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野蛮学校物語外伝  作者: yukke
第1章 ノルカ村の厄災編
2/4

ノルカ村の厄災 2.何の変哲もありません?



 「着いたぞ。……ん? 村だな。」

 「村自体は大きいけど……なんかしょぼいね……。」

 「ここが殺気の場所?」

 「俺もちょっと予想外だ。」


 「だが……昨晩の殺気は間違い無く此処だ。」

 「ホントにここ?」


 「間違い無い。」



 ユッケについて行った俺達は、殺気の発生源にアッサリとたどり着いた。

 道中は特に変わった所も何も無かった。



 そこは、俺達がイメージしていた呪いの場所とは全く違っていた。




 大きい村なのだ。




 雨漏りが激しいようなボロボロの藁の家。


 昼前だというのに、人っ子一人見当たらない。



 農作業している人、

 井戸水を組んでいる人、

 炊事をする煙や人、



 その音と物陰が、全く無いのだ。



 規模が大きいので、その物静かな空気が更に不安に駆り立てる。

 こんなに静けさしか無い村は今の所初めてだ。



 「……取り敢えず、この村を調べない?」

 「そうだな。」



 「ホントはやりたくないんだけど……。」という顔で提案するモーク。

 俺達は当然賛同した。


 少し歩くと、村の中心にある崩れた何かのシンボルの付近に到着。

 ちょっとした話し合いをする事にした。



 「この村此処を中心に丁度四分割されているから、各々が調べて此処に集合しよう。広さからして……90分後に集合でいいか?」

 「さんせー。」

 「いいよ。」

 「何か報告があったらサングラスで共有すること。アリスは東、モークは西、俺は南、アイリスは北で。何か緊急事態に直面したら全力で逃げろ。」



 こうして俺達は、それぞれの方角にある地帯を調べる事にした。







 俺はユッケに指定さるた北側を探索する。

 四人で歩いていたのより、一層不気味な感じに包まれている気がする。


 (前まで人が住んでいた後は残っているんだがな……)


 すると俺は、この村の違和感にうっすらと気付いた。

 とある家の中に入ってみると……。

 


 「ゲホッゲホッ! 埃だらけ……!?」



 ジメジメとした空気と舞い上がる埃に咳き込む。


 すると、数十する蝗と黒光りが何かの袋に群がっていた。


 俺は慣れた手つきで蝗と黒光り、こびりついた大量の埃を払いのけ、麻袋の中身を確認する。


 (小麦だ。食われてボロボロだけど、そんなに日にちが経っていないな……じゃあ、どうして此処まで埃だらけなんだ?)



 何の変哲も無さそうなこの村だが、何かがおかしい。

 俺はそう感じ始めた。



 「……こんな所でどうしたの?」

 「うおっ! ……ゴホッ、ゴホッ!」



 直後、後ろの扉辺りから声が掛かる。


 突然の声掛けに俺はビクつきながら後ろを振り向いた。

 つい息と同時に多量の舞い上がった埃を吸ってしまい、激しく咳き込む。



 見ると赤い帽子を被った少年が居た。

 年は9前後、俺の腹位の身長。


 俺はサングラスで情報を転送する。



 《9歳位の男の子を発見。》

 《何!? どこから出て来た?》


 《俺にもわからん。だが、今の所敵対の意志は無い。》

 《了解、引き続き対応を続けろ。万が一ヤバかったら……逃げろ。》



 ユッケの気迫が此方に伝わってきそうな声が聞こえた。

 昨日の殺気に気付いた俺だ。

 そこまで言う気持ちも分かる。 



 「……ごめんなさい。……なにしてたの?」

 「ああ、済まない。俺達初めて此処に来てな……色々調べてたんだ。」


 「どうして?」

 「えーっと……どういうわけか不思議な村だなと思って。」


 「誤魔化さないで。」 



 子供相手に流石に嘘を貫くのはそんなに簡単ではない。

 こんな状況で誤魔化すのは無理があった。



 「変な事を言われるのは御免だからな。素直に話すよ。」



 堪忍した俺はこの部屋から出て、その子供に事の詳細を話す。



 「ふーん。あのお家が気になって調べたんだ?」

 「ああ、そうだ。この家だけ埃だらけなのは知っているのか?」


 「知らない。僕もずっと気になってだけど……皆教えてくれない。」

 「そうか。……ところで、君の愛称は何だ?」


 「グルース。お父さんとお母さんが一生懸命考えた愛称。」

 「そうか。それは良かったな! ……で、グルースくん。お父さんやお母さんに会えるかな?」


 「うん、ついてきて。」



 俺はグルースくんの言われた通りに着いていった。

 数分掛からずに、グルースくんはとある家を指差す。



 「ここ。」

 「立派じゃないか。中に両親が?」


 「うん。」


 (モークが調べている地帯だな)



