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駅でミツキちゃんと待ち合わせ

光らしくない。その場で名前を聞かないで別れた。

奴にとってはそれが普通で日常。後悔などないのだろう。

でも今になって名前だけでもと確認されても正直に答えると思うか?

それほど僕はお人よしではないぞ。


「彼女はうちのクラスの化物田さん」

「へえ…… ユニークな名前で…… でも苗字は変えられないもんな。

可哀想に相当苦労してるんだろうぜ」

真に受けて化物田さんを受け入れてるよ。言っちゃ悪いが相当馬鹿だな。

すると奴は碓氷さんと同類って訳だ。するとお似合い?

いやいや違うぞ。碓氷さんとお似合いなのは僕だけだ。それは譲れない。

もしかしてこれって嫉妬? 僕は好意を寄せられてる光に嫉妬してるのか?

違うよな? 光に言い寄る者を排除してるだけだ。

そう思いたい。でも分からない。自分ではもう判断できない。


「苦労か…… 明るく元気な人だから心配ないって。いつもハイタッチしてるよ」

なぜ僕がフォローしないといけないんだ? 

しかもイメージアップすれば碓氷さんへの関心が高まるだけなのに。

これではまるっきりの逆効果。

「それで名前は? 」

「華子さん。化物田華子さんが正式名称だ」

悪いなと思いながらもそんな風にからかう。

「へえ…… 化物田華子さんか。一発で覚えられるな」

「そうだろう? 良かったら出没スポットを教えてやるけど? 」

大体奴の周りをうろついてるから適当に答えても正解になる。

そこまで考えての悪ふざけ…… いや情報提供か。

「そこまでしなくていい。大体出没スポットって何だよ? 妖怪でもあるまいし」

意外にも真面目だから罪悪感が半端ない。もっと笑ってくれよ。

僕が適当に考えたんだからさ。


とりあえず謝っておこう。

ごめんね碓氷さん。でも光に知られては絶対ダメだ。

急展開したらもう止められない。いくら親友でも口出しできない。

「ほら化物田さんだから。いつも寂しいのか人の後を付けるくせがあって。

でも根はとっても真面目でいい子だから。誤解しないでくれ」

「うわ…… それはおっかないな」

こんな風に光をごまかして近づかせない作戦。あまりにもせこくて泣けてくる。

人…… 親友を騙すなどあってはならない。だがそれほど碓氷さんは大切な存在。


これが昼間の出来事。この機会を逃すまいと話しかけるタイミング見計らってる。

彼女だって僕を求めてるはずだ。勝手にそう思ってる。

「どうしたんですか碓氷さん? 」

上機嫌なのは言動で丸分かり。あれからそんな経ってないからな。

まさか昼間のことで喜んでるのか? それはこちらにとっても好都合。

光をきっかけに僕たちの仲が深まるのは決して悪いことじゃない。

でももっと早く頼って欲しかったな。


「ねえ山田君。あなたと彼との関係は? 」

痺れを切らして聞いて来た。彼女も今がチャンスと見てるのだろう。

単純で分かりやすい。そこがいいところ。欠点でもあるが。

「ああ光ですか? 同じクラブでして…… 」

こんな風にどうにか自然に会話を交わすことができた。

別にいつもハイタッチして一言交わしてるのでその辺に抵抗はない。

どちらかと言うと話しやすい相手。意識しなければいつまでだって話してられる。

「そう。でも彼とはあまり一緒にいない方がいいよ」

何かおかしなアドバイスされる。一体どう言うことだ?

僕たちの関係がおかしくなるとでも? それは…… あるか。


どうやら彼女も考えてることは同じ。根拠もなく付き合うなと嫉妬して。

それでいいんですよ碓氷さん。もっと嫉妬に燃えてください。

嫉妬に狂ってどうしようもなくなって最期に僕を…… 

そんなこと言えるはずない。


放課後になったことだし昨日まで躊躇っていた尾行を開始するか。

もうこのままの関係ではいられない。直接対決も辞さない。

いつも撒かれていた。その先にはなぜか光が。今考えれば単純な話だった。

光よ。どうしも僕と碓氷さんの関係を邪魔するのか? 

本当に困った奴だよお前は。


尾行って得意じゃないんだよね。何だか彼女に気づかれている感じがするんだ。

気のせいだと思うが念のため警戒するかな。

ああ…… 放課後の碓氷さんも素敵だ。笑顔が絶えない。

薄笑いだから不気味とも言えるがここはプラス思考で行こう。

どうせ今日も光の後を付けたんだろう? 困った人だな。

そう思いながらもまだ見ぬ碓氷さんの家を探し回る。

どこかな? どんなお家に住んでいるのかな?


そんな風に警戒していたらふとミツキちゃんのことが頭によぎる。

そう言えば今日会いたいようなこと言ってたっけ。

でもどうせもう忘れただろう。待ち合わせ場所に行かなくたって……

ダメだ…… 一旦気になり出したら止まらなくなる。

それが僕の悪い癖。


どうせいないって。駅にはかばんを持った女の子の姿などどこにも。

いや…… いる! そう言えばミツキちゃんの学校って私立なのか?

そんな気もした。でもどうでもよくて…… 何だか悪い気も。

「待った? 」

遅れて来やがった。約束をしたのはそっちなのに。

まったく何を考えてやがる? ほぼ脅迫して無理矢理だったくせに。

そもそもミツキちゃんは一体何がしたいんだろう?

「ううん。全然だよ。さあ帰ろうか」

ここで一つふざけてみる。忙しいから実際早く帰りたいんだよね。

なぜわざわざミツキちゃんのために時間を使わなきゃいけないんだ?

光の家に遊びに行った時に少しの間相手する分には大歓迎なんだけどな。

でも勝手に人の家に入って来るし会うのを避けてたら回数を増やされるし。


「元気? 全部聞こえてるわよ」

おっとブツブツ言ってたのが漏れたか。これはまずいぞ。

お怒りになられたら後が厄介だ。

とりあえず駅に居ても仕方がないので歩くか。

「ははは…… その制服かわいいね」

褒めておけば文句ないだろう。大体ミツキちゃんはどんな服も似合うからな。

それにしても白のブラウスはいいとしてブレザーがちょっと地味。

どうせなら鮮やかなブルーか爽やかなグリーンか派手めのオレンジだっていい。

地味な紺だからな。スカートは黒だし。えっと…… 下着は白か。

つい余計なところに目が行ってしまう。


               続く

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