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光るもの

絵のモデルを頼むと言う光に付き合ってクレープ屋へ。

ちょっと離れたところで様子を窺っている。


さっきから嫌な視線を感じる。まるで睨まれている。

どこかは分からないが非難するような感じ。

どう言うことだ? 光の知り合いか? それとも前の女?

大体これが部室で感じていたものなら同じ学校の生徒だろう。


そもそも光自身はまったくモテない。だって格好よくも頭がよくもない。

身長だってない。それは僕も似たようなものだけど。

大して特徴がない。ただ積極的だから女の知り合いは多いと。

それと女の子がよくやる習い事を小さい頃からやってるのだとか。

バレエにバイオリンだかピアノだかビオラだか。それにスケートや絵画教室まで。

そうやって女の子と自然に触れ合っていた光。実際どこまで本当のことかは不明。


だからなのか軽い。自然体とでも言えばいいのか緊張も見られずに軽く誘うのだ。

見ているこっちの方が恥ずかしくなるほどの誘い文句。

まったく意識してないと言っていたっけ。勝手に口から出てくると。

要するに根っからの女たらし。でも見た目は地味だから目立たない。同類だ。

隣のクラスだが奴の噂が流れて来ることも話題に出ることもない。

どうやら学校では大人しくしてるんだろうな。サークルではいつもの調子だが。


奴の行動原理がいまいち理解できない。

もし奴に学校では存在感がないと言えばお前ほどじゃないと返されるのがオチ。

だから詳しく追及できない。そもそもどうでもいいから。

親友だと言うのに深く奴を理解してない。これでは親友失格だな。

奴は何だかんだ度胸だけはあるからな。超積極的で後先を考えない。

一人ぐらい紹介しても…… いやダメだ。彼女に悪い。


「なあ最近視線を感じないか? 」

思い切って相談する。

「おいおいどうしたんだよ? いつも言ってるだろう気のせいだって」

「そうじゃなくてさ…… 」

僕を変な目で見ないで欲しい。ただ昨日よりも一昨日よりも強く感じるんだ。

だから相談してるんじゃないか。見捨てないでくれよ親友だろう?

でもそんなこと言えない。おかしくなったと思われるからな。


「どうせお前を見てる女の子がいるって言うんだろう? そんな奴はいない。

大丈夫。きっと気のせいだ」

光はよく周りも確認せずに決めつける。本当にいい加減だな。

そもそも女の子とは一言も。でもきっとそうなんだろうな。

「だってほら…… 感じるだろう? お前だってそう感じる。遠慮するなって」

おかしい。どうして光は僕の気のせいだと決めつける? 断定するなよ。

まさか僕が信じられない? いやたとえそうでも合わせてくれてもいいだろう。

でもそこが光の欠点であり長所でもあるから複雑。

「だから誰もいないし見てないって。それよりお前も付き合えよ」

強引な光。冷静に少しは真剣に向き合ってくれないかな。


クレープ屋でモデルの依頼を頼む。

「ソーリー! ビジーアンドビジン。後でね」

軽くあしらわれた。面倒な奴だと思われたんだろうな。

光は振り向くまで追いかけるような真似はしない。

そこはスマートで尊敬する部分。僕だと縋りつくだろうなきっと。

「ちょっとだけ」

意外にも粘る。どうやら今回のモデルは大物らしい。それでも相手が悪すぎる。

「はいはい。次の方プリーズ」

クレープを作ってる時に勧誘しても成功するはずがない。

それは考えれば分かることなのに。何をそんなに焦っているんだ?

これでは振られても仕方ないかな。残念でした。


「ソーリー! プリーズ」

盛況で手を止められないから適当にあしらってると勝手に思っていた。

でも興味のない者からの誘いはただの恐怖でしかない。理解してるんだろう?

こうして無駄なモデル探しに付き合わされる。

それでも協力した。しかし成果は得られない。これではやる気が出なくなる。


クレープ屋の女性を諦めて今度は町で見かけた女の子三人。

しかしどれも納得できてないのか適当にあしらっている。

そもそも彼女たちは光っていないと。光の言うことだからいい加減だろうが。

でも確かにクレープ屋の女性に比べると見劣りする。

それは彼女たちが悪いのではない。あの女性の方が優れてるに過ぎない。

だから気を落とす必要はない。頑張って行こう。

そんな風に言えば舐めてるのかと言われるのがオチ。


親友で仲間で相棒でもある光の気持ちは痛いほど分かる。

でも失敗する日だってあるさ。当然毎日モデルが見つかるはずないんだ。

そもそも光如きでは女の子は寄って来ない。それを理解してないんだろな。

自分は特別だと思ってるのはバレバレ。学校での立ち振る舞いとは随分異なる。

いい加減落ち着けっての。慰めの言葉もない。


「さあ帰ろうぜ。今日も寄って行くんだろう? 」

誘われて光の家に。いつも来てるのでどうと言うことはない。

でも何でだろう? いつもと違う。意識してしまっている自分がいる。

まさか僕たちは超えてはいけない一線を超えるのか? 超えようとしてるのか?

それは構わない…… はずもなくせっかく第一の目標の認識まで行けたのに。

光で妥協して堪るか。僕は彼女一筋なんだから。


               続く

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