 綺麗な藁と木を組んだ家であった。

 正直ボロボロの家ばかりだったから他のよりも明らかに目立つ。


 俺は扉を4回ノックし、取り次いで貰う事にした。

 だが、しばらく経っても返事は無かった。



 「あー、ごめんなさい。こうしないとダメなんだ。おとうさーん! おかあさーん!」



 すると、すぐにドアが開いた。

 多分何かの暗号的なものだろう。


 30代ぐらいの男が姿を表した。



 「グルース、そこにいる人は誰だい?」

 「訳あって此処に来た冒険者だよ。」

 「初めまして、アイリス・オーリアです。仲間達と一緒に冒険の旅をしています。」


 「おお、息子が世話になった。ところで、こんな辺鄙な村には何のために?」

 「実は……。」


 「長くなりそうだ。私の名前は気軽にベラルーと呼んでくれて構わない。」



 俺が一から説明しようとするが、グルースの父、ベラルーさんは察したようだ。

 



 ベラルーさんに中を案内された。



 部屋の構造は単純、広い一室のみ。


 そこに、


 調理器具がキッチリと整理された調理場

 穀物などを保管する場所

 寝室

 居室

 農業用具置き場


 を纏めている。



 居室と思われし場所で俺とベラルーさんはテーブルに対面になっていた。

 グルースは木製の積み木で静かに遊んでいる。



 「あそこで眠っているのは私の妻、エカです。数日前から農場で体調を崩してあんな状態だ……。特に別状は無いので大丈夫なんだが……。」

 「そうですか……。」



 

 部屋の右奥にはベッドが2つ重なっており、そのうちの一つには横たわっている人がいる。

 エカさんだろう。


 どういうわけか、普通人が入っているならベットは上に盛り上がるハズなのだが……何故かペッタンコのままだ。


 

 「……済まない、さっきの話を聞こう。この村に来た理由は?」

 「そうですね、まずは……。」

 


 俺は事の経緯を丁寧に教えた。



 「……という感じです。」

 「……。」



 ベラルーさんは沈黙したまま目を閉じて聞いていた。


 俺は質問を投げかける。



 「ベラルーさん。昨日、何かこの村を襲った殺気について心辺りがありませんか?」

 「……やめとけ。」


 「はい? ……すみません。」



 俺はベラルーさんの返答に思わず聞き返してしまった。

 

 

 「今すぐこの村から出なさい。今ならまだ間に合う。」

 「……どういうことですか?」


 「早くこの村から出ていけ!!!」

 「……えっ!? ベラルーさん! 落ち着いて下さ……うわぁっ!」



 ベラルーさんはいきなり血相を変えて俺を怒鳴りつけた。

 俺はベラルーさんの怒号に驚き、身構える。



 そしてベラルーさんは近くの農業用具である鍬に手を掛け、俺に向かって鍬を振り下ろしてきたのだ!



 素人の攻撃だったので余裕で回避したが、俺はこれ以上居座るとグルースやエカさんに悪い。



 「す……すいませんでした!」



 俺は仕方なく軽く謝り、ベラルーさんの家から出て逃げ出した。



 逃げ際にベラルーさんは、鍬で体を支えながら下を向いていた。


 (……どういうことだ?今ならまだ間に合うからこの村から出ていけ?)


 この村の謎は深まるばかりであった。



 俺は再び探索を中断した地点に戻る事にした。



―――――――――――――――――――――――



―――――――――――――――――――――――

―アリス視点―



 変ね……。


 アイリスが調べた所は埃だらけだったらしいけど……。


 此処は、綺麗。




 私は木製の棚な引き出しを片っ端から開ける。

 すると、色々な箇所から謎の文字が書かれた縦長の紙が入っていた。


 (大分前に見せてもらった紙にそっくり……呪術的な何かかしら……)




 闇社会では表には出ない役職が多く存在する。

 多額の金で人肉を買って人脈を作っていた私は、色々な人と裏の知り合いになった。


 その中でも、呪術師という人間の一部がこんな紙を持って骸骨をゲテモノに蘇生させてたっけ?

