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嫌な予感

山田認識とハイタッチ拒否事件。

僕と彼女に生じた変化は二人の関係を強固なものに。

しかし逆に彼女の心の変化が二人を遠ざけてしまった。

ほぼ同時に起きた現象。僕を認識できるようになり改めて向き合った結果。

だとすればそれは光栄なことだが辛い面もある。


避けられている。絶対に避けられている。こんなこと今まで一度もなかった。

避けたり嫌がったりと彼女の成長を喜ぶ半面受け入れ難い現実に困惑している。

僕には彼女しかいない。ずっと彼女のことだけを見続けていたんだ。

それなのに認識されてから嫌われる。こんな悲しいことってあるんだろうか? 

不思議だ。嫌われるようなことは何一つしてないはずなのに。

バレない範囲ではと言う意味だけど。

きっとどこかで彼女の逆鱗に触れてしまったのだろう。

でもそれがいつでどこなのかまったく見当がつかない。一体僕はどうすれば? 


ボケっと彼女を見てるだけで一日が終わる。

飯を食った記憶も授業を受けた感覚も曖昧。

ただ弁当箱は空っぽだし眠気が激しいところからも授業を受けていたのだろう。

疑いようのない事実。

「おい山田ってば! 聞いてるのか? 」

隣の席の男が騒ぎ始めた。もう放課後だと言うのに用があるらしい。

どうせこいつも第三の山田と言ってからかうんだろうな。


「はい? 」

「今日は掃除当番だろうが! 忘れたのか? 」

いきなりそんな話…… そうだったか?

「でも僕は…… 」

「いいから済ますぞ! 」

放課後になりようやく正気を取り戻したら勝手に掃除当番にされる。

これでは日課の彼女の正体を探る旅は始まらない。

昨日は後をつけていたところでなぜか光に邪魔された。

そのせいで昨日も結局彼女のすべてに迫ることができなかった。

今日こそは暴いて見せると意気込んだのに運悪く掃除当番。

まったくガキじゃないんだから掃除当番など不要だろう?

もしきれいにしたいなら先生に任せるか業者に頼めよな。一応は私立なんだし。

僕は用事があるんだから。絶対に外せない用事がある。


「なあ。いいこと教えてやろうか」

大して仲もよくないのに慣れ慣れしい態度。そんなの迷惑なんだよな。

でも強くも言えないし認識されていると思うとつい嬉しくて我慢してしまう。

「おい山田聞いてるのか? 」

床掃除にブラシを使う。おいおい嘘だろう?

もう水浸しじゃないか。どうして僕がこいつの尻拭いを?

冗談じゃない。何だか情報を持ってるみたいだけど僕にはどうでもいいこと。

気にならないと言えば噓になるけどそれでもどうでもいい。

今彼女を追いかけなければ絶対に後悔する。それは間違いない事実。

残念だけど掃除は後回しにしよう。彼女が行っちまう。いやもう行ってしまった。

では僕はこれで…… そう言えたらな。言えないんだよこれが。

もはや黙って頷くしかない。


「これは秘密なんだがよ…… 」

もったいぶってるが大して興味ないって。

大体奴が教えなければ気にせずに済む。噂ぐらい聞いておいても損はないが。

もし仮にとんでもないことなら聞き流せないぞ。特に彼女に関してだとすれば。

「いいから体を動かそうよ」

ああもう行っちまって姿が見えない。今日こそは必ずと思っていたのに。

その前の段階でつまずいている。これではただ情けないだけ。

楽しくない放課後の掃除。一分でどうにか終えないかな。どうせ誰も見てないさ。


「実は付き合ってる奴がいるんだぜ」

唐突に話し始めた。そう言えばこの隣の席の男は何かにつけて教えたがっていた。

先生の癖とか学校の噂とか修学旅行の秘密とか。

誰も求めないのに。どれだけ迷惑な存在か。もうやっていられない。

今すぐ追いかけさせろっての。それが隣の席のよしみだろう。

「うんうん。そう言うこともあるよね。でも今は口よりも足を動かそうよ」

「いいから聞けっての山田! 」

どうも第三の山田を引き受けてから軽いと言うか舐められる傾向にある。

僕は学校での評価は低いかもしれないがそれなりに経験がある。しかも豊富に。

どうでもいいが一応は聞く耳を立てる。それが優しさであり友だち付き合いだ。


「はい。それで? 」

「彼女には彼氏がいる。付き合ってる奴がいるんだ。それが先月偶然見かけてさ」

何と彼氏の存在が発覚。嘘だ…… でも全然おかしくない。

あれだけかわいんだから。へへへ…… いや喜んでる場合じゃないか。

「いないと思うな…… 彼女はそう言う子じゃない。それで彼女って誰? 」

否定する。もう嫌でも否定せざるを得ない。自分の努力が無になってしまう。

ただ一つ疑問がある。彼女とは具体的に誰を指すのか? 

女性であれば大体そうだけどこの場合はクラスメイト。

しかもきれいでかわいい目立つ子。それは僕の言う彼女に限りなく近い存在。


「彼女と言ったら彼女だろう? 言うまでもない」

「だから誰だって? はっきりお願い」

「もう…… 碓氷に決まってるだろう? 」

「へえ…… 碓氷さんね」

確かに彼女だ。予想通りだけど嬉しくない。ちっとも嬉しくない。

男の噂など冗談じゃないしどうせ嘘だし。何が目撃しただよ。嘘ばかり。

もう嫌になるぜ。大体そんなオチ誰が望むってんだよ。


                 続く

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