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我慢の日々

あの日何が? 認識されたのは放課後だった。

それで気分よく後をつけようとして…… もうここで終わってる訳だけど。

光に誘われて散々振り回された挙句に奴の家に。

うん。今のところどこもおかしくない。

嫌われる要素があったとしたらミツキちゃんといい感じになったぐらい。

でもあれは奴の家での話で見える訳も聞こえる訳もない。

いくらそう言うことが嫌で潔癖症でも見えないものを嫌うことなどできない。


そうすると昨日の教室での僕の振る舞いが問題? 

気をつけてはいたと思うけど何と言っても浮かれていたからな。

第三の山田を捨てて接近しようとした。

それとも偶然放課後に再会したあの一瞬でやらかしたか?

もはや芸術的とも言える早業。


うーん。やっぱり嫌われるようなことはしてない。大っ嫌いなどあり得ない。

早とちり? ただの勘違い? 僕にはどうすることもできないこと?

それなら納得もできる。何と言っても彼女はあまり頭が良くないからな。

ただそれだとますます修復は困難に。

ずっと勘違いしたまま無駄に時が過ぎることに。うーんどうすれば?


「おはよう」

他の女子とは何も変わらず今まで通り。彼女にだけ酷く嫌われている。

なぜかな? 思いとはまったくの反対。

嫌われたくない人に嫌われどうでもいい人にどうでもよくされる。

熱量の問題。僕にとってどうでもいいように彼女にとっても実はどうでもいい。

でもクラスメイトだから挨拶とお話ぐらいする。

うーん。いくら分析したところで彼女を理解できない。

彼女にさえ嫌われなければ他の者に嫌われたって構わないさ。

これは極論だが彼女と親しくなれるなら他の者はどうでもいい。どうだって。


「おはよう皆! 私に会えなくて寂しくなかった? 」

図々しいが自分の存在をよく分かってる。随分と調子に乗ってる彼女。

いつも通りだがそれでもどこか違和感がある。

「さあいつもの行ってみよう! 」

そう言うと毎朝恒例のハイタッチが始まる。僕はその様子を遠くから見守る。

嫌われてるからな。しかも嫌いではなく大嫌いだから。

やはり週替わりしても同じだった。大嫌いなまま。彼女にとって迷惑な存在。

理由もなく嫌われる哀れな男。どうも感情的に動く決して頭の良くない彼女。

まさか馬鹿にしてる感じが嫌われてる要因? でも直接本人には言ってないよな。

感じ取ったとでも? だとしたら偽らざる思いだって感じ取れるはずだ。

もうよく分からな過ぎて頭が混乱するばかり。


それが青春さ。そう言い聞かせるが無理だ。限界は近い。いやもう超えている。

でも来月までは待つ気だ。月が替われば彼女の気持ちだって……

週替わりが無理なら月替わりだ。絶対に諦めるものか。

僕のハッピーライフが掛かってるんだからさ。

大丈夫。我慢すればきっと時間がすべて解決してくれる。

確証はないがそんな気がする。


絶交宣言されてから明日で一週間。現実を受け入れる時が来た。

そうして大事な勉強に集中することもなく右から左へ流す。

ああこれではダメだ。勉強も恋愛も失敗続き。ただの情けない奴決定。

へへへ…… もうどうでもいいのでついおかしな言動を繰り返すことになる。

だが教師は普通じゃないと情けを掛け見逃してくれた。

良い先生だがこれは見放したよな。

教え子の相談ぐらい乗ってもいいでしょう? 

そう簡単に解決するようなことではないが。


「修学旅行について…… 」

どうでもいい。修学旅行などこの際…… 今の俺にはまったく関係ないこと。

修学旅行で盛り上がるような気分じゃない。ただそれは僕だけ。

他の奴に迷惑を掛けてはいけない。それくらいはきちんと弁えている。

いくら感情的になろうと第三の山田だから。


「おい山田! シャキッとしろ! 」

担任は厳しい。

「それでいつ頃? 」

「書いてあるだろう? お前は…… お前たちはそんなことも分からないのか?

先生情けないよ。もう修学旅行に行く立派な高校生だろう? 」

こんな風に感情を込めて話を盛り上げる。自分に酔ってるんだろうな。

分かる気もする。でも僕ではご期待に添えないと思いますよ。

こうして修学旅行の話が出て盛り上がったところでチャイムが鳴る。

「よしこの話は今度だ。次回から班決めだからな」

ああ…… もう本当にどうでもいいんですけど。


帰り支度をしているとなぜか彼女の方から話があると屋上に呼び出される。

これは止めを刺すつもり? それとも愛の告白? ただの気まぐれ?

まあいいや。言われるままついて行く。

今僕は彼女の言いなり。もし屋上に頭の悪い輩がいたら? 

餌食になるのは間違いない。最悪だな。

とにかく最近ついてない。悪いことが続いてる。

光とも会ってない。どうも自分は奴がいないと調子が出ない。そんな気がする。


屋上。

「ごめんね山田君。私勘違いしてたみたい」

現実だ。ここには僕と彼女しかいない。

どうやらボコボコにされる運命は回避された。

よし今こそ告白する時。ビッグチャンス! でも言葉は何も。

だから頷くぐらいが限界。でもそれでもどうにかなりそうだ。

「ねえ聞いてるの? 」

彼女はもう僕しか見てない。屋上の景色を見てる余裕はない。

だって彼女だって僕にドキドキしてるはずだから。


勘違いだと分かり名誉が回復されればもうハイタッチの輪から抜けることもない。

僕は勝ったんだ。訳の分からない勘違いだか思い違いだかに完全勝利さ。

脳の誤作動が僕を苦しめた。一週間近く悩み苦しみ続けた。

今ようやく解放される。もうあんなことは経験したくない。

僕は彼女に嫌われるようなことは何もしてない。

そうだよ。これが勘違いでなくて何だと言うんだ?

分かっていたんだ。バカでおっちょこちょいの彼女なら陥るミス。

その犠牲者が僕と言う訳だ。この際だからもっと真剣に謝罪してもらわないとね。


              続く

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