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三人の山田

なぜ僕のことを忘れるのか? 記憶にないのか?

脳の病気のはずもないし。もちろん確認してないから違うとは言えない。

ただ他のクラスメイトを認識してるのでそれはあり得ないと結論づけられる。

だとすると僕だけがなぜと言う根本的な問題が。不思議で仕方がない。

心当たりがあるとすればクラスの事情かな。


山田って苗字は全国でトップテンに入るぐらいポピュラーな名前だ。

うちのクラスも僕を含め三名ほど。しかも全員男だ。

そこが記憶に残らない最大の原因なのかもしれない。

仕方ない。秘密裏に始末するか? お近くのプロの暗殺集団を雇うかな。

そんな風にふざけるのも空しいぐらい。

大体二人とも悪い奴じゃない。どちらかと言うといい奴だ。


山田軍団。

三人とも似たり寄ったりの見た目と立ち位置。

これでは混乱を引き起こす。

他二人も僕と同様あまり目立たないし花がない。

これは僕から見た場合。恐らく二人はそうは思わないんだろうな。


言いたくはないが一人目の山田は頭がいい。二人目の山田はスポーツが得意。

でもだからってずば抜けてるかと言えば違うし目立つかと言えば違う。

地味な山田。それが三人だから。

実際僕が山田代表。そう思ってるのは自分のみ。

二人とも同じように自分がと考えてるのだろう。


結局山田ではどこにでもいる目立たない存在で興味も示されない。

ちょっと目立ったところで一人の男として認識されることはない。

分析できてるつもりだ。しかもたぶんこれで間違いないと思う。

でも断定はしたくない。僕が忘れ去られる理由が二人の山田のせいだなんて。

もちろん人のせいにするのはよくないし第一間違っている。


間もなく秋も終わりだと言うのにまだ認識されない。

このままでは認識されないまま一年が過ぎることになる。

まずは彼女から認識されるところから始めたい。それが今の目標。

小さな目標を重ねゆっくり近づく。焦ってはいけない。

今年中に絶対に覚えてもらうんだ。そんな強い覚悟で臨んでいる。

でも全然振り向いてくれない。目立たない僕が悪いのかな?


目標を決めて頑張る。

一見素晴らしいことのように思えるが全然大したことない。

情けないだけ。恥ずかしいだけ。認識されるのはあくまで初期の目標だろう?

それをさも最終目標に掲げる。その結果どうなるかと言うと達成する。

しかしただ認識されて終わる。進級したらまた一からやり直し。

またクラスメイトならそれもありだが確率は高くない。

隣のクラスならまだチャンスはあるが離れてしまえばきれいさっぱり。

それがこの世界の仕組み。格好いい奴は気にせず新しい出会いを求めればいいさ。

でも僕は違う。頭がちょっといいに過ぎない。それも最初だけ。

普通にしていては未来はない。あえて行き止まりの道を選んだ気分。

迷宮の入り口。そんなイメージ。もっと大胆に動くことが重要。


「元気! 元気出せよ! 」

いつも相談に乗ってくれる隣のクラスの冴えない光。僕の大親友。

中学からのつき合いで高校も同じところになった。

光は僕と違って勉強はできないが手先が器用で想像力も豊かで絵も得意。

将来の夢は画家だとふざける。でもそれは光も無理だって諦めている。

僕に諭されなくても画家で売れるには才能が。しかもとんでもない運が必要。

スポンサーと言うか金持ちの支援者が必要。そう言うのを何と言ったかな……


だからまずは高校では美術部に入るべきなのにそれをやらない。

天才肌なのだろう。でも僕からしたらそんなのふざけてるとしか思えない。

とにかく僕たちは中学からのつき合い。

ほぼ帰宅部だ。だって部活に縛られたくないから。

それが光の口癖。僕は流されて同じサークルに所属する。


想像力研究会。

正式な部ではないので堅苦しくなく自由だ。

メンバーはこのおかしなサークルを始めた三年の先輩が一人と一年が一人。

先輩は受験で今はそれどころじゃない。と言うかもうそろそろ引退だ。

どちらが会長になるか揉めてるがたぶん僕になるだろう。

押し付け合って折れるのが僕で最後まで押し通すのが光だから。

会長などやってられるかと駄々をこねる。そうすると僕が会長に就任。


おお会長…… 何て響きがいいんだろう。

部長よりも会長の方が何だか偉く感じるのはなぜ?

それは実際そうだからだろうな。

僕の父さんは部長は狙えるが会長は無理だと笑っていた。

その父さんも現在忙しい。トラブルがあったとかでバタバタしている。


とりあえず一年の大田原さんの三人で多数決をすることに。

大田原…… おかしな苗字だが見た目は普通の眼鏡女子。

このサークル唯一の女子で一年だ。最近太ったと言ってたが全然そんなことない。

すべて彼女が仕切ってるようなもの。

光にしろ僕にしろ会長を擦り付け合ってる情けない人間だから。

大田原さんが会長でいいはず。でもなぜか彼女も僕に投票する気らしい。

まだ正式ではないが模擬投票では僕が選ばれてしまった。

もし不適任だったら選び直すのが決まり。でも僕は上に立つのが大の苦手。

嫌いとか面倒のレベルは超えて不適格だと烙印を捺されているようなもの。


なぜ僕が選ばれたのかまったくの不明。ああ睨みつけてないで説明してよ。

ただ大田原さんは僕を認識している。だから会長に任命したのだ。

それは凄くありがたいこと。


               続く

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