2 婚約パーティ
次の日、朝早くに起床したマリッサとアメリアは支度をしていた。ドレスを着て、ミッシェルにメイクとヘアメイクをしてもらいと大忙しだった。
夕方になる前に来客を告げるチャイムがなり、ミッシェルが対応してくれると、ラウルが迎えにきてくれていたようだった。
「二人とも似合ってるよ。そろそろ行くって」
すでに準備が終わっていたため、二人は玄関を出る。すでにラウルは外に出ていた。
「アメリア、このパンプスも用意してくれたの?」
「これ、ラウルからだよ。ラウルからプレゼントしたいって言われてて、事前にドレスのデザインと布を見せていたの」
「そうだったんだ。ラウルにお礼伝えとくね」
二人は、ザイアスの家の車に乗ろうとすると、ラウルはマリッサを、ノアはアメリアをエスコートする。
「ありがとうラウル。このパンプスもラウルからって聞いた」
「うん」
「誕生日でもないのになんで?」
「後で話すよ」
ラウルはそれだけ伝え、マリッサを座らせた。
「アメリア、似合ってるよー。可愛い」
「ありがとう、ノアも似合ってる」
「ほんとー?スーツは首が詰まる感じがして苦手なんだけど」
「知ってる。でも似合ってるよ」
二人は笑い合いながら座席へとついた。ザイアスも乗り、出発をした。
「夜遅くに到着して、そこから2時間ほどパーティの予定だ。眠くなるだろうから二人は帰りの車で寝てもらって構わない。明後日ジオルグに戻る予定だ」
ザイアスから話をされる。
「あと、パーティも俺達とミリア嬢の学園のときの友人だけだから、緊張する必要はない。貴族階級もいるが気にしなくていい。向こうも気にしないから」
特に後半はラウルに向けられた言葉。
「良かった、ちょっと久々で緊張してたんだよね」
「むしろ固くなりすぎるとミリア嬢が嫌がる。来る友人に普通階級も居るから」
「ありがとう、教えてくれて」
パーティは最初は着席で挨拶後にザイアスとミリアが各席に挨拶に回る。その間は立食しててもいいし席にいてもいいとのこと。
数時間車で揺られて、到着した。
ザイアス以外の四人は中へと案内されて着席をする。もうすでに他の招待客は揃っていたようだった。
ザイアスとミリアが乾杯の挨拶をした後は比較的自由に過ごせるようだった。四人の席に二人が来るのもあとの方だった。
「せっかくだしなにか持ってこようか?」
「私も行く」
ラウルとマリッサは席を立ち、食べ物を取りに行く。
「アメリアも行く?」
「うん、挨拶もしたい」
「もちろん」
ノアとアメリアも軽食が並ぶ場所へと向かう。今日来ているミリアの友人は全員学園の元生徒。アメリアも全員知っている。
二人が向かうと、元生徒の方からたくさん声が掛かる。談笑して、席に戻った頃にはもうパーティは中盤。
「皆いい人たちだね、顔も知らない俺にも挨拶してくれるし」
「うん、ドレス可愛い、似合ってるってたくさん褒められた。やっぱりアメリア凄い」
「え、それはマリッサが可愛いから」
褒められたアメリアはとっさに言う。
「マリッサも可愛いし、アメリアも凄いよー。あ、アメリア飲み物取りに行ってこようか?それとも一緒に行く?」
「うん、一緒に行く」
空きそうなアメリアのグラスを見てノアを声をかけ、二人は席を外す。
「ノア、エスコート慣れしてるね」
「そうだね、ノアはパーティとか慣れてるんじゃないかな。固いのは好きじゃないって言ってたけど」
「そっか。そういえば、パンプスありがとう。とても素敵で嬉しかった」
「ううん、マリッサにはお礼をしなきゃって思ってたから。父上が見つかって、それまでマリッサにはたくさん助けてもらったから」
ラウルは少し背筋を正して、パンプスを贈った理由を話す。
「そんなことないよ。私もラウルに助けてもらってるから」
「あまり自覚はないけれど、なにか役に立ててるなら嬉しい」
二人が話していたところ、ノアとアメリアも戻る。そして、ザイアスとミリアが席に来た。
「本日は遠方の中、お越しいただきありがとうございます。初めまして、ミリアと申します」
「こちらは学園のときの友人のマリッサと、マリッサの幼馴染のラウルだ」
初対面の三人が挨拶を済ませたところで、婚約のお祝いを伝える。
