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体調不良の金曜日

翌日。学校にて。

「どうしたの昨日からおかしいよ」

それを指摘してくれたのはハイタッチ好きの碓氷さんではなくその隣の子。

彼女の話によればまだ俺はにやけていて授業中も魂が抜かれてるようだと。

まだ引きずってる。分かり易い性格してるんだろうな。

ただ認識されにくい僕を心配し見てくれるのは素直に嬉しい。


「へえ山田君っておかしいんだ」

呑気な碓氷さん。それでも関心を持ってくれただけでもありがたい。

こんな僕にだぞ? そんなことあり得るのか?

第三の山田から一気に昇格。ただの山田とは言えその違いは歴然。

誰もがそれは納得するところ。

ただその手のありがたみが薄れ始めている。先週まではそうではなかったのに。

碓氷さんに振り向いてもらうだけで幸せだった。それが今ではどうか?

もうクラスでどうとか碓氷さんがどうとかのこだわりがなくなった。

それは自分が成長したからとも言えるがたぶん違うんだろうな。

恐らく一時の気の迷い。それは分かってるけど今はミツキちゃんしか見えない。


あの日を境に僕は変わった。もがき苦しんだ日々に比べれば物凄い進歩。

ただ進歩に違いはないんだけど急速に興味を失くしている自分がいる。

学校でどう評価されようと僕にはミツキちゃんがいてくれたらそれでいい。

もう碓氷さんなどどうでもいい。もちろん本心ではない。

ただ浮かれたことによる一時的な感情の高揚が自分をおかしな方に向かわせてる。

少なくても碓氷さんを眺めてぼうっとすることも後を付け回すこともない。

ただ朝の日課であるハイタッチを拒否するつもりはない。

そこまで人間は腐ってないさ。碓氷さんが求めるなら続けるつもりだ。

当然明るくハイテンションで。それはそれでこれはこれだからな。

一週間も経てば変わるだろうが今はこの状態のまま。

元に戻ることもあるのかな?


「違いますよ。自分はどこもおかしくないし間違ったこともしてない」

なぜか変態扱いを受け慌てて言い訳する。

今までの完璧な自分はどこに行ったんだろう? いやいつもこんなものか。

「そうだ。これから皆で遊びに行こうよ」

誘いを受ける。今までだったら大喜びで即答するところ。でも考える。

どうせこれもまた第二の山田を誘ってるに違いない。

それにこんな時でも素直に喜べない自分がいる。

前回とは立場が違う。僕には碓氷さんしかいないと勝手に思い込んでいた。

でもよく考えたら他にも女の子はいる。もう碓氷さんに固執する必要はない。

メソメソ泣くことはしない。碓氷さんを諦めることも考えている。

ははは…… それほどあの日のことが強く残っているんだろうな。


こうして二日三日と症状が改善されることはなくついには金曜日から休むことに。

思いがけない形で三連休となった。

風邪? 体調不良? ただの恋煩い?

どれであれ僕の心は弱ってしまっている。

短い人生とは言えこのような経験したことはない。

今まではただ妄想の中でのことだったから。それが現実に起きた。

脳が処理しきれない状態。情けないが休息は必要だろう。

勢いで格好つけて限界を迎えた。もう碓氷さんを忘れるようなことを言っていた。

それが正しい失恋の仕方だろうけどまったく戦わずして撤退するのは違う。

僕はやっぱり碓氷さんを忘れられない。


そもそも現実問題ミツキちゃんと付き合う選択肢はないのではないか?

確かに彼女は純粋でかわいいし何と言っても僕のことを見てくれる。

でもまだ中学生だ。光の妹でなかったらここまで仲良くなることもなかったろう。

僕はどうすべき? このまま二人の仲を深めて行けばいいのか?


学校をほぼずる休みして三連休を取った形。

この三日間で体をきちんと治しミツキちゃんをどうするかの答えを出すべき。

何だかそう考えると体も心も重い。苦しくなっていく。

「大丈夫あんた? どこか悪い? 」

疲れから熱が出ているが高熱と言うほどでもない。

まだ寝てないとクラクラするから仮病でもない。気合ではさすがに無理なレベル。


「ねえ元気…… 母さんは反対だからね! 」

いきなりそんなことを言われても…… 病人にムチを打つ気か?

もう少し優しい言葉をかけて労わってくれよ。

「反対って何のこと? 」

白々しく聞いてみる。ただそれで悪化するのは自己責任。

熱のせいで冷静な判断ができない。

「だからミツキちゃんと付き合うのは反対だよ! 」

もしものことがあったら責任を取れるか?

まあ当然それが常識。中学生に好意を寄せるなどどうかしている。

分かってるんだって。


「いや…… あれはその…… 」

いきなりのことで何も言えない。否定は無理だし感情を否定するのも違う。

「はっきり! きちんと断るんだからね! 」

くぎを刺される。どうやら二人の関係を理解した上での反対らしい。

決して悪ふざけでもいい加減でもないと言うこと。

言われなくても分かってるさ。ミツキちゃんがいくらかわいくても中学生。

まともに相手してもどうかと。


僕とミツキちゃんの件についてはきちんと考えて判断する。

病人の看病をせずにただ思い留まらせようと必死の母さん。

でもどうして僕たちの交際を否定しようとするんだろう? 

常識や世間一般の受けが悪く風当たりがよくないのも分かる。それでも……


父さんにも話を聞く。

「ああん? 人様の娘さんを妊娠させただと? 何てことをしやがる! 」

ドンドン話が明後日な方に。もういくら自分が否定しても既成事実になる。

無力だ。こんな時に互いに助け合えるのが彼女であり恋人。

でも現実は違う。両親が心配するのも無理ない。


一週間近くが経ってもミツキちゃんとのことが頭から離れない。

でも以外にも彼女の方はきれいさっぱり忘れてたりして?

元気っとマイペースな彼女が見れるといいんだけど。

二人の関係が親経由で光に知られるのが困る。


こうして体調も良くならないうちに土曜日を迎える。


               続く

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