 ちなみに呪術師って言うのは、魔法や魔術の他に呪術っていう魔法の一種を扱う人の事ね(当然世間では魔術同様アウト)。


 もし此処が呪術師の家なら、床の木によくわからない魔法陣が書いてあるハズだけど……無いね。

 

 (と言うことは、表の職である霊能系統の家と考えられる……。この村のおかしい所に変わりはないけど)



 結論が思い付かずに家から出た私は、ついつい水が欲しくなっちゃった。


 やっぱりアタマを使った後は喉がそこそこ乾くよね~。


 (井戸水飲んじゃお)


 私は井戸水のソバに設置されていたバケツを井戸の中に落とす。



 「ボゥ!」

 「……えっ? ……!?」



 水系統の音とは違う。空になったという訳じゃない。

 何か物に当たったような感触。


 そして、井戸から薄々漂ってくるツンとする強烈な悪臭。


 正体が気になった私は井戸の中を覗く。

 暗かったので、黄色魔法レベル1【小さな閃光】で灯した。



 「うえっ…………。この村、ヤバイんじゃないの?」



 臭いの正体が渡った私は、すぐさまサングラスでアイリス達に連絡しようとする。



 するとその直後、背後の家から気配。


 井戸を覗き終わった私は、すぐさま収納魔法からクロスボウを取り出して後ろへ振り返って警戒する。



 「誰? そこにいるのはわかってるよ!」

 「……嬢ちゃん、こんな辺鄙な村でそんな物騒な物は出さないでおくれ。」


 「だったら出てきて。見えない何かに背後を突かれるのは嫌いなの。」



 すると、前の家からダークオークの扉をすり抜けて此処へ向かって両手を上げる薄いお爺ちゃんが出て来た。



 「警戒させてゴメンね、そこの嬢ちゃん。」

 「あなたは誰? この村の住人?」



 私はクロスボウをお爺ちゃんに構えたまま質問をする。


 同時に、アイリス達にサングラスで情報を共有する。



 《70歳位のお爺ちゃんを見つけた。敵対の意志は無いけど、家の扉をすり抜けて出て来た。》

 《すり抜けた!? ……わかった。警戒はしておけ。マズくなったら逃げろ。》



 『逃げろ』って大袈裟ね……。

 と以前の私ならそう言ってたね。


 井戸なんか見なかったら間違いなくそうだったかも……。



 私はユッケの言葉を肝に銘じる。



 「そうじゃ。今出て来た家にすんでおる。儂はカルセタ。嬢ちゃんの名前はなんじゃ?」

 「愛称だけど、アリスよ。カルセタさんね。」


 「アリスか、良い愛称じゃのう。家に付いて紅茶でも飲むかな?」

 「悪いけど……仲間と調べ物をやっていて、今は時間がないの。しばらくしたらまた此処に来るから、その時にまた来るね。」



 私は振り返って次の家に向かおうとすると、カルセタは呼び止めた。



 「待て、調べ物とはなんじゃ?」

 「仲間の一人がこの村で物凄い殺気を感じたの。何も無かったら別に良いんだけど……昨日起こった事で、何か心辺り無い? 昨日じゃなかったら最近でもいいわよ?」


 「……さて、昨晩の殺気とは何でしょうか? この村は別に老朽している家が山ほど点在しているだけで……あとは何も無い村ですが? まぁ、ゆっくりこの村に滞在していきなされ。」


 (この人、ウソついてる)



 闇社会やってて自然と身に付けた特技。

 色んな所で役に立つのが良いとこ。



 カルセタの目の動きを見た私は、彼のウソを見破る。


 だけど、この人を重点的に問いただしても多分「知らない」の一点張りかな?



 「……そう。情報提供ありがと。」

 「何時でもおもてなし致しますぞ。」



 諦めた私は次の家に向かった


 言わないのなら自分で探してやろうじゃない!



―――――――――――――――――――――――



―――――――――――――――――――――――

―モーク視点―



 俺は次々と調べていく。



 扉を開けると、その殆どの家が埃だらけ。

 一時間ずーっと探したのに何も成果なし。



 ……。



 ……。



 ……。



 ……。



 ……だるっ!!!

 自分が提案したやつなのに……だるっ!!!




 せめて人住んでよ!




 何で折角見つけたキレイな家がサッパリ何も無いの?


 マジで全部の家片っ端からしっかり中覗いたよ?


 だーれも居ないからさ、マジで怠すぎるんだって!




 ……と心の中で愚痴言いまくってたけど、ただただ虚しい気持ちになるだけだね……。


 そんな事を思いながら、俺は開けていく。


 西側サイドであるここ、ホントーに何もない。


 (どーやって生活すんのコレ?)



