廃墟の中の友人
こちらは百物語四十話になります。
山ン本怪談百物語↓
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学生時代、近所の友人たちと一緒にホテルの廃墟で「肝試し」をした時の話です。
「なぁ、じゃんけんしようぜ。最後まで負けた奴は、廃墟の中へ入る罰ゲームだ」
友人の1人がそんなことを言い始めた。
面白そうだったので、私たちはその場でじゃんけんをして廃墟に入る可哀想な奴は決めることにした。
「マジかよ…」
最後まで負け続けたのは、友人のB君でした。私たちはB君に懐中電灯を持たせると、ホテルの屋上を指さした。
「屋上まで行ってこい!向こうに着いたらちゃんと合図するんだぞ!」
B君は不安そうな顔をしながら、渋々廃墟の中へ入っていきました。
15分後…
「あっ!Bが来たぞ!」
外で待機していると、屋上から小さな光が見えた。どうやら、B君が屋上へ到着したようだ。しばらくすると、屋上からこちらを見つめているB君を確認することができた。
「やるな、B!」
「大丈夫か?もう降りて来いよ!」
B君に声をかけると、気がついたB君が屋上から離れていった。
2分後…
先程まで屋上にいたB君がもう帰ってきた。
「帰ってくるの早いなぁ!」
「よくあんなところ行けたな…すげぇよ…」
私たちはB君を囲むと、次々に称賛の声をかけていった。しかし…
「何ってんだ、お前ら…?俺…怖くてさぁ…2階でギブアップしちゃったんだ。怖くて動けなくて…しばらく1階の階段で震えてたんだよ…」
私たちはお互いの顔を見合わせた。
「それじゃあ、屋上で見たBは…?」
B君にそのことを伝えようとしたが、誰も声をかけることができなかった。
B君はとても怖がりな性格だったため、こういう場所で嘘をつくとは思えない。
あのB君だと思っていた人は一体…
ゴールデンウィークということで「廃墟」の短編怪談を3話書きました。
残りは5日に公開します!