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大っ嫌いの反対

屋上で彼女と二人っきり。憧れのシチュエーション。

しかもどうやら誤解が解けたようでこれはもうゴールイン間近?

それにしても屋上と言うだけあって風が強い。これは向かい風? 追い風?

うーん。向かい風な気がする。これは悪い予兆。

でもジャンプして乗り越える分にはちょうどいい風かもな。


「すると僕は悪くないんですか? 」

これも彼女の気分次第。悪いと思ったらそうなってしまう。

でもこの状況で言いはしないさ。反省してるみたいだしね。

「そうなの。こっちの勘違いだったの。本当にごめんね」

彼女は謝罪の意思を示した。

「もう少しきちんと謝って頂けませんか? それと詳細もお願いします」

つい調子に乗って彼女を追い詰める。

そう僕は何一つ悪くなかった。放課後に後をつけたのは問題ない。


「ごめんなさい山田君。この通りです」

そう言って頭を深々と下げる。

ああいい気分。でも彼女の機嫌を損ねればまた迫害を受けることになる。

馬鹿で単純だからこの手のトラブルが起きやすい。仕方ないこと。

彼女では恐らく気をつけられないだろうから僕がきちんと見守らないとな。

「もういいですよ碓氷さん。これから気をつければそれでいいんで」

「うん…… 本当にごめんね」

「それで僕の何を勘違いしたの? 」


少しだけ距離が縮んだ? もう彼女は僕の存在を無視できないし否定もできない。

素敵なクラスメイトで何でも話し合えるお友だち。親友の一人になったと。

そう勝手に思っているがどうかな? まさか一気に恋人にまで駆け上がる?

立場が逆転したかもな。いやダメだ。そんな姿は見たくない。

憧れの対象なのだからもっと強い人でないと。


クラスでは目立つ活発な子で話の輪の中心。常に女子が横にいて男子が取り巻く。

もちろん本人にその自覚なし。クラスのアイドル的存在と思ってるのは僕ぐらい。

多くの男子の本音はいつも絡んでくるうっとうしい女ぐらいにしか思ってない。

一週間近くモヤモヤしながら観察していたので分かるんだ。

男子からの人気は確かにある。だがそれはただノリがよくて面白いに尽きる。

人気理由をそのように評するのは稀。


そして恐らくスタイルがさほど良くないのが決定的。

いや足も長いしかわいいが大事な基準を満たしてない。

胸。胸の大きさがすべて。特にノリがよく親しみやすいタイプはすべてそれ。

僕はそう言うのがどうでもいいので気にしてない。

と言うかそのような上から目線ではない。ほぼ崇拝するように下から見上げてる。

いや違う。誤解しないで欲しいのは階段の下から見上げてるのでは決してない。

言い方によっては変な風に捉えられることがある。それはただの誤解だ。


やはり僕には彼女しかいない。たぶん僕たちの関係は高校からではない。

幼い頃にどこかの公園で出会ってる。

僕が助けたか彼女が助けたかは記憶が混乱している為不明なまま。

ああ思い出したいがどうせ僕が助けてもらったんだろうと諦めている。

どちらかと言うと幼い頃の僕は助けるより助けてもらう方がお似合いだった。


「おーい! 山田君? おーい! 」

つい自分の世界に入ったせいで彼女を心配させてしまう。大変罪深いこと。

ああ今僕は彼女に見られている。彼女の視界を独り占めしている。

当たり前なのだがその当たり前が僕にはとんでもなく新鮮で神聖なこと。

これがある意味僕の願望。ほぼ願いが叶って満足してしまった。

これではダメだ。もっと深い関係を築くにはもっと踏み込んでいく必要がある。

もう彼女主導ではなく僕の方からどんどん仕掛けていかなければ。


「すみません碓氷さん。それでなぜ僕を毛嫌いするようになったんです?

勘違いって何のことですか? 」

「それは言えないんだ。プライベートな問題だから。ごめんね山田君」

恥ずかしいからかふざけてごまかす。ちっとも誠意が感じられない。

舐めてるのかと凄めたらいいけど何と言っても第三の山田だからな。

それに彼女に悪いし舐められるのもいいかなと。

ただ男の体を舐め回すおかしな女の子だけにはなって欲しくない。

そんなのが身近にいたら嫌だしな。それが彼女なら絶望してしまう。

とは言え性癖は誰にである。それは僕にだって。おっと…… 関係ないことだ。


「そうですか…… 分かりました。もう完全に勘違いだと判明したと? 」

「うん。君は全然悪くない。私思い込みが激しいからつい勘違いしたみたい。

今日はこれくらいで勘弁してね。お願い! 」

そう言われたら許すしかない。でもあまり納得がいってないのも事実。

うーん。このまま引き下がるか? それとももう少し困らせてみる?

くそ! どうしてこうイタズラっぽい感情が出るんだ?

彼女が真剣に謝ってるのに僕がふざけてどうする?


「はいはい。それでいいですよ」

「ありがとう。山田君大好き! 」

おっと彼女からこんな言葉を引き出させてしまった。何か悪い気もするな。

本気かもしれないし録音しておくべきだったかな? でも軽いからな彼女。

大嫌いから大好き。百八十度違う。どう言う心の動き? 心境の変化が気になる。

「だったらハイタッチも参加していいんですよね? 」

「うん。山田君が嫌じゃないなら…… 」

「そうですか…… では参加します。参加させて頂きます! 」

「うん。それがいいよ。じゃあね」

こうして彼女との密会を終える。

幸せな時が失われていく。ちょっと苦しいな。でも明日もあるもんな。


さあこれで彼女との関係は進展した。

苦難を乗り越え我慢した甲斐があった。

きっとこれからは幸せな毎日が訪れるのだろう。

若干他にも問題があったような気もするが彼女との関係が修復すればそれでいい。

ではそろそろ帰るとしますか。


                 続く

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