サンダルフォン
兄を私は憎んでいた。同じく兄もわたしを憎んでいたのだと思う。
兄は私をいつも殴った、兄は私をいつも蹴った、兄は私をいつも犯した。何度も、何度も。
兄は母の前ではいつも笑っていた。兄は父の前でもいつも笑っていた。兄はいつも目が笑っていなかった。
兄のやったことを母は咎めなかった。兄のやったことを父は見ていないふりをしていた。普段はいい子だからと、母は、お前にも非があるのではないかと、父は言った。
そんなことはないのに、いつもいい子にしているのに、生まれて十数年、私は言われた通りに生きてきたのに、言われた通りの学校に行って、言われた通りに優しい性格になって、言われた通りに自由なんてない生活を送ってきたのに。
これがずっと続いた。一年、二年、三年、ずっと、ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと...
だから、みんな殺してしまいました。殺してしまいましたの。
お兄様は寝ているうちに縛り付けて包丁で何度も刺してあげましたわ。急所を外して何度も、何度も。男根も切り落としてあげましたわ。こんな罪深きもの、あの世に持っていくなんて失礼ですもの。最後は首を絞めてじっくりと、ゆっくりと。お兄様はこうしながらするのがお好きでしたものね。
お母様は、背中から包丁で刺してから、袈裟懸けにしてあげました。兄の死体を見て困惑しているお母様に、苦痛と当惑がトッピングされたときの表情は、とても私の想像したものと一致していて、少しうれしくなってしまいました。
お父様は、失神させた後、首を吊って殺して差し上げました。少し生ぬるいですが、何も知らぬまま、何もわからぬまま、神の眼前に立ち狼狽するあの男の姿を想像するだけで、私、興奮が冷めませんわ。
さて、そろそろ私も行きましょうか。昔、どこかで読んだ本に書いてあった、偉大なる私の神、アドナイ、ヤハウェをこの目に深く、焼き付けるために。
エリヤ「ヤハウェは我が神なり」