悪ふざけの代償
部屋で二人っきりに。その上相手は無防備な姿でベットに横たわる。
これは自然なこと? それとも彼女なりのサービス?
僕はどう答えればいいのか?
「そろそろふざけるのはやめろ! お前が魅力的なのはもう理解してる。
それでいいだろう? だから大人しくベッドから降りてくれよ! 」
つい感情的に。これ以上甘やかせば何が起きる分からない。
そうなる前に早いところ元に戻さないと。情けないがこれも彼女の為。
「元気のくせに生意気! もう意地でも起きない! 」
そう言ってベッドに潜り込んでしまう。
逆効果だったらしい。毅然とした態度がマイナスに働くこともある。
想定外だが問題ない。ここは強く言い続けよう。ここは僕の家であり部屋。
ミツキちゃんはあくまでお客さん。なるべくおもてなししたいが限界がある。
「ちょっと…… それは昨日干したばかり。シーツだって洗って間もない…… 」
つい潔癖なところを見せる。自分以外なら好きなだけ寝てくれていい。
でも自分のベットはできれば清潔に保ちたい。それは決して我がままではない。
当然の欲求じゃないか。どうして理解してくれないんだ。
「もう細かいんだから。そんなせこいと嫌われるよ」
自分の行為を棚に上げて人のせいにしようとする。許せない。
いくら親友の妹でもやっていいことと悪いことの区別ぐらいつくだろう?
おっと…… 何を子供相手にムキになってるんだ?
いけない。まだ中学生じゃないか。冷静に冷静に。余裕を持って対応しないとな。
「汚れるだろう? 」
まるでミツキちゃんが不潔のような言い方をし傷つけてしまう。
でもこうでも言わないと効果ないからな。
「もう分かった! 分かりました! シャワーを浴びればいいんでしょう? 」
ムスっとしてるかと思いきや笑顔だ。どれだけからかえば気が済むんだ?
僕だって夜になれば獣にだってなるぞ。
「そうだ。そうしろ! 」
つい言葉が強くなる。でも彼女は自分を曲げられない。怒って冷静さを欠く。
でも彼女はまだ中学生。僕が一緒になって興奮してどうする?
興奮…… いやそんなことはあり得ない。
「もう元気ってば欲求不満なんだから」
そう言っていきなり抱き着いて来る。もう僕には彼女の気持ちが分からない。
怒ってるのかそうでないのかも不明。
「おいやめろって…… 」
ベッドで抱き着いて瞳をウルウルさせたらさすがに僕でも耐えられる自信はない。
「元気は私のこと嫌いなんだね」
滅茶苦茶言うな。どうしてこうなるんだ?
「違うよ。ちょっと驚いただけ。気の合う仲間だとばかり思っていたから」
ほぼ無意味な言い訳を繰り返す。
落ち着け。ミツキちゃんのペースに乗せられてはいけない。巻き込まれたら厄介。
確かに彼女はとても魅力的だけど……
「抱いて元気! 」
もうやけくそのミツキちゃん。言葉に重みは感じない。
「いやそれはさすがにまずいって…… 」
どうしていいか分からずに途方に暮れる。
まさか彼女は僕のことを本気で? それならとても嬉しいことだけど。
でもまさか親友の妹に手を出すような裏切り行為はできない。
光だって僕を信用して送り出したはず。ここで理性を失えば大変なことになる。
「どうしても? 誰も見てないよ? 」
誘惑と言うより諭す感じ。何の問題もないと軽い。
「そんなこと言わないでさ…… 僕たちはそんな関係じゃないだろう? 」
きっぱり断ろうとする。これ以上は踏み越えられない。
どれだけの想いがあってもこれ以上は無理だ。
「そう…… 」
寂しい表情のミツキちゃん。
もう抱き合うこともベッドを占領することもやめたらしい。
残念だ。実に残念だがこれが現実だ。
悪ふざけの代償はつい本気になって後悔すること。
「待って…… 待ってくれ! 」
もう少しで堪えられたのに本気のミツキちゃんに絆されその気になってしまう。
絶対いけない。突き放さないといけないのにそれができない。
本当に僕って情けないな。ちょっとしたことですぐに決心が揺らぐ。
結局のところ男は迫られれば完全拒絶できない。
それが可能なのは本当に愛が醒めたかまったくの恋愛対象外の時だろう。
いくら年が違おうが親友の大切な妹だろうとそんなことは何の縛りにもならない。
どんなに我慢したって男の部分が勝ってしまう。
簡単に言えば男女間で友情は成立しないと言うこと。
それが今の僕たちの現実。
「嫌だ! 」
どうしたんだろう? 彼女が離れることを拒絶してしまう。
おかしいぞ。どうしてこんな感情が芽生えるんだ? もはや異常。
僕も少なからず好意があったんだろうな。今の今まで気づかないものかな?
「嬉しい! 」
もうどうなってもおかしくない。このままでは最後まで行ってしまう。
それはそれでいいのかもしれないがあまりに唐突な展開。
僕は中学生相手に何をやってるんだ? いいように相手のペースに乗せられて。
「ごめんミツキちゃん。どうかしてた。冷静になれない」
言い訳を重ねるがもはや自分が自分で分からない状態。
そうしてるといつの間にか彼女は瞳を閉じる。
嘘だろう? 未だかつてこんな展開は記憶にない。
ほぼ初めてだから当然と言えば当然。
でもここで求めに応じればもう後戻りできない。
「ごめん。君のことは大好きだ。でもそれだけは応じられない」
格好つける気はさらさらない。
僕だって男だから好きとか嫌いとかで動かないことだってある。
それはつまり彼女を裏切ることになる。
刹那に生きられたらな。ちょっとした憧れがある。
でもそれで彼女を傷つけていいはずがない。
続く




