5 占い師
次の日になり全員で薔薇祭りに向かった。アルベールトとも合流をする。最終日ということもあり、人は一番多かった。
「アル!」
「え、ラウル?」
アルベールトは会ったことのない人と言われていた人が、知人だとは思っていなかったようで驚いていた。
「ラウル、無表情は変わらないね」
「え、無表情かな」
「え、気付いてないの?」
アルベールトは苦笑していたが二人は再会を喜んだ。
一行は薔薇園の奥に足を運ぼうとした。入って直ぐにの開けた場所に、前日まではなかった出店が立ち並んでいた。初日に話に聞いていた花冠を売っているようだった。
「二人とも見に行こうかー、ザイアスも」
ノアはで店を見つけアメリアとマリッサに向けて話しかけ、四人で向かった。おそらく久しぶりに再開したラウルとアルベールトに気を使ったのだろう。
「十年ぶりくらいだね、ラウル」
「うん」
待っている二人は話をする。
「まさかあの方たちと一緒に旅してるとは思わなかったよ」
「俺もアルと知り合いとは知らなかったよ」
「帰省するの?今日?」
「いや」
「そしたら今日、俺が泊まっているところに来ない?お酒でも飲みながら久しぶりに話したいな」
アルベールトの誘いにラウルも了承したところで、四人が戻ってきた。アメリアは赤色、マリッサは白色の薔薇を花冠をしていた。
「お二人共お似合いですね」
「似合ってる」
アルベールトとラウルが感想を述べると恥ずかしそうに二人ははにかんだ。
とりあえず奥に進むことになり足を進めていると、アメリアとノアが少し用事があるから先に言ってて、と伝えた。
用事とは昨日借りたタオルを出店に返すことだった。昨日の出店があったので、声をかけると昨日タオルを貸してくれた人だった。
「わざわざありがとうございます」
「いえ、お礼を言うのはこちらですー、ありがとうございます」
「今日は例年より人も多いので、気をつけてくださいね。観光の方は特に狙われやすいですから」
再度店主に礼を伝えて、その場をあとにした。少し進んだ開けたところで四人は待ってくれていた。
とりあえず、カサイルに譲ってもらった占いに行くことにする。どうやら奥のようで、少し距離はある。
「アルは花が好きだね、昔から」
「うん、綺麗だからね」
「前も薔薇園でお会いしましたよね」
マリッサがアルベールトに話しかける。
「ええ、あの薔薇園も素敵でした」
一行が話しながら歩いていると温室に到着した。温室の外には案内の女性が立っており話しかけたところ、すぐ案内できるとのことだった。一人ずつがルールとのことで、近くのカフェで待つことにする。まずはマリッサから占ってもらうことになった。
中に入ると、外では見ない品種の薔薇が色とりどりに咲いていた。中央に雰囲気を壊さない白色のテーブルと椅子が設置されていた。
四十代くらいの女性が既に座っていた。長い黒髪の美人だった。座るよう促され、マリッサは女性の対面に座る。名前を聞かれて答えた。
「なにかお聞きしたいことは」
「いえ、特には」
「貴女は行動力もあって自分で判断して進めるから相談事はあまりないのかもしれないわね」
女性は微笑む。外にいた女性が、紅茶を用意してくれたのでマリッサは、口を付ける。
「すみません、占ってもらえる場なのに」
「いいのよ、旅はどうかしら」
マリッサは何も話していないのに見透かす女性に驚いた。マリッサの驚いた表情を女性は、見逃さなかった。
「わかるものにはわかるの」
とだけ言って優しくマリッサを見た。
「今、探していることが見つかっていなくて」
「それなら、ここから南の町イチェスに行ってみるといいわ。工芸品が有名なところよ」
マリッサは正直半信半疑だった。どうやら表情にも出ていたようだ。
「信じる、信じないもあなたが決めていいわ」
今までで一番優しい声音だった。そのタイミングで表の女性があと五分と声をかけてくれる。女性は時間を教えてくれた女性が外に出たのを確認して話す。
「わたしから一つだけ。あなたが見たものだけが真実ではないかもