お嬢様JKの私が4次元からの堕天使と同居する件
シリーズ化しています。第四話まで更新中
私は気づいていた。
高校の図書室からの帰りだった。
最近の興味である量子力学の本を1冊手に取り、図書室のいつもの席ー海外小説が並ぶ棚の前にある椅子に座っていた。
目深にフードを被った男子生徒が真横に座っているのに気づいたのは、エントロピーという概念を熱力学的観点から紐解く章に入った頃だった。
気味が悪い。
私は毎日ここに座る故、この机を利用する連中はある程度顔が知れている。
大概が大学受験に向けて勉学に励む学生、それも1人で勉強するのが好きなタイプがほとんどだ。
だがコイツは違った。明らかにチャラついている。
指定制服の上にビビットな紫のパーカーは、校則の緩いうちでも中々見かけない格好だ。
新手のイジメでも始まるのか?
都内で10本指に入る、とまでは行かないまでも、うちはそこそこの偏差値を誇る私立中高一貫校だ。それもあってか、目立ったイジメの話は聞かない。
もともと人見知り、というよりかは、パーソナルスペースを急に侵されるのが苦手なタイプな私は、そそくさと部屋を出ることにした。
16時を少し過ぎた頃。
本の貸出手続きを行った後、最寄り駅への道を歩いていた。
ヤツが着いてきている。
面倒なのに絡まれたな。
流石にここで何らかの手を打たねば。
「あの」
ヤツの足が止まった。
「何か用ですか?」
「あー、気づかれちゃったか」
白々しい。早く用件を。
そう思っていた。
「まあそんな焦んないで。ちょっと話があってさ」
まるでこちらの心を読んだかのような発言に少し驚いた。
「ちょっとゲーセン行かない?」
そう言ってフードを外すと、そこには目鼻立ちの整った中性的な顔の男子が立っていた。
目鼻に卵、この言葉は彼のためにあるのではないか。