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裏切りの山田

「おいお前たち何をやってるか! 」

朝恒例のハイタッチ会を終えると先生が鬼の形相で睨みつける。

一体どうしたのだろう? やはりハイタッチは緩過ぎたのか?

早く席に着きなさいと言うので大人しく従う。


うーん眠いな。退屈な授業が続いて欠伸が止まらない

それにしてもどう言うつもりだろう?

名前を覚えてもらって誤解も解けた。それなのに中々霧が晴れない。

こんなことあるのか? ただの気にし過ぎかな。 

やれることは念を押し彼女に覚えてもらうぐらい。そんな地道な作業の繰り返し。

その反復こそがとても大切になって来る。それは僕だけではなく誰でもそう。

念を押しじっと見続けることで彼女にプレッシャーをかける。


「おい山田! この問題を答えよ! 」

先生の無理難題にもきちんと対応。それが彼女に忘れられない最善策。

「その…… 分かりません」

一応はきちんと答えた。分かりませんではダメなのだけど難しくてつい。

ネチネチと言われ最終的にはしっかりしろだから嫌になる。

この時いつもなら彼女はまた始まったと伏せてしまう。だが今は笑っている。


いつの間にこれほど学力が落ちたのだろう? 

中学の二年間はやる気もみなぎっていてクラスでも上位にいた。

三年になって受験のプレッシャーからか勉強が手に着かなくなった。

それだけでなくやる気が失せ復習どころかテスト前に勉強することなく本番へ。

そうして月日は流れ夏と冬ではまったくの別人となりここを二次でどうにか通過。


それでも一年の頃はまだどうにかなったがドンドン馬鹿になって今の位置に。

光に相談したこともあったが気にするなだった。

勉強すればいつかはよくなるだから参考にならない。

そもそも光はその手のことに興味がない。絵さえ上達すればいいと思っている。

だったらせめて美術部に入ればいいのに僕と同じサークルだし。

奴が何をしたいのかさっぱり。おっと…… 今は僕のことだったな。


放課後。

ついにやって来ました。彼女の秘密を探るべく後方からの追跡調査。

まだ咎められてないので続行しているがバレたらまた絶交されるかもしれない。

そんなリスクを背負ってでも目的を果たそうとある意味命懸けの戦い。

燃えるんだよな。でもほどほどにしないとまた彼女を傷つけることになる。

それにしても彼女はなぜ僕を嫌いになったんだろう?

本人から謝罪を受けたが理由までは教えてくれなかった。

きっと何かあるんだろうな。彼女のお怒りを受けるようなことが。


追跡の動きを察知したはずもなく笑顔の彼女。

「ねえ山田君もどう? 」

まさかまさかの誘い。嬉し過ぎる。もはや有頂天。

一体どこに連れて行くのか? 二人っきりならどこでもいいか。 

まさかうっとうしいから全員で殴る蹴るの暴行を加えようって魂胆じゃないよね?

でもそんな回りくどい真似はしないか。そこまでの頭が回らないのが彼女。

いい子なんだよな。やってることはがさつで自分勝手なところもある。

そこも悪くない彼女の魅力の一つ。ああどれだけかわいいのだろうか? 

やっぱりあの長い足はそそられるよな。あの長い足で蹴られたい。

でも実際蹴られたら病院送りだろうが。加減を知らない天然狂気だから。

どこまでも行ってしまう癖がある。そこがまた危なっかしくてかわいいところ。


「いや…… その…… 」

ダメだ。心の中ではイエスなのに言葉にならない。ただ迷うしはっきりしない。

その態度がいつも彼女をイラつかせてしまう。そしてはっきりしろよとキレる。

当然毎日じゃない。たまにキレる場合がある。ただそれだけ。

でも当時は認識はされてない訳で。これはどう言うことなのかな?

 

「聞いてる山田君? 」

ああ彼女はまっすぐだ。まっすぐ明後日な方向に。おいおいそっちかよ?

どうしてかと言えば誘ってるのは実は彼女の友だちで決して彼女ではないから。

僕ともよく話す取り巻きの一人。そんな風に言うのは悪い気もするが。

でもそう見えてしまう。よくしてくれるし話していて楽しいんだけど。

僕はその子に好意があると男どもに思われている。でもそれは大きな勘違い。

よく見ればかわいいし素敵だろうさ。

僕の場合個性的なタイプも好きだから話しかけてくれる女子は大体好印象。

そう言う子は当然認識してくれる訳で。

でもおかしいな。その子の場合元気君って言うはず。

どこか違和感がある。まさかやはりこれは彼女の差し金か?


「うん。暇だし行こうぜ! 付き合ってやるよ! 」

あまりにも軽い。どこまでもアグネッシブ。こんなの僕じゃない。

でも返事しているしな…… 自分以外に考えられない。

どうやらおかしな願望があるらしい。乱暴な言葉を使ってちょっと悪く見せる。

それが格好いいと思う年頃…… 過ぎたはずだが。


「じゃあ早くして! 」

「はいはい」

うん爽やかだ。でも僕じゃない。これは僕なんかじゃない。

爽やかにさらりと言えるはずがない。

誰だ? 僕の偽物って…… そんな無駄なことしてどうする? でも……

ああでもないこうでもないと考えてるとついに正体が明らかに。


別の山田が彼女の元へ駆け寄って軽くハイタッチ。

そう彼女は誰とでもハイタッチをする癖がある。

気に食わない奴はさすがに除くが認識してないただのクラスメイトにも。


山田…… 第二の山田が裏切った。山田同盟を裏切り好きに行動しやがった。


               続く

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