はじめに
使用するダイス
八面、十面、十二面、二十面ダイスを使用する。十面ダイスは二つ必要である。
参加者の役割
GM:ゲームマスター。ゲームの語り部であり、その時々にルールを裁定する審判。
PL:プレイヤー。ゲームの参加者。
PC:プレイキャラクター。ゲームにおいて、プレイヤーを反映するキャラクター。
NPC:ノンプレイヤーキャラクター。シナリオの登場人物であり、主にGMが管理を担当する。
判定について
指定の技能や何らかの値に対し、ダイスを振って、ロールの結果の数値がそれ以下ならば判定は成功となる。
また、ロールするダイスについては、以下の『判定難度』に従って選択される。同じ値での判定でも、難度が上がるほどダイスのロール値は大きく範囲をとるため、成功の確率は下がってゆく。
このゲームについて
このTRPGは、人知を超えた力『異能』を持つ『異能者』を演じるゲームである。
『異能者』は、今この瞬間とほとんど同じ・・・・・・少しだけ異なる現代に生まれ、しかし普通の世界とは大きく異なる「異能の世界」を生きている。人が一個の人としてあり、人として暮らしている普通の世界のすぐ裏側───数々の異能者が跳梁跋扈し鎬を削りあうその世界は、一寸先も見通せない暗闇の領域だ。たった一人の『異能者』がたった一晩の間に数え切れない数の人間を殺傷することもあれば、気まぐれが重なって国家の存亡の危機が訪れることもある。
そんな「異能の世界」は、遠いどこかにあるわけではない。例えば、ラフな恰好の異能者はカフェテリアでタブレットを操作して集めた異能の情報をまとめ、コートを羽織った中年の異能者は事件の調査中に公園で返り血を浴びた幼い異能者とばったりと鉢合わせ、特殊な方法で情報を盗み出す若き異能者と企業の部長を勤める異能者がビルの最上階で取引し、スーツ姿の異能者と制服姿の異能者とが高速道路の高架下で死闘を繰り広げる。身近だが、関わりがなければ絶対に交わる機会のない「街の死角」に彼の者共は蠢くのだ。
さて、そんな世界を生き、特異な力を持っている『異能者』たちは、普通とは少しズレた感性をしていたり異なる社会的立ち位置に居たり、あるいは『異能』の力を隠そうと常に気を使っていたりと、『異能』によるパーソナリティへの影響を多少なりとも受けているだろう。もしかすると『異能』を宿しながらも一切揺るぐことのない強い自我の『異能者』も居るかもしれないが、『異能』を簡単に受け入れることのできるようなパーソナリティも、また非常に強力な個性であると言える。つまるところ、このゲームのプレイヤーが演じる『異能者』とは、元々は人間的に見て平凡でも、あるいは既に特殊なパーソナリティを持っていても更に、「ほんの少しだけ奇妙な人物」なのだ。
ゲームの大まかな流れ
ゲームの流れを説明しよう。PLはまず初めにハンドアウトを配布され、自身のPCがシナリオから課された秘密の目的『シナリオ令』を獲得する。シナリオはゲームをプレイする上での大まかな筋書きであり、具体的な舞台設定───例えば、事件がどんな場所で発生したか、PCがどんな行動を取れるのか、どんなNPCがいつ現れるのか───は『ステージ』として記される。『ステージ』は初めから全てが見通せる訳ではなく、ステージ上の情報を探ったり、特定の場所に行き着いて初めて現れるような要素もある。これらの設定は、流動的な状況を(GMが)見計らって引き起こされる「運命」のようなものだ。
とはいえ、全ての物事が設定通りに進むとは限らない。ロールプレイの方向性によってはシナリオそっちのけでPC同士の抗争が引き起こされるかも知れないし、想定外のエンディングを求めての奮闘が始まるかもしれない。
そしてその最も大きな要因こそが、GM、PLに並ぶこのゲームの主役たるダイスであり、時として偶然にも恐ろしい結果をもたらすことがある。稀に起こる奇想天外な展開は、シナリオに緩急を生むスパイスとなってゲームを盛り上げるだろう。あるいは唐突に牙を剥き、シナリオやキャラクターを破壊しにかかることもあるかも分からない。そんなとき、運命に抗う中でGMやPLの本性が見え隠れすることもまたあるかも分からない。ムキになりすぎないよう気をつけるか、あるいは、相談の上で存分にムキになれる環境を整えてからプレイに望もう。
さて、以上がこのゲームにおける主な要素だ。奇妙な異能者、不確定な異能の世界、互いに不明なシナリオ上の目的や手札、シナリオに設定された幾つもの不確定要素、ロールプレイとダイスが作用する不安定な展開───これらがPL、そしてGMの前に立ちはだかる。しかし苦境においても自身のプレイスタイルを見失わず、共にゲームを楽しむ仲間と力を合せて立ち向かえば、必ずや最高の結果が得られるはずだ。