谷の底
続きです。
橋を渡っていたらしく思いのほか、放り出された場所は深く、下へ下へと落ちていった。
自分はエキドナを抱きしめ、そのまま自分が下になるような形で地面に打たれた。
~~~~~~~谷の底~~~~~~~~~
「いてて、」
自分は魔法騎士と呼ばれる部類の人間であるのだが、そういった類のものはあまり使えないため、仕方なく身体強化のみで落っこちた。
幸いにも女は無傷であるが、息はもうな、
「うっ」
苦しそうな顔をしながら、女はこちらをみあげた
「すげえ」
素直に驚いた。
体感的にあそこからここまで三分ほどかかっているし、通常、さらには死ぬ直前であった女が生きているはずはなかった。しかし、
「一緒に降りなくてもよかったのに~」
なんて明るい声が聞こえた
それでもまだ体調は悪そうである。
「げほ、げほ」
「ほんとにそれだけかよ、」
なんだか複雑な気分になった
「それにしても、どうしたものかな」
ここは谷の奥深くであり、死素量は少ないが、生物がいる気配もない。
それに、俺は空を飛べない。
「まあ、谷に落ちたのなら川があるはずだし、魚でも食えばいいか」
もうぴんぴんしているエキドナが言った
「おい、なぜそんなに元気なんだ?」
流石に怪しくなって聞いた。
「私?、さあ わからないね」
なんだか小ばかにされているような目つきであったためイラっとした。
「にしても変なにおいがするなあ」
なんだか話を変えるためだけに発した言葉のように感じられたが、多分違うのだろう。確かに変なにおいがする。ツンと鼻を刺すような臭いだ。
手を見ると、黒い。
とりあえず燃やしてみた。すると
「ぎゃあああ」
エキドナが叫んだ。
「あっ、ごめん。なんか燃えてる。」
ということは、原油か何かか。
しかし、200年ほど前に人類は純化石燃料使い切ってしまったはず
「危ないじゃないの」
どういうわけか、完全に燃えたはずのエキドナがぴんぴんして立っている。
「はあ、燃えたら回復魔法で何とかしようと思ってたけど、」
「このサイコパス野郎!」
ぽかぽかと頭を殴られた。
それよりも、あたり一面燃えている。
そもそも、人口石油は自然発生しないし、石油も同じはずだ。
壁を駆け上がるか?しかしエキドナが火にやられてしまう。
それに、そうしていなくても死素量が増えすぎてそのうち死ぬことだろう。
「とりあえず、周辺を探索してみるか」
「了解!」
とりあえず二人で谷を探索することにしてみた。
「エキドナは武器かなんか持ってるのか?」
「ええ~っと」
エキドナは何やらバックの中をごそごそ漁った。
しかしながら、肩掛けカバンしかもっていないためあまり期待はできない。
「圧力式の銃と、ナイフくらいかな?」
「何とも準備周到な、」
もう驚かない、機関士とはそんなに大変な仕事なのだろうか?
「まあ、死素の多いところを走ったりするから、一応ね?」
確かに、死素の多いところにはそれを養分として魔物が多く生まれる。
「ちなみに俺はこれだけだった」
俺は太ももに取り付けてある収納から、魔術の刻印のついたナイフを数本、
同じく刻印入りの剣の柄をマントの中から取り出した。
「なんで柄だけ( ´∀` )」
「魔力を注ぐとほら」
美しい刀身を作って見せた。
「へえ、すごいじゃない」
「魔法騎士のたしなみだ!」
とはいえ、門外不出技術ではあるので公にはできない。
「自慢じゃないが魔法学校主席だ」
「自慢じゃん」
「まあそうとも言えるが、」
なんだか、こいつと話していると楽しい。
そろそろ出発しようとして靴ひもを結び始めると、意識が飛んだ。
するとその先には***がいた。
「春は、私のもとに帰ってくるよね?」
何が何だかわからずいると、***は体の中に入ってきて、
***のいたところにはエキドナがいた。
「どしたの?」
「いや、何でもない。」
そうして、二人は谷を、風の吹くほうへ歩き始めた。
ちなみに私はメンヘラがあまり好きではありません。
ツンデレや、クーデレの中に潜む、独占欲、ヤンデレが好きなのです。