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土曜日の侵入者

土曜日。

へへへ…… 碓氷さんってばまたハイタッチ? いつも強引なんだから……

あれ碓氷さん…… ええ朱里って呼んで? でも朱里…… へへへ……

どうしたの? 僕が何か悪いことした? あれ碓氷さん…… ミツキちゃん? 


跳び起きる。どうやら悪夢になる前に覚醒したらしい。

夢が変化した。不安定なものだから当然か。それにしてもいい夢見てたのに。

でも何で? まあいいか細かいことは気にしない。そろそろ起きるとしよう。

それにしても感触があった気がしたんだよな。

夢は夢だろうけど何かがおかしい。もしかして正夢? それなら嬉しいな。


「どうしたの元気? もう一回やっちゃう? 」

うん? ベッドが喋ったぞ。

まずい。これはまずい。てっきり恋愛ものだとばかり……

油断していたらいきなりホラーぶち込んできた。

でも大丈夫。僕は第三の山田だから。主役なんかじゃない。

いや待てよ主役は最後まで生き残るんだっけ。だったらやっぱり主役で。

それともSF的なものか? 確か昨日そんなのを父さんが見ていたな。

食事中に見るからこっちは気になって仕方がない。

目をつぶるのも耳を塞ぐのも現実的には無理。

それとも僕の大好きなファンタジー? だったら悪くないんだけどな……

レトロだといいんだけど。


「何を言ってるの元気? 」

どうやら違うらしい。人間の女の子が僕のベッドに埋まってるらしい。

こんな言い方するとホラーで惨劇があったように思えるが寝ぼけた状態だから。

そもそもあり得ないんだ。僕の部屋に人がいることがすでにあり得ない。

ベッドの中にいるのはもっとあり得ないこと。

一応確認。昨日はきちんと一人で寝たよな? するとどう言うことだ?


「お前は誰だ? 」

「だからミツキ。決まってるでしょう? 」

まったくもって決まってないが確かにこの家に出入りするのは彼女ぐらいなもの。

とにかくホラー展開でないので一安心。ここは優しく注意してあげよう。

「人の家に勝手に入って来るな! 」

「いいでしょう別に! 」

「人の部屋に勝手に入って来るなって! 」

「そんなの自由でしょう? 」

「せめて人のベッドに潜り込むな! 」

「いけないこと? 」

いけなくはないけど驚くよね。実際今までで一番怖かった訳で。

ベッドの中に人がいるがやっぱり一番怖い。


「ミツキちゃんはもう僕に興味ないんじゃないの? 」

思い切って聞いてみる。それで判断するのがいい。いちいち悩むのが面倒だし。

「はあ? 元気は私の恋人でしょう? 」

うわ…… どこからそんな発想が…… まだ付き合ってる認識はない。

勝手に進めれられても困る。まだ告白だってキス…… ああ何度もしてるのか。


「また一人で来たんだろう? 光はどうした? 」

シーツで全身を隠してるところを見ると全裸? まさかあり得ないよな。

もう一回やっちゃうってどう言う意味だったんだろう?

とりあえず着替えよう。何だか汗を掻いたみたいで濡れてるし汚れてる。

これは全部取り換えるしかない。

「今はお兄ちゃんの話はなし! 二人っきりの時間を楽しみましょう」

そう言って抱き着いて来る。嬉しいんだけどどうも納得がいかない。

着替え中。迷惑でうっとうしいんですけど。早く退いてくれよ。

とりあえず一旦落ち着こう。うん互いに冷静になったほうがいいな。


ここは出入り自由の田舎かよ? 勝手に家に入るだけでなく部屋にまで。

しかもベッドに潜り込むんだからもう意味不明。

それと僕ってミツキちゃんにどんな感情を抱いていたのかまったく覚えてない。

一週間後に何事もなかったようにお邪魔しますと入って来るかなと予想はしてた。

でもその予想の遥か上を行くんだからびっくりする。


「そろそろ起きようっと」

下着姿のミツキちゃん。よく考えたら僕は肝心なものを見てなかった。

ぼうっと夢の中にいる気分だったからな。もしかして本気で全裸だったとか?

「待ってくれ! もうお終いなのか? 」

突然興奮。抑えが効かなくなる。

「どうしたのかな元気? あっちの方も元気になっちゃったのかな? 」

卑猥なことを堂々と言ってのけるミツキちゃんには尊敬してしまう。

お前はまだ中学生だろう? だがそんな中学生に僕は情けないお願いするのか?

でももうやる気をなくした彼女を宥めるにはこうするしかない。


「僕が悪かった! 謝るから頼むよ! 」

ダメだ。完全にミツキちゃんに屈してしまう。これでいいはずがない。

「はいはい。しょうがないな。だったら一分だけだよ」

そう言って長いキスを始める。いやこれは何か違う気がするな。

「待ってくれ! 何これ? 」

「だからキスでしょう? 元気これ好きでしょう? 」

そんな風に無邪気に笑う。まずい完全にあっちのペースだ。

何と言っても巻き込まれ型の第三の山田だもんな。


「違う…… ことはないけど僕は君が見たいんだ! 」

仕方ないので格好をつける。そうしないと恥ずかしい気が……

「それってまさか…… 」

「単刀直入に言う。君のすべてが見たい。せめて胸だけでも拝ませてくれないか」

ああ情けない。これって頼み込むようなことか? どうしてこう焦るんだ?

もはや頭がそのことでいっぱいになっている。

「いいけど…… でも我慢できる? 」

「我慢? 何の話? 」

「あと三十分…… もう十五分もないか。おばさんが一緒にお食事でもどうって」

よく考えればもう間もなく十二時か。昨日四時まで起きてたからな。


それにしてもどうしてこうタイミングが悪いんだ。

決心したのに。ミツキちゃんと添い遂げると今さっき決心したのに。

それなのにどうやら僕たちの前にはまだまだ越えねばならない試練があるらしい。


                続く

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