24 感謝の気持ち
アメリアとザイアスはバスを乗り継ぎ、イチェスへと戻ってきた到着。まずはノアとマリッサがお世話になっているアトリエへと向かう。
店番をしていたアストラに声をかけると奥からノアを呼んでくれた。
「マリッサは?」
「マリッサは小島にいる子とお弟子さんとカナエスに一泊してるよー」
カナエスはサルザールトの首都。
三人はお互いの今までの経緯を簡単に話す。
「なら二週間くらいはここにいる感じだねー」
ラウルからの連絡を待つためにここに留まることになった話を聞いてノアは言う。
どうやら夜にマリッサも戻ってくるため、四人で話すことになった。
アストラの好意でザイアスとアメリアもアトリエに宿泊することになった。
夜になりマリッサが戻ってきて、ノアとザイアスが泊まる部屋で話し合いをする。
ノアとマリッサはサシャと過ごし、ザイアスとアメリアはカナエスに行って情報を集めることを主に行うことになった。
だが、サシャは来週四人が通っていた学園に見学に行く予定のため、ノアとアメリアが同行することになった。
次の日、アメリアはマリッサに連れられ、サシャと顔合わせをする。
アメリアは初めは人見知りを発揮し、おどおどした様子だったが、サシャと話していくうちに打ち解けていった。
「アメリアが来週きてくれるんだよね」
「うん。私の家とノアの家が学園の近くにあるから、そこに泊まろうって」
「ノアさんとお家近いんだね。昔からのお友達とか?」
「うん。私が9歳くらいからの幼なじみだよ」
「アメリアの9歳の時とかほんとに可愛いんだろうなー。今も可愛いし」
「私も見てみたかったなあ」
マリッサが同意するように頷く。サシャは今度マリッサに聞く。
「マリッサも近くに住んでたの?」
「違うよ。アメリアたちとは学園入ってからの友達」
「専攻違うよね?接点あるの?」
「学食でアメリアが変な男に絡まれてて、声をかけたのがきっかけ。あのときノアとザイアスは居なかったんだよね」
「うん、夜間部と被っていない時間だったから一人だった」
「やっぱり同じ専攻の子のほうが友達多いけど、接点はあるし、私達は入っていなかったけど課外活動とかあるからね」
学園生活の話には興味がとてもあるようで、いろんなことをサシャから聞かれた。
夕暮れ時となり、マリッサとアメリアはイチェスヘ戻ることになった。
この日の次の日は、ザイアスとアメリアは街へと向かって情報収集をしに行った。宿泊は状況に応じてとのことだったが戻ってきた。
アトリエでの部屋は、男女で分かれて借りており、この日もノアたちの部屋で会話した。
「どうだったー?」
「ジオルグは内戦にはなっていなくて、今は普通に入れるそうだ」
「無事内戦にならずに済んだってことー?」
「ああ、内戦も隣の国、アズベールがなにか動いてるのを察知して、国を吸収してもらうか、独立したままでいるかで揉めたそうだ。
だが、一向にアズベールから接触がなく自然に収まったらしい」
ザイアスが淡々と話すがマリッサは何かが気になるよう。
「ジオルグは、吸収してもらいたい理由があるの?」
「ジオルグは正当な王位継承者が途絶えそうという事情があるらしい」
マリッサは納得したようで頷く。
「正当な継承者がいないなら吸収されたい派となんとか持たせたい派で別れてるんだね」
ノアは話を聞いてもなにか思うことがあるのか、気になることがある様子。
「あとさー、前にサルザールトのお祭りでアズベールに入国できないって話を聞いたけどそれが隣国の吸収にむけた動きじゃないことは気になるなあ」
「アズベールに関しては情報がなさすぎて、今はなんとも言えないな」
「まあとりあえずジオルグは安全ってことで、ラウルから連絡きたら向かう感じかなー」
ザイアスも頷き、次の行き先はジオルグとなった。
サシャの学園見学の日まで、一行は手伝いをしたりサシャに会いに行ったりして過ごした。
学園に向かう日になり三人はリッシェに向かった。
鉄道とバスに揺られて数時間で到着する。この日はサシャはアメリアの家で泊まる予定だ。
アメリアの家に到着して荷物を下ろす。もう夕暮れ時で、ノアと合流し夕食を取りに行くことにする。
学園時代からよく行っていたレストランへと向かう。食事を注文し、待っている間話をする。
「サシャはリッシェの食事大丈夫?」
「うん、私ポテト大好きで毎日食べてるから大丈夫」
「よかった。もしリッシェの学園に通うとなると、食事がネックになったりするから。パンに慣れるとマッシュポテトって飽きやすいみたい」
別の国から来ていた学園の友人たちがそうだったとアメリアは話す。
リッシェは最近は流通し始めたが、小麦が少ないため、穀物類が主食で、多くはマッシュポテト。また、魚も海に面していないため高級品のため、肉が多い。野菜は豊富だが、どうしても飽きやすい。
「そうだねー、俺達は比較的食べなくても大丈夫だけど、好みが合うほうがいいしねー」
吸血鬼にとって食事は嗜好品のため、正直なくても良いものではあるということをアメリアは忘れていたらしい。
「ごめんなさい、そのこと忘れてた……」
「私も食事は好きだから、気にしてくれてありがとう。アメリアは大丈夫だったの?」
「うん。私はずっとリッシェにいたから。ノアは慣れるの大変だった?」
「魚が食べたくなることはあったかなー。あ、そういえばサシャさんにおすすめのお店あるから教えるねー」
不思議そうにしているサシャにノアは耳打ちする。周りの客に配慮しているようだ。
「え!ありがとうございます」
アメリアは話は分からないがおそらく吸血鬼に関連することだろうと当たりをつけたのか聞くことはなかった。
ノアが二人を送り届けたあと二人は同じ部屋で眠ることにした。
「ノアさん、すごい優しいよね」
「うん、とっても」
「あんなに優しくて格好いい方が幼なじみなんて羨ましいなあ」
「ザイアスとノアががいてくれて本当に私は救われたから」
「ザイアスさんって今、一緒に旅してる人だよね。今、師匠のところにいるっていう」
ザイアスは小島に訪れたことはない。あまり社交的なタイプではないため、アストラのところで手伝いを続けている。
「そうだよ」
「優しくされてて申し訳なることってない?」
サシャがポツリとアメリアに問う。
「あったよ。私ね事故で両親がいなくなったの。で、その時以前の記憶がないんだけど、近くの別荘があるザイアスと少し後にきたノアがすごく優しくしてくれたの」
アメリアはマリッサからサシャの事情は聞いているため、ある程度質問の意図は察している。
「で、ある日申し訳なくなって聞いたの。そんなに優しくしてくれるのは申し訳ないって。そしたらふたりとも、勝手にやってることだから気にすることじゃない、アメリアが頼んだわけでもないんだからって言ってくれたの。あと、特別優しくしてるつもりはないって」
アメリアは一息ついたあと続けた。
「だからね、優しくしてくれることには感謝をしつつ、私も二人のためになれたらいいなって、喜んでくれることをしようって思ったの」
「いい関係だね。ごめんね、話づらいことを話してくれてありがとう。私も師匠や皆に感謝とお返しをしたいな」
アメリアはサシャの言葉に笑顔で頷いた。