 そんな事を思いながら俺は作業していた……。




 調べ初めてから70分が経った頃、気付けば西サイド全ての家を調べ終えていた。



 俺はボロボロの家で小麦齧ってる蝗を見つけ、つまみ食いをする。

 黒光りは俺の中で飼っているアイツがブチ切れるから止めだね。



 ……しょーじき言ってそんなに美味しくない。

 なんか口の周りベト付くし。


 ヒマだから食べてるだけだ。




 そんな倦怠感を纏いながら美味しく無い虫を食い散らかしていると、微かな気配が。


 (……あれれ?近くに誰かいるね。)


 俺は蝗食いを終えてボロボロの家を出ると、少し先に冒険者達がいた。



 「!!! 誰だ!?」

 「モークタン!? 探知魔法に引っかからなかったよ!」

 「えっ、ちょっと待……。」



 俺は取り繕うとするが、戦士が飛びかかって襲い掛かる!



 「【斬撃】!」

 「ちょ! ちょっと待てって!」


 「人語を操るモークタン風情が! コレも奴の生み出した幻惑! 死ねぇ!」

 「だ・か・ら! って……うおっと!」



 俺は右に移動して回避する。

 剣士は謎のワードを吐き出しながら俺に連続で襲い掛かる。




 しかし、回避している内に強烈は違和感があった。


 (……えっ?今さっき当たったよね?当たったよね?なんで?)


 剣の刃は俺の胴体(しょーじき言って殆ど胴体な気がするけど……)に確実に当たった。

 このおめめで見たから間違いない!



 「【身体強化】!」

 「食らえぇぇい!!!」



 念の為、俺はゴブリンの村で覚えた基本中の基本を唱え、その場でジッと待つ。


 剣士は今が好機とばかりに剣を構えて大きく振りかぶる。

 魔法掛けないの見ると、俺がモークタンだからってナメてるよね?


 (でも、当たりに行くのはちょっと怖いね……)


 男は全力で剣を振り下ろして……。






 剣は俺をすっとすり抜けて地面に深く刺さった。

 当たっているという感触は何もない。



 「なっ……当たらない! 生きてる!?」

 「バナス! そのモークタンは生きている! すぐさま剣を納めろ!」


 「……チッ、仕方ねぇ。」


 

 勇者っぽい立派な装備を纏った人が、剣士に指示をする。

 剣士は素直に勇者の命令に従い、刺さった剣を鞘に戻した。



 俺はワザとふんぞり返って勇者に被害者っぷりを見せ付ける。



 「ちょっと……いきなり無力なモークタンちゃんに向かって剣ふるなんて、どうかしてるよ君達? べんしょーって奴の出番かなー!」

 「……本当に申し訳ない! その……モークタンさん?」


 「モークだよ、覚えて。」

 「……ああ、済まない。……所で、私達の言語がわかるのかい?」


 「人間の言葉ぐらいマスターしてっからね!」

 「そうですか……ああ! 申し遅れました。私は冒険者のリーダー、ロイドという者です。元々は勇者でしたが、この有り様でして……。」

 「(このモークタンうぜぇ……)俺は剣士のバナスだ。」

 「私は魔法使いのヨハナ。」

 「私は僧侶のナナムです。宜しくお願いします。」



 俺達は軽く自己紹介したところで、本題に入る事にした。



 どうやらロイドさんのパーティーはかなりの強者らしい。

 サングラス曰わく、『突然消えた勇者パーティー』として一時期有名だったそうだ。


 捜索系のクエストが発行される程であったが、結局時効の10年までに見つける事は叶わなかったとか。



 「君達死んでるんだよね? それで、霊みたいな感じになってんの?」

 「はい……私達は天国にも地獄にも行けません。空腹も渇水も無く、何も無い虚無の時間が流れるばかりで……。」



 ロイドさんはそう言うけど、そうなるとさっきの剣士の話が釣り合わなくなる。


 (『人語を操るモークタン風情が! コレも奴の生み出した幻惑! 死ねぇ!』と言うのは、どういうことなんだろう?嘘付いてない?)


 言及しようかと思ったけど、言いづらかった。


 ヨハナとナナムが終始顔色が悪く、ロイドの装備をつついている。

 「もうこれ以上話さないほうが……。」とでも言いたげだね。


 (もしかして、その奴っていう野郎に脅されてる?)


