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ケーキの味がしない

突然お見舞いにやって来たミツキちゃん。

約一週間ぶりの再会に嬉しさもあるが困惑が勝る。

「だったらいっぱい時間が取れるんだね? 」

どうも言ってることが不穏なんですが。

まさかとは思うけど前回の続きやるつもりじゃないよね?

「待ってくれって。それはどう言う意味? 今日は父さんもいるんだぞ! 」

恐らくそうだろう。でも留守番を任されたとしたらいないのか?


「おじさんなら朝早くに出掛けたって。近所の川に」

どうやら父さんは呑気に釣りに出掛けたらしい。

お土産にでっかい魚でも買って来てくれるのかな?

川魚は苦手。どうせバスかトラウトだからキャッチアンドリリースだろうけど。

最近仕事が忙しいから。ぼんやり釣りをするのもいい気分転換。

そうすると両親は当分帰って来ない。一時間。遅ければ二時間は二人っきり。

だったら僕だって気分転換。へへへ…… ダメだ。熱に浮かれて変になっている。

気をつけないといつの間にか夢の世界に連れて行かれてしまう。

ここで踏みとどまるには僕がしっかりする。言うべきことはきちんと言う。


でもどうしてこうなったんだろう?  仕組まれた? いやいや誰が仕組むんだ?

さすがにミツキちゃんはないしやるとしたら僕と言うことになる。まさかの僕?

母さんも母さんだよな。少しは警戒しろよ。息子を信用し過ぎ。

病人の体では間違いは起きないと。いやたぶん僕がモテないから……

それが今までの僕。でも一週間前にその殻を破りとんでもない場面を見せつけた。

だと言うのに警戒が薄い。なぜだ? ミツキちゃんにだってもっと警戒すべき。

やはり僕がモテてるのではなくただムラムラして襲ったと解釈したからなのか?

そんな風に思われもいいがお見舞いに来たミツキちゃんを襲わないとは限らない。

いや実際は僕にはそのような戦闘力もなく極めて安全な情けない男さ。

でもどんなことにでも想定外がある。万が一何かあってからでは遅い。

それを見逃している。いやいや考え過ぎか。

ミツキちゃんはただお見舞いに来てくれただけかもしれない。

どう考えても僕に対しそこまで強い想いがあるとも思えない。やはりふざけてる?

そうだろうなきっと。


「これお土産」

ケーキを二個。定番のショートケーキとイタリアンショコラ。

二人で食べようと買って来てくれたらしい。ありがたいな。

でもこの展開はもうすでに危ないんじゃないのか?

「ほら口を開けて元気。食べさせてあげる」

どんどん大胆になって行く。このまま行くと服を脱ぎかねない勢い。

いや願望とかじゃない。警戒してる。先週の今日だからな。多少警戒もするさ。

それは僕にとってまたとないチャンス…… いや邪な考えはやめよう。

純粋にお見舞いに来てる者を疑ってどうする? ミツキちゃんを信じる! 

まだ決定的な何かが起きた訳じゃない。ここは冷静に様子を見守ろう。


「やめろって! 恥ずかしい。それに見舞いにケーキを持ってくる奴がいるか?」

つい思いついたまま批判してしまう。傷つけてしまったか?

この場合ケーキよりも和菓子あたりが無難かなと。

お見舞いの品についてまでグチグチとつまらないことを言うつもりはない。

でもケーキはない。僕はケーキ好きだけど体調が悪い時に食べるものではない。


「それにしてもよく母さんが通してくれたな」

積極的なミツキちゃんを排除しないでどうする? 危険過ぎるだろう?

「ただの中学生女子に興奮したり心奪われるとは思ってないんでしょう」

堂々と言ってのけるが危うく吹くところだった。自分を客観的に見ている。

と言うことは僕はその中学生女子に興奮しその気になってる変態と言いたいのか?

「自覚してるならなぜお見舞いに来た? 」

そこがどうしても理解できない。光がいる時はただ気の合う友人の妹。

二人っきりになると抑えきれないものなのか? でも憎めない。

この僕に積極的に気持ちを伝えるのだから憎めやしないさ。

困ったなと思いつつも強く言えずに彼女のペースに持って行かれる。


「つまんないこと考えないでケーキ食べよう? 」

「僕はそっちのチョコが食べたいな」

もう食べ始めていて交換は不可能なのにについ言ってしまう。

意地悪するつもりはないがどうしても食べたくなる。変な癖。

ははは…… 子供だな。情けないなこんなことに拘るんだもんな。


「悪いんだけど着替えたいんだ」

汗も掻いたし吹き出して汚れてしまったから清潔なものにしたい。

寝込んでいたからロクに着替えてもいないし風呂にも入っておらず臭いはずだ。

ただそのことを言えばおかしな展開に持って行かれる。

それは決して嫌ではないけど。余計なことを言えば取り返しのつかないことに。

「うん。分かったよ元気。その服を取り換えて元気を取り戻させてあげるね」

素直な彼女。無邪気に感じるが決してそうでもない。

どことなく引っ掛かる部分がある。


「話を聞いてたか? 部屋から…… 」

最後まで喋らせないように口で口を塞ぐ大胆なミツキちゃん。

「おいやめろって! まさかまだあの時の…… 」

言えない。言えば調子に乗ってまたおかしな方向に持って行かれてしまう。

「いいから大人しくしててね元気。服はどれに着替えたいの? 」

まさか想定以上のことをするつもりなのか?

十分もあれば十分済ませられるが本気か? その覚悟があるのか?

悪ふざけではなく強い意志の元で。

これ以上逆らっても気分を害して部屋を滅茶苦茶にしかねない。

大人しく脱がしてもらう。

恥ずかしいが相手はまだ中学生だしいいよな。

これが大人の女性ならもう顔もあげられないが。


               続く

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