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不機嫌な彼女

光を使っての大胆な実験。

あまりにも危険な挑発行為。その結果が今日判明する。

ほぼ間違いないが昨日碓氷さんの姿を確認できなかった。

だからまだ確実ではないしそうでないと今でも願っている。


教室に入って早々とんでもない空気が漂っているのに気づく。

一体何だろう? まさか…… 想像以上の結果が示されたか?

でもどうして? まだ時間じゃないし…… 

まさかもう碓氷さんは来てる? だとしたら今日はハイタッチは終わった?

遅刻スレスレで来るから仕方ないか。だけどいつも彼女が最後なんだけどな。

だからこそハイタッチの輪に自然と加われる訳で。

もしハイタッチを拒否すれば疑いは深まる。ただそれでも確実ではない。

もしそうなればもう覚悟を決めて直接本人に聞くつもりだ。

怖くて嫌だけど第三の山田としてこのクラスを守る義務がある。


うーん。今日も碓氷さんは素敵だな。

そんな風に眺めていると視線を感じたのか振り向いた彼女と目が合う。

へへへ…… これはもしかして二人は運命の赤い糸で繋がっている? 

ははは! そんな訳ないか。でも少なくても心では繋がってるよね?


振り返った彼女が一瞬睨みつけた気がした。もしかして機嫌が悪いの?

いつも何も気にしないおおらかな性格の碓氷さんが怒りに震えている。

もう隠すつもりもないらしい。その余裕のなさが彼女をより一層輝かせる。

何かあったのかな? もちろん心当たりはあるがそれを指摘できない。

なぜなら知ってたことになるしわざとやったこともバレてしまうからだ。

それは怒らせる以上にまずい。機嫌が悪くなっても口を利かなくなってもいい。

どうせ三日も経てば忘れる。そこまでの持続力はない。

だが僕の策略に気づけばただでは済まないだろう。

あー恐ろしい。想像するだけで寒気と笑みが。やっぱり僕ってどこかおかしい?


「おい…… どうしたんだろう碓氷さん? 今日は凄く機嫌が悪いぜ」

隣の能天気な男が話しかける。

そんなこと知るかよと格好つけたいが機嫌が悪いと思われてもまずい。

大体仮に僕が知っていても言えるはずがない。それに授業中だから無理。

どうやら男子だけでなく女子の間でも不機嫌だと伝わってるらしい。

まあ見れば大体分かるんだけどね。怒らせた自覚はある。

このクラスのアイドル的存在の碓氷さんの機嫌の悪さが全体に波及してしまう。

もしかしたらなと思っていたけどここまで態度に表れてしまうとは単純だな。

これはもう光と会うのは止すかスキンシップは少なめにするか?

いやいやそれでは気づかれるか。ここは逆に多めにしよう。

わざとではない。ただ仲が異常にいいとだけ理解してもらえばいいさ。

へへへ…… 嫉妬に狂う碓氷さんも見物だととんでもないことを思う自分が怖い。


どうしたんだろう? 愛が憎悪に変わったとでも言うのか?

それはミツキちゃんにも碓氷さんにも言えることかもしれない。

兆候が見られるのはまだいい方で突然グサッと来ることも考えられる。

一気にクライマックスで最終回を迎えてしまう。

そうなれば第三の山田の物語は終わりを迎えてしまう。


お昼まではどうにか持ちこたえた。

しかしいつ激変することか。どんどん怪しくなっていく空模様。

おっと…… 今は授業授業。数学は眠くて眠くて。

予想だか定理だかを覚えるのが面倒で適当に計算。

何と最後の一桁だけは合っていた。

ゼロだ。まるで僕たちの未来を暗示しているかのようで不気味。

いやいや考え過ぎだよね? つまらない偶然って奴だ。

絶対僕たちは上手く行く。幸せになれる。根拠は不明だけど自信はあるんだ。

あるんだけどどうしたって相手次第になってしまう。


一度きちんと告白しようとしたのに来ないんだもんな。

告白を断るのはいいさ。それは本人の自由だから。

でも面倒だからと告白を断るのをやめるのはなしにしてもらいたい。

間違って他の人に告白したじゃないか。何を考えてるんだ彼女は? 僕は?

思い出の屋上は今日は雨晒し。

まずい。朝は晴れてたから傘を持って来てない。

どうしよう? まあいいか。今日はサークルもあるしな。


「どうしたんです次期会長? 」

「その呼び方はやめようよ。まるで名前を忘れたように思えるよ大田原さん」

「だってさっきからチラチラ外ばかりで全然集中してない。

二人とも本当にやる気あるの? 」

まずい。書記兼進行の大田原さんを怒らせてしまった。

ほぼ三人だけの関係を壊してなるものか。


「ごめんごめん。大丈夫。今週の日曜日だよね? 

うんきちんとメモしたから。なあ光? 」

「悪い…… その日はモデル探しに街で…… 」

「はい。光も大丈夫だそうだから。さあ三人で出かけよう! 」

「はあ? 遠足じゃないんだけど? 聞いてました私の話? 」

「うん。聞いてたよ。日曜日に朝九時と。

それで悪いんだけど今日一緒に帰ってくれない? 」

「はあ? なぜ私が? 」

「それが傘を忘れてさ。と言うか持って来なかっただけなんだけどね」

「知りませんよ! 仲良し二人組で帰って下さいよ! 」

そんな風に本気で拒絶されてしまう。酷いな大田原さん。

だがさすがに光と二人っきりはまずい。わざとだと捉えられたらどうする?


「どうしよう…… 」

「俺はいいぜ。遠慮するなよ元気! 」

そんな時ばっかり格好をつける。こっちの気も知らないで。

お前だって昨日の今日だろう? なぜ僕だけこんなに悩まなくちゃいけないんだ。

まずいよ。これ以上碓氷さんを刺激すればどうなるか……

何の悪気もなく絡んでくる光に複雑な感情を抱きながらも自然体で接する。

これでいい。これでって…… 本当にいいのか?


                続く

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