「ザイアス、改めておめでとうー。ミリアさんに迷惑かけちゃだめだよー」
「善処する」
「ザイアス、かなり忙しくて大変だと思うけどよろしくねー」
「ええ、ザイアス様を支えられるように精進します」
ミリアも精一杯の笑顔で答えるとザイアスは言う。
「ミリアは今のままで構わない。今も色々なこと考えてくれているのは知っている」
ザイアスの言葉にミリアは花を咲かせたように笑う。
「これ、お祝いのプレゼントー。あとね本当に渡したかったのは後で送るね、今焼いてもらってるから」
ガラスで作られた鳩のオブジェを渡すノア。
「ありがとう、何を焼いてるんだ」
ザイアスは気になったようだった。
「ペアカップだよー。アストラさんのところで作らせてもらったから今度取りに行くんだー」
「もしかしてこの鳩もノアさんが?」
ミリアが鳩をまじまじと見て聞くと、
「これは既製品だよー。本当は作りたかったんだけどね」
ラウルとマリッサからは赤を基調とした少し大きめの箱を渡される。ザイアスが持つと想像以上に重かったようだ。
「これは?」
「私達もオブジェ。ガラス製の木みたいなのが入っているんだけど、それにオーナメントを付けるの。家族でお願い事をしながらオブジェを作るっていうのをラルジュでよくやるんだ」
「素敵ですね、そういうの大好きなので嬉しいです」
ミリアも嬉しそうで、二人は安心した様子だった。最後にアメリアからペアのテディベアを渡す。
「可愛い!やっぱりアメリアさんの作る服はすごく好み」
ドレスとタキシードを着たペアのテディベアにミリアは興奮気味。
「やっぱり、アメリアさんに結婚式のドレス作ってもらいたいなあ。一着くらい家の繋がりないところでもいいかなあ。んー、本当はウエディングドレスがいいんだけど、流石に駄目だよね」
ミリアは早口でぶつぶつと言っている。少し驚いているアメリアとマリッサにザイアスはフォローをする。
「結婚式のドレスを作ってもらうのは家との繋がりを考えて頼む必要があるんだ。あとは流行取り入れたりしたり、デザイナーの偏りがないようにしたりと気を使うことが多い」
「ミリアさんやザイアスのお家は大きいから、その分影響が大きいんだよー」
ミリアは侯爵家令嬢で、周りの貴族への影響力が強い。流行を取り入れるどころか、作り出すこともあり、公式の場で着る服1つ1つにも大きな労力を使う。
「王城でのパーティではないし、主役はミリアだから、着たいドレス一着くらい着てもいいんじゃないか」
「いえ、他も着たくない訳ではなくて」
「悪い。言葉が悪かった。特別に着たいんじゃないのか?なにか言う者が現れたらなんとかする」
ザイアスが言うとミリアは決心したようにアメリアにお願いをする。
「アメリアさん、お願いできますか」
「そんな凄いものは出来ないですが、もちろんです」
「アメリア、勝手に話を進めて申し訳ないが俺からも頼む」
ドレスの詳細はパーティ後に話すことになり、ザイアスとミリアは別の席へ移動する時間になった。
「皆様申し訳ありません。少し興奮してしまって」
その言葉は主にラウルとマリッサに向けられた。
「いいえ、お気になさらず」
ラウルが返事をすると、丁寧なお辞儀をして、二人は移動した。
「ミリアさん、いい子だね」
「うん、ザイアスもミリアさん大切にしてていい関係だなって思った」
初対面のラウルとマリッサが称賛する。そして、軽食はデザートに切り替わったようで、パーティは終わりへ近づいている。
「そういえば、この後戻るって言ってたけど、ミリアさん一人でいいの?」
ラウルがノアに聞くとノアは頷いた。
「ミリアさん、国に戻って花嫁修業に入るから、こっちの友達とはなかなか会えなくなるんだってー。だから一晩だけでも友達だけで過ごせるようにって」
サイアスから事前に聞いていたノアは伝えた。
パーティは終わりをつげ、ザイアスとミリアは裏へ下がる。ほどなくして、四人は退席し、パーティ会場の外にある待機室へと案内され、ザイアスを待つ。
その間にアメリアは別室に呼ばれ、ミリアとドレスに関しての打ち合わせをしたあと、再度待機室に戻った。
そしてザイアスが来て、車の準備ができたとのことで、一行は車に乗り込んだ。




