7 二人の恋愛話
アメリアの家の二階にある客室をマリッサが使うことになり、自身の荷物を置いてからリビングに戻る。
アメリアはリビングで届いていたプレゼントや手紙の整理をしていた。
「凄いね、それ」
「劇のときの観客の方とかから届いたものをエリーさんが送ってくれたみたい」
机に並ぶプレゼントや手紙を見 ながら話す二人。ご飯などもないので日が暮れる前に買い物に行くことにした。
近所のお店へ向かい食材などを買って家へと戻る。簡単な調理で済むものをこの日は作って二人で食べた。二人はリビングでゆっくりする。
「ゆっくり二人で話す機会がなくて話せてなかったけど、ラウルに告白したよ。断られたけど、これで気持ちの整理ができた」
マリッサがアメリアに話す。アメリアはマリッサの近くに行って抱きしめる。
「マリッサ頑張ったね」
「ありがとう。思ったんだけど吸血鬼も大変なんだね。私たちにはあまりわからない感覚だけど」
マリッサから、ラウルも同じ気持ちでいてくれたけど、付き合わないことを選んだことを聞く。
マリッサは悲しんだりしている様子は無かった。どちらかというと気持ちが晴れたかのようにスッキリしたような表情だった。
「そういえば、アメリアなにかあった?」
アメリアは元いた場所に戻る。迷いながら言葉を続ける。
「ちょっと相談してもいい?」
「もちろん」
「あのね、ノアに告白されたの。私ももともと幼馴染として好きだと思ってた。でもね、そう言われるとなんか意識しちゃって、お話するとどきどきするし、撫でられたりすると嬉しいけど顔が赤くなって……。今までそんなことなかったのに」
マリッサが話を聞いて驚く。
「待って、ごめん。ちょっと思ってたのと違かった」
「思ってたの?」
「ザイアスに婚約者ができたことだと思ってた」
予想外の返事が帰っきてきてきょとんとするアメリアにマリッサは首をふり話を戻す。
「いや、ごめんね。アメリアはノアのこと好きなんだね」
「やっぱりそうなのかな」
顔を赤くするアメリアにマリッサは笑ってる。
「私からはそう見えるよ」
「なんか言われてから気付くなんて」
「小さい時から一緒に居たんだからしょうがないよ。ラウルと私も一応幼馴染だけど離れてる時間も長かったからその間に気づいたから」
ラウルとマリッサも幼馴染。ラウルは国中を廻っていたため、離れている期間でマリッサはラウルのことが好きだと自覚したらしい。
アメリアの顔の赤さは戻らず、恥ずかしさからかいつもよりお菓子をパクパク食べている。
「ザイアスのことは?」
マリッサが聞くか聞かないか迷ったが聞いた。
「ザイアスはお兄さんみたいな感じがする。ノアもそうだと思ってたんだけど。ザイアスのことも大切だけど、婚約者がいるって聞いたときに、幸せになって欲しいって思ったの。でもノアがそうだったらって思ったら、心が苦しくなった」
「そっか、ノアは特別なんだね」
「どうするの」
「どうしよう」
アメリアは真剣な様子だがマリッサは笑う。少しいい方を変えて聞き直す。
「アメリアはどうしたいの?」
「ノアが言ってくれたように、一緒にいたい。でもね、ノアは吸血鬼で生きる時間も違うし、私はどんどん歳を取るし見た目も変わる。ノアはきっとそんなに変わらない。そうなったときにノアに心移りされたりするのが怖い。私が死んだあとはいいけど……」
アメリアはお菓子を食べる手を止めて、うつむく。
ノアの婚約者のことは秘密と言ってたので伝えない。それも引っかからないわけではないが、アメリアは心移りをされるのが怖く感じている。
マリッサがアメリアの隣に行く。
「そう思うなら大丈夫だよ。アメリアがノアのことを嫌になる不安ではないから。相手の心の変化に関してはどうしょうもないからね。その不安はきっと相手が人間でも同じだと思うよ」
心移りに関しては相手が人間でも同じ。その言葉にはアメリアも同意だったよう頷く。
「それにね、そう思うくらいだったらノアはきっとアメリアに伝えなかったよ」
「そうかな」
「きっとね」
「ありがとうマリッサ、ノアに伝えるね」
マリッサに話したことでアメリアの中で決心したようだった。
「ごめんね、マリッサ。こんな話して」
アメリアが決心したところでマリッサに謝る。マリッサとラウルが、両思いだったのに付き合わないことを選んだ事情を知っていたのに、自分だけ両思いになることを気にしているようだった。
「気にしないで。
アメリアはアメリアで、私は私だから。
私達が付き合わないことを選んだからって、アメリアもそうする必要はないよ」
マリッサはアメリアに諭すように言う。
「それにね、私も嬉しいから」
笑顔でマリッサはいうが、アメリアはよく分からず首を傾げる。
「だって大事な友達が幸せになってくれて嬉しい。
しかもよく知らない変なやつじゃなくて、相手はノアだし」
よく知らない変なやつという表現に対し、くすっと笑うアメリア。
「私十分幸せだよ。大事なお友達がいてくれて」
「ありがとう」
二人は笑顔で話を続けた。
三人が戻ってくる予定の前日に、二人は買い物にでかけた。この日がザイアスの誕生日で、プレゼントを用意することにした。
「今年は洋服じゃないの?」
「うん。時間なかったし、婚約者の方が気にされるかなって」
「そっかー」
二人はワインが揃う店でワインを購入した。
「ご飯作ろうかと思ったけど、食べてくるかもしれないしやめておこうか」
「そうだね」
二人は日が暮れないうちに家に戻った。




