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チャンス到来!

「見えてる? 聞こえてる? 」

自信がない。ないから確かめるが最悪の結果になったらどうしよう。

そんな風にネガティブ思考に陥ってしまう。

「はあ? 見えてるに決まってるだろう! どうしたんだよお前? 」

本気で心配される。自分では軽症だと思ってるが重症だそう。

おいおい冗談じゃないか。本気にするなよ…… そう言えたらな。

とりあえず誰からも認識されてないと言うオチは回避した。

そもそもそれでは違うジャンルの物語になってしまう。

これはあくまで存在感や認識の問題。

では続いて新たな説を考えるとしよう。


クラスメイトにもよそのクラスの奴にも当然先生にも見えてるし聞こえてる。

当たり前のことなのに確認しないと不安で不安で仕方がない。

こんなおかしな悩みを持つ奴っているのかな? 

おっと違う。なぜ彼女に認識されないのかだった。

実は僕と彼女は他の奴より関係が深い。

これは妄想とかその類の話ではなく真実。

 

彼女と出会ったのはいつだったか? 今高2だから去年と言うことになる。

でも実際はもっと前。近所の公園で泣いていたのを救った記憶が。

何だか逆だったような気もする。僕が泣いていたのを救ってもらった気も。

だから彼女を好きになったはず。

そう彼女にとって僕は助けられたか助けたかの一人に過ぎない。

でも僕にとっては助けられたか助けたかの恩人。


なぜ彼女は覚えてない? 幼い頃などそんなものだと言えばそれまでだけど。

でもよく近所の公園で会っていたじゃないか。それも忘れたと言うのか?

信じられないよ。どうしてこんな懐かしい思い出を共有できないのだろう?

もう彼女を嫌いになってしまいそう。でもそれは無理だから。


それにしてもまさか彼女と同じ高校になるとは思わなかった。

僕は志望校に落ち滑り止めの一つにも落ちて二次募集でどうにか。

そこに彼女がいるんだから神は見捨ててなかった。

真っ暗な未来しか見えなくて絶望していた時に彼女と再会したんだから。

その時はっきりと一筋の光が見えた。

これで彼女とのハッピーライフが歩めると思ったらどうやら違ったらしい。

悲しいよ。辛すぎるよ。どうしてまったく覚えてないんだ。

いや最初は覚えてなくても徐々に思い出してもいいじゃないか。

いやそれさえもどうでもいい。僕のことを認めてくれたら。

ただクラスメイトではなくきちんと一人の人間として認識してくれたら。

もっと言えばただの置物だと思わないで存在を認めてくれれば。


「行ったぞ! 」

移動教室だ。考えごとしてるうちに最後の一人になった。でも違った。

目の前には彼女が笑っている。お友だちとお喋りしてて取り残されたのだろう。

僕はぼうっと。彼女は楽しくお喋り。ああどうしてこうも違うのか。

まるで僕たちの間には見えない壁のようなものがあるのかと疑いたくなる。

そんなのある訳ないのに想像してしまう。この辺り?


今だって教室には取り残された者が四名。それでも認識されないのだから笑える。

いっそのこと馬鹿笑いしてしまえば彼女の記憶に強く刻み込まれるはず。

でもそれができないから悩んでいるし苦しんでいる。


今の彼女はもちろん素敵だけどあの当時の彼女はかわいらしかったからな。

だからいい思い出のままに。いやもっと素敵な思い出を増やしたい。

それが希望。ささやかな願い。叶えて欲しい。どうか振り向いて欲しい。

でも分かっている。それが無理だと証明されたようなもの。


なぜこうなのだろう? 移動教室? 

ぼうっとしていると本当に誰もいなくなった。

彼女は僕のことなど気にせずに行ってしまった。

どうも現在と過去がごっちゃになる。


せっかくのチャンスを僕はフイにした。ああ情けない。

今じゃないと思ったと言う下手な言い訳も空しいほど。

だって彼女は認識してないんだから。

未だかつて存在しない僕とどう出会うと言うんだろう?

でもこのチャンスはまた訪れる。いやもっと積極的に関わる必要がある。

そうでないとダメだ。どうしても彼女に知ってもらいたい。認識してもらいたい。


「おい山田! 」

おっと僕が遅れたものだからつい注目が向く。ほらよく見てくれ。僕は山田だぞ。

そう遅れてやって来た主人公。でも存在感ない主人公って主人公の意味あります?

もうそれだとただの脇役だろう? しかも第三の山田だもんな。


三番サード山田君…… うん悪くない響き。スター選手だ。

ああ! 言ってて虚しくなるばかり。


辛いんだぞ。彼女以外には認識されてはいるんだ。

でも彼女に伝わらない。どう言う仕組みなのか疑問。

移動教室一つとってもこうならどうにか見てもらえるはずなんだがな。

いや見てるのか。でも忘れてしまうんだろうなきっと。それで誰となる。

そう僕は存在感がないのとはちょっと違う。

忘れられやすい。忘れられても問題ないらしい。

クラスの一員と言うだけの存在。ああ笑えるよな。どれだけ情けないんだ。

自己嫌悪に陥る。あーあダメだこれは。


それにしてもなぜ僕を忘れるのか? 記憶にないのか?

脳の病気のはずもないし。不思議でしょうがない。

心当たりがあるとすればクラスの事情か。


                続く

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