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まずい展開

決心したのに。ミツキちゃんと添い遂げると今さっき決心したのに。

それなのにどうやら僕たちの前にはまだまだ越えねばならない試練があるらしい。


「ねえもしかしてこの時計遅れてない? 」

部屋の時計は昔からある奴で電波を受信するタイプのものとは違う。

当然遅れることもある。最後に確認した時は大体十分近く遅れていた。

ただの置時計で今はほぼ使っておらずその役目をひっそり終えている。

「まさか…… これで確認したとか? 」

「そうそう。十二時に戻るからその後一緒に食べましょうって」

「バカ! 自分のできちんと確認しなきゃだめだろう? 」

勝手に人の家に入って勝手に人の時計で確認するなよな。

遅れてることも想定しておけって。でも強くは言えない。

「うるさいな! 元気のくせに生意気! 」

余裕がないのか八つ当たり。まったく子供なんだから。

とりあえず落ち着こう。もうそろそろ十二時だから飯でも食って落ち着けばいい。

いやそうじゃない…… 十二時に帰るんだった。

と言うことはもう五分しかない。しかもこんな時は逆に遅れず早めに帰って来る。

ありがたいことに時間には正確。決して迷惑だとは思わない。

でも少しは気を遣って欲しいな。


「それで元気は我慢できるの? 」

「ええ…… 我慢って? 」

そうか全部脱いでくれるらしい。それは何とも大胆でありがたい話。

詐欺でない限り乗らない手はない。彼女から言ってくれるのだから悪いよな。

では遠慮なくって言ってられるか!

「待ってくれ! もう五分もない! 中止だ! 中止! 」

危ない。もう少しで判断を誤るところだった。

本当に時間がないぞ。ミツキちゃんに服を着せるかそのままどこかに隠すか。

しかしこの部屋には彼女を隠せる場所などないし…… 探されたらお終い。

「中止はありません」

「いやもういい。下着はそのまま。逆に服を着てくれ! 」

「だから中止しないって言ってるでしょう! 」

ふざけてる訳ではないんだろうがどうしても抵抗したくなる年頃なんだろうな。

まったくガキだな。などと言ってられないから困るんだよな。

「何でもお願い聞くから! 頼むよいつもかわいいミツキちゃん」

そう言ってどうにか下着姿で留まった。でももちろんこれでいいはずがない。


「ただいま! 」

まだ十二時には数分あるのに。五分前行動が命取りに。これはまずいぞ。

足音がそのままこちらへ。階段を上がる音が響き渡る。

どうしよう? 二度目じゃないか。実際は三度目だけど。

「ほら慌てない。さあキスでも」

ダメだ。まったくこの状況を理解してない。いやそう言えばずっとそうだっけ。

まずいだろ? 何を考えてるんだ? それとも天邪鬼なのか?


「離れてくれ! そして服を着てくれ! 」

「嫌! 私を捨てるの? 」

ダメだ。本気か悪ふざけかもう分からない。

間もなく修羅場を迎える。残念ながらそれが決定している。

「ほら服を着ろ! 」

「嫌! 元気何をするの! 」

「何って…… 決まってるだろう? 」

「だからやめて! どうしてそんな風に無理矢理するの? 」

「だってお前が拒絶するから。これしか方法がないだろう? 」

「そうだけど…… やり方があるでしょう? もっとゆっくり」

「嫌なのか? 」

「ううん。そんなことない。でも優しくしてね」

こうしてようやく服を着てくれたがもう遅い。取り返しのつかない事態に。


「元気あんたって人は! 」

どうやら母さんに勘違いされたらしい。まあこの現場を見ればそうなるよな。

言い訳するつもりはない。でもこちらの言い分も聞いて欲しい。

せめて今度から絶対にノックして断って入ってくれよな。

とは言えこの格好ではどうにもならない。

僕はパジャマだから問題ないがミツキちゃんは下着。

しかも僕がまるで迫っているかのような言動。勘違いで済む話じゃない。


「おばさん。私は大丈夫だから。まだ未遂」

調子のいいこと言ってやがる。勝手に脱いだのはそっち。

下着だって脱いで全裸で人のベットに潜り込んだくせに。

まずい…… 興奮と想像のあまり鼻血が出る。

「ほら興奮して! どうしようもないんだからあんたは! 」

もう一方的に決めつけて話を聞きはしない。

「違うんだ。僕はただ寝ていただけなんだ。勝手にあっちが…… 」

苦しい言い訳だと自覚はしているがすべて事実だから。

「はいはい。そう言うことにしようね元気」

事実をまるで醜い言い逃れのように捏造するミツキちゃん。まったくよくやるぜ。


「母さんも何か言ってやってよ」

「あんたは反省なさい! ミツキちゃんが許してくれるんだから感謝しな! 」

「反省か…… それより何で勝手に入れるんだよ! 」

根本の問題を解決しないと意味がない。そもそも家に入れたのが悪い。

どうして僕たちを二人っきりにする? それがすでに間違っている。

「ほんの十分か一時間だよ? 真昼間に何か間違いを起こすと普通は思わないよ」

どうやら息子を信用してくれてるらしい。

でもこっちが手を出さなくてもあっちから来ればどうにもならない。

「だから防犯意識を高めよう! 」

そうこれが言いたっかった。

今はよくても関係がぎくしゃくしたら襲われかねない。

それくらい異常な行動を取っている。それが分からないのか?

 

「まあいいじゃないか。あんたらそれで付き合ってるの? 」

話を変えて追及を逃れようとする。

こっちはこっちで責任転嫁してるから強くは言えない。

「はい。安心しておばさん。元気とは相思相愛の仲ですから」

堂々と言ってのける。どこか恐怖を感じるミツキちゃん。

「いや…… そう言うんじゃなくて…… 」

あれ? そうかまだきちんと告白してないからこんな中途半端な状況になるんだ。

仕方ない。こうなればきちんと告白しよう。

「だったらお好きにどうぞ。でも節度を守りなさい」

どうやら僕たちの関係は認められたらしい。

うん。これですべて解決…… そんな訳ないか。


                 続く

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