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ミツキとの危険な関係(妄想)

「いらっしゃい元気! 」

明るい光の妹のミツキ。元気って勝手に呼んでいるがそこまで親しくはない。

光がそう呼ぶのを自然と真似するようになった。

第三の山田も候補だったがあまりにも情けないので遠慮してもらった。


いつものようにリビングに通される。

両親は忙しいのか姿を見たことがない。

本来なら二階の光の部屋に通されるところだが大体一階で過ごすことに。

そうするとミツキも一緒にとなる訳だ。


「着替えて来るわ。相手しててくれミツキ」

そう言うと姿を消す光。

おいおい冗談じゃない。頼むよ一人にしないでくれ。

笑顔のミツキと二人っきりになってしまった。


僕は実のところこの子を苦手としている。

何と言っても積極的だから。いつもふざけて誘うんだよな。

冗談だって頭では分かっていてもどうにもならない。

そうすると緊張であたふたとする。情けないがそれを喜んでるフシもある。

悲しいがこの兄妹にはうまく支配されてる気がしてならない。


光はもちろんそんな奴じゃない。そう思いたい。いや信じてるさ。

でも今日みたいに自信満々に女の子を誘う姿を見せられると不安になる。

親友でもやっぱり僕とは違うんだなと何となく寂しくなる。

仲間だと思ってるのは僕だけで実際は違うのかもしれないな。

もちろんそこまで深刻になる必要はないけどさ。でも不安なんだよね。


「あれ新しい服買ったの? かわいいね」

つい見かけない組み合わせだったので指摘してしまう。

「ああそれだったらリバーシブルだから。色が違うだけ。

いつもは白だったけど気分で今は茶色。地味かな? 」

そう言って脱ぎ始める。

いや違うだろう? 実践してみなくていい。言えたらな。

「待ってくれ…… 」

「ああごめん。元気はそう言うの無理だっけ」

まるで僕が悪いみたいな言い方。兄の友だちに何てものを見せようとするんだ?

でも笑顔のミツキは脱ぐのをやめない。そしてサービスだと下着を見せる。

一体何のサービスだと言うんだろう? もはや声も出ないし注意しようもない。


自由奔放と言うか何を考えてるか分からない。

お客が勝手に来ただけでなぜ礼儀正しくきちんとしなくてはいけないのかと。

たかが兄の同級生にそこまでしてやる義理はない。そんな感じだろうな。

確認はしてないが態度で何となく分かる。でも分かるからっていい訳でもないが。

三個下とは言えもう立派な体なのに幼い精神。

どうも調子が狂うと言うか落ち着かない。光に似て色白でかわいいから余計だ。

ああつい興奮してしまう。でもダメだ。こんなところを奴に見つかったら……

一大事どころか絶交される。仲良し兄妹だからな。


「ああごめん。待たせたな…… 」

計ったようにバッドタイミングで再登場の光。

妹の悪ふざけを誤解するかのように大げさに動揺する。

しかし持ってきたコーヒーは一滴も零れてないぞ。どうせ演技だろう?

動揺してるのはこっちだし。どうしたらいいか? 

何でこんな初歩的なトラップに引っ掛かるのだろう?

目の前には狩り頃の獲物が。それを目の色変えてハンティングするイカレよう。

決して自分のせいではない。これはもう不可抗力。

そういくら言い訳したところで相手の取り方次第。


「ははは! 俺の妹に何をしやがる! 」

怒って見えてただからかっている。危ない危ない。どうやら本気じゃないらしい。

助かった。本気でキレられるところだった。

「ダメだよお兄ちゃん。元気が遊びに来なくなるでしょう」

そう言って心配するが何を心配してるんだ? いまいち理解できないんだよな。

光の考えてることだって分からないが。

そもそもなぜ兄の友だちに破廉恥な真似を? 

これが愛情表現ならまだ理解できるがきっとからかってるだけだろうし。

「ごめんね。今度はしっかり見せてあげるから」

もうダメだ。次は絶対行くものか。これ以上は危険過ぎる。

訳の分からない気遣いほど怖いものはない。


もしかしてこれって妄想? きっとそうだ。そうに違いない。

僕ごときにいくら親友の妹でも相手してくれるはずがないだろう。これ常識。

騙されないぞ。僕は常識人なんだ。


「ほらもういいだろう? 邪魔だからあっちに行けって! 」

邪険に扱う光。それはそれで違うんだよな。と言うか二人は僕をどうする気だ?

「それで妹はどうかな? 普通かな? 」

追い出した妹を思う家族思いの光。妹思い? 行き過ぎるとシスコンだ。

奴はまた違う道をたどろうとしてるのかもしれないな。

「普通って? 僕にはとってもかわいいけれど。そう言う意味では普通じゃない」

褒めておく。ここでお世辞一つ言わずに貶したら妹思いの兄が爆発するだろうし。

そう二人はとても仲のいい兄妹。羨ましい限り。だから褒めるのは当然。

「ははは! 元気の前ではいつもこうなんだよ。でも他の奴だとそうはいかない」

どうやら妹は中学では上手く行ってないらしい。可哀想に。


うん? いや待てよ。僕も同じでは?

深くは考えて来なかったしクラスでの役割りもあるからな。

でもよく考えれば存在感がなくて忘れられている。

それは彼女にだけじゃない。多くのクラスメイトにその存在を忘れかけている。

やっぱり元凶は間違いなく彼女だ。

山田元気を第三の山田にし続けてるのもやはり彼女の仕業。

彼女が頑なに僕の存在を認識しないから。それが伝染していく。


今日ようやく認識されたが明日にはもうきれいさっぱり。

それが彼女と僕の関係。ただのハイタッチ要員兼第三の山田だ。

埋もれたまま。たまに掘り起こすのは先生のみ。

ああこんな関係を甘んじて受け入れるなどどれだけ屈辱か。


               続く

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