表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤髪のイケメンが黒髪のモブになり替わり、国の英雄を殺す物語  作者: 焼肉一番


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/34

第1話 出会い

 石畳の道を、俺は歩いていた。

 目元まですっぽり隠れる黒いフードは俺のお気に入り……と言うか必需品だ。


 一ヶ月後、俺はこの街のとある学校に入学する。

 今日中には住む家が手に入る予定で、今は街の下調べと言ったところだ。引っ越したらどこに何があるのか、愛剣をどこで研ぐべきかでウロウロしたくはないので、前もって完璧にしておく必要がある。


 統一された家並みに整備された道、その道に沿って流れる川も全部綺麗だ。豊かな国なんだろうってのはすぐに分かる。


 見慣れぬ景色が続く街を歩くのは悪くないが、朝早くから地図を片手に街を徘徊、気付けばもう昼食時はとっくに過ぎていた。

 さすがに疲れたし腹も減ったと、川沿いのベンチへ腰掛ける。

 そして、どこか軽く食事を出来るところはないだろうかと手元の地図を覗き込むと、視界に何かがキラリと光った気がした。


「ん?」


 光の方を確認すると、それは少女の髪であった。


 俺が歩いていたその川沿いの道は、通行人用の道とは別に、下に船着き場が続いていて、途中途中の階段からそこへ降りられる仕組みになっている。

 俺が座ったベンチはもちろん上の通行人用の道にあったものだが、川が見渡せる向きに置かれており、ちょうどその下の船着き場に少女が一人座っている。


 はだしの足を川へ投げ出して何やら本を読んでいる様だが、その少女の金髪が眩しいくらいなのだ。

 いや、輝いているのはどうやら髪だけではない。何故だか分からないが、少女そのものが輝いている様に見える。

 俺はどうにもその少女の後姿から目を離せなくなってしまった。


 後方からこんなにジロジロ見られていると分かったらさぞ気持ち悪いだろうなぁ。まぁ本に集中してるみたいだし大丈夫だろう。

 と、そこに、分かりやすいゲス臭が漂う二人組の男が近付いて行った。


「ねぇねぇお嬢ちゃん何してるの? 俺達と遊ばない?」


 はぁ……、くだらない。

 蔑んだ目でそいつらを見下ろしていると、声を掛けられた金髪の少女がくるりと振り返った。


「……っ!」


 おいおいおい……。あいつは……あの少女は……自分の顔の作りを理解しているのだろうか。たぶん分かっていない。分かっていたらその顔で、不用意にナンパ男に上目遣いをする筈はない。


 女に見惚れるなんて経験は生まれて初めてで、自分に「好みのタイプ」なんてもんがあるとも思ってなかったけど、たぶんこれがそうなんだ。

 しかも、その大きな青紫の瞳は濡れていて、そこから溢れた涙が一滴……宙へ浮かんだのが分かった。


 どうして泣いているのか、どうして涙が浮いているのか、なんだか周りに浮かぶ涙の粒も、彼女を美しく見せる為の特殊効果の様じゃないか。


「ごめん今それどころじゃないの。一人にしてよ」


 そう言って本に視線を戻す少女を見て、俺はホッとしていた。

 しかしその二人組は簡単には引き下がらなかった。少女の隣に図々しく座り込んで両サイドから何やら口説き文句を並べ立てている。


「チッ」


 自然と舌打ちが出た。イライラする光景だ。

 俺がやきもきとその後姿を見ていると、前方に流れる川が不自然に揺れた。辺りを見渡すが船が来たわけでも魚が跳ねたワケでもない。

 極めて不自然に動いているのだ。

 少しばかり妙だなと思った途端、急に大量の水が空中に持ちあがって巨大な水の球体を作った。


「うわあっ!」


 その球体は少女と、ナンパ男二人組の頭上まで来るとどんどん膨らみ、そのまま落下。超巨大な水風船が割れたみたいにあたり一面に弾けて消えた。

 そしてその水飛沫は、思いっきり俺のところにまで飛んで来て……気付くと、全身びしょ濡れになっていた。


「ぷあっ……加護付きか! 乱暴な女だな!」

「ああ! 普通ここまでするか?!」


 加護付き……なるほど。前方の三人のうち、一緒に巨大水風船をくらった筈の少女はちっとも濡れていなかった。


「……!」

「…………!」


 何やらブツクサ文句を言いながらナンパ男たちは退散。

 自分でやっておいて、少女は何だか申し訳なさそうに、立ち上がって二人の背中を見送っている。


 そしてとうとう、ずっと後方上段に居た俺と目が合ってしまった。


 胸の少し上くらいまである、緩くうねった柔らかそうな金髪は少しも濡れてはいない。その不思議さに思わず釘付けになる俺に、少女は駆け寄って来た。

 まずい……。ジロジロ見過ぎだ。慌てて目を逸らすが時すでに遅し。少女は二メートルくらい下の船着き場から、俺へこう声を掛けた。


「私……リルベリー・シャンゼロロ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