3 お姫様のご依頼
すでに時計の針は回っており、車が走り出したあとアメリアとマリッサは車の中で眠りについた。二人に気遣って三人の会話は少なく、朝を迎える頃にリッシェに到着した。
二人を起こして家に送り届ける。
「本当は起こしたくなかったんだけど、ごめんねー。明日の朝に迎えに来るね」
ノアは必要なことだけ伝えて、早めに自宅へと戻った。
二人は眠い中、なんとかメイクを落とし部屋着に着替えて二人は再び眠りについた。
そして次の日にジオルグへと向かった。
また二手に分かれて適当に動くという生活を一週間続けた。毎日夕食は全員揃って取り、その場で報告している。
「話しにくいから部屋で」
ラウルとマリッサで動いていたところ、なにかあったようだった。
ザイアスたちの部屋で話を聞く。要約すると、初日に会ったお嬢様の世話係をラウルが頼まれたとのこと。任期は1年弱。返事はザイアスに聞いてから正式にと伝えているようだった。
「申し訳ないが頼んでいいか」
「もちろん」
追加でそのお嬢様はこの国の第四王女ということを聞く。ある程度想定していたのかザイアスは驚かない。
早速次の日に返答する約束をしていたため、指定されていた喫茶店へと全員で向かう。
到着すると、ひと目で分かるような、高級感がある喫茶店だった。調度品は華美ではないが作りが繊細で、値段の影響か他の店と比べて人も少なく、落ち着いて話すことができそうな場所だった。
店の前で待っていると初日にお嬢様と一緒に居た女性が訪れた。店主とは顔見知りのようで、そのまま個室へと案内される。
「初めまして、私シルヴィア様の専属メイドをしているフローラと申します」
ザイアス、ノア、アメリアは自己紹介をして、本題に入る。
初日にラウルがシルヴィアに声をかけたことをきっかけに、シルヴィアがラウルを気に入ったそうだ。
来年にスクールに通うまで、世話係という名の暇つぶし相手になってほしいとのこと。
ラウルはフローラに引き受ける旨を伝えると、既にラウルとマリッサは話を聞いているが、改めて経緯や状況を説明してくれた。
「シルヴィア様は第四王女ですが、城での立場はあまり強くありません。現状、王位継承権もございません。雑に扱われることもないですが、とても丁寧に扱われるということもありません。
そして、ご両親である国王陛下と王妃様はとてもお忙しくあまりかまって差し上げる暇はございません」
内乱寸前までいったため、当然の状態と言えてしまう。
「王城で仕えている者たちも、慌ただしいため、シルヴィア様に割ける時間は少ないのです」
「でもよく俺みたいな、どこの馬の骨かわからないやつに声をかけましたね」
「失礼ですが、調べさせていただきました。ラウルさんは問題ございませんでした」
さらりと言われてラウルの表情はひきるが、すぐに表情を戻す。
「皆様も城でお部屋をお貸ししますのでご自由にお過ごしください」
お言葉に甘えてと三部屋借りることになるが、この日は既に宿を取っているため、明日から借りることにした。
フローラと別れたあとザイアスとノアの部屋へ集まって今後の会話をする。
「結構今回は長そうだ。とりあえず俺はとあることを調べたい」
「十年くらい前になにか起こったかだよねー。あと他もないかちょっと調べておきたいよね」
ザイアスは頷く。
一年弱は長いため、もしペンダントの鍵がこのことではなかった場合に備えておきたい。
「今回、すんなり部屋借りることにしたね」
ラウルの疑問にザイアスは答える。
「安全を考えたら一番だろう」
「私、首都の周辺の街も少し回りたい」
珍しく意見したのはマリッサ。
「ああ。時間もたくさんありそうだから構わない」
一月の間は首都で調べ物をしたり回ったりするのはザイアスとアメリア、首都以外の街を回って情報を集めるのがノアとマリッサになった。
「我儘言ってごめんね」
「問題ないよー。もっと言ってほしいくらいだしねー」
「ああ、なるべくなんとかする」
「うん、ありがとう」
話がまとまったところで、夕食を取ることにした。




