎週のようにしつこく迫られてきた。
初めは冗談だと思ったりもした。でもここまで来れば疑いようがない。
僕だってできるなら思いに応えて受け入れたいさ。
告白だって済ました。もう二人の前に立ち塞がるものはない。
後は気持ちだけ。ただその気持ちが問題だ。
これが光だけなら多少気を遣って気づかれないように愛を育めばいい。
でも違う。僕はどうしても碓氷さんが忘れられない。引きずっている。
情けなくて恥ずかしい話だがどうしても碓氷さんへの想いが捨てられない。
こうなったら潔く捨ててしまえばいいのにそれができない。
きっと欲張りなんだろうな。どちらかではなく両方とも欲しいと。
ミツキちゃんにだけ集中できない状況。
「でも光はすべて知ってるんだろう? 」
「まさか元気は怖気づいたの? 」
どうもミツキちゃんは言ってることがオーバーだ。
僕はただ兄妹の関係が悪化しないようにしているだけ。
それをきちんと理解しようとしないから困る。
「ねえそれより私のこと褒めてくれたでしょう? 」
何だか照れながらおかしなことを言う。それはただの聞き違いさ。
「さあ…… 何のこと? 」
「もっとかわいくてもっと純粋でもっと天真爛漫だって言ってくれた! 」
恥ずかしげもなく言いやがった。
堂々と恥ずかしげもなく言うからこっちが恥ずかしい。
ちょっと大げさに言っただけだろう? それでもミツキちゃんが喜ぶなら。
「ミツキちゃんは信じられないぐらいかわいいよ。僕にはもったいない」
つい本気と言うか正直に答えてしまう。
「ありがとう元気! とても嬉しい」
涙まで浮かべるミツキちゃん。何度目だよ?
これはまずいぞ。どうしても強く抱きしめたくなる。もう我慢できない。
「どうしたの元気? 」
近づいたものだから恥ずかしさと驚きで笑顔が消え真顔になる。
それでいい。今はふざけてはいけない。
二人が幸せになるにはもうこの手しかない。
もう自分はミツキちゃんから逃れられないと悟っている。
でもそうだとしても最後まで抵抗するんだろうな。
このままでは確実に彼女を傷つけることにもなる。
「ねえ元気? どうして何も反応してくれないの? 」
不安な気持ちにさせてしまったらしい。それでも僕は彼女を想う。
キスなんてケチなこと言わない。愛し合うんだ。
強い想いで臨む。これくらいしないと受け止めきれないだろう。
それではさすがにミツキちゃんにも悪い。
腕を掴んで強引に引き寄せる。
たとえ嫌がっても止めるつもりはない。ストップも言わせない。
「へへへ…… どうしたの? 何だか怖いよ」
心配なのか確認を取る。だが応える義理はない。だから無視する。
許可など取らずに強引にキスをする。
まずはキスから。それ以上は考えるのはよそう。
「もう…… ダメだって…… 」
満更でもない様子。
流れた涙の痕に触れる。そして彼女の目を閉じてから再びキスへ。
はあはあ
はあはあ
自分でも気づかないうちに興奮しているらしい。それはミツキちゃんも同じ。
一言ぐらいあってもいいが恥ずかしいからな。やはりここは静かにスマートに。
それが年上の余裕。ミツキちゃんだってそれを望んでいるはずだ。
雰囲気も大事。ロマンチックな展開に持って行けるとベストなのだが。
大体ここで叫んでみろ? 筒抜けじゃないか。怪しまれては密会がバレてしまう。
「ねえ元気怒ってるの? 」
どうも僕の態度がはっきりしないから勘違いしているらしい。さすがに悪いよな。
怒ってるはずない。ここまでしてて怒っていたらそいつは狂ってるぜ。
僕はただミツキちゃんの想いに応えたいだけ。ただそれだけなんだ。
でもまだ慣れてなくて少し戸惑う部分もある。それはきちんと認めないとな。
僕なんかの為にせっかくここまで追いかけてくれたんだから応えてあげないと。
その異常性は今回は無視するとして積極性は買おうと思う。
うーん。僕のどこがいいんだろう?
ミツキちゃんの良いところなら十個以上すぐ言えるし実際魅力的だと思う。
それに対して僕の良いところなどないに等しい。
あくまでないに等しいだ。決してない訳ではない。自分のことだから分かってる。
ミツキちゃんはどうしてこうまで僕を求めるのか? 嬉しいけど凄い違和感。
知らずのうちに異性を惹きつける力を習得したか?
あれほど雑に扱っていい加減な対応ばかりしていたのにそれでも変わらなかった。
碓氷さんを思っていることも知っているくせにそれでも……
彼女の僕に対する想いは本物だ。
これ以上第三の山田に関わっていいことなどないと言うのに。
「元気! ダメだって! 」
まずい。いつの間にかおかしなところを掴んでいたらしい。
続く