 そう考えると、俺は言及出来なかった。




 俺の勝手な言及で悪の無い人間をケガさせちゃうのは、タダの悪い魔物同然だからね。




 するとロイドはヨハナとナナムの意見に賛成なのか、此処で切り出してきた。



 「それじゃあ、私達は大丈夫ですので……これにて失礼します。」



 ロイド達は頭を下げて、向こうへと歩いていく。



 「何か危険な目にあったら、僕達を頼ってください。お力添えするね。」

 「優しい魔物ですね。……ありがとうございます。それより、夜になる前に……このノルカ村から出てください。」


 「えっと……ありがとうございます。」



 俺は最後に一言声を掛けた。


 ロイドは最後に謎の言葉を吐いた。



 目をつぶりながら礼をして開けると、いつの間にかロイド達の姿はどこにも居なくなっていた。


 (このノルカ村……裏があるね。それも、有名な勇者パーティー達が僕達の為に嘘を言う程の『何か』が。……ってことは、アイリスの感じた殺気と話がキレイピッタリ繋がる!)



 俺は一つの確信を得た後、いち早く中心へと向かった。



―――――――――――――――――――――――



―――――――――――――――――――――――

―ユッケ視点―



 南側は畑が多く存在し、その分家も多く無かったので、調べ物は直ぐに済んだ。


 サンプルは少なかったが……それでも十分だった。


 (やはりこの村、おかしいな。まるで巨大な何かが眠っているような気配だ。頭が痛い……)






 いっそのこと、高く飛んで全体を見回してみようかな?

 と考えた俺は飛び立つことにした。


 ついでに、この町の全体マップを紙に書いて分かりやすくしたかった。




 俺は高速に上へ向かって飛び立つ。


 空気抵抗などお構い無しに、ものの数秒で上空2000メートル程まで上がりきった。


 俺は紙と収納魔法から取り出したペンを持って、記入しようとした。地図作りは基本中の基本だろ?

 ……が、俺はすぐさまペンを止めた。

 書きたいのに書けなかった。




 「……は? 何だこれ?」




 上空へ飛ぶと……なんと、一定の時間毎に村全体の殆どが変化しているのだ!

 俺達が解散したシンボルのある所から一定の距離内が、変化する事は無かった。



 地面だけだった場所に突然家が建ち、

 家があった場所が今度は畑になり、

 畑だった場所が普通の通路になり……など、



 現実では有り得ない筈の摩訶不思議な現象が、この村では起きていた。


 (一体全体、何がどうなっている?こんな現象は1000年生きてきて初めてだ……) 


 俺は仕方がないので、サングラスの付属品の【ミニチャン】に頼る他無かった。



 《サングラス、この現象知ってるか?》

 《否。私もこの現象は初めてお目にかかります。非科学的ですが、呪術系統の何かであると推測致します。》



 呪術か……。

 確かに呪術っぽいな……。


 だとしたら、この現象を町全体に広げるには相当ヤバイ魔力消費する必要がある。


 金目もないこんな貧相な村に、膨大な魔力使ってやる人間は居ないと思うんだが……。



 《目的ははっきりしませんが、長居は非常に危険です。早期撤収を優先致します。》



 ……だろうな。


 俺一人なら何とかなるが、アイリスらにこの強さは早過ぎる。






 そんな中……アイリスやモーク、アリスから次々と不可解な報告がサングラスから伝わってきた。

 冷静に対処するように伝えた後、俺は収納魔法からとある物を取り出す。


 (此処は……コイツの出番かな?)


 異世界で発明された【ビデオカメラ】である。




 黒い長方形と太い円柱が合体した形状で、所々突起物が出ている。

 レンズと呼ばれるものが円柱の中にはめ込まれていた。


 (えーっと、たしか……ここをこうして……。このボタンを押して、こうだな)


 俺は使い方を思いだしながらビデオカメラを起動し、録画という機能を使う。



 「ピピッ!」

 「(ビックリしたぁ……)」



 カメラは突然高い機械音を拍子抜けの俺に至近距離で発生させた。


 久し振りのカメラの電子音にビクついた俺。


 最初こそカメラがぶらついたものの、ビデオカメラで村全体を録画する。

 動画はだった1分で充分だった。


 (これ以上は何探しても無理だし、万が一アイツらに何か起こった時の為に中心のシンボルにでも戻るか)




 充分な収穫だと感じた俺は、すぐさまシンボルへと戻った。

 それぞれの報告には、どんなものがあるのか?俺にとっては正直楽しみである。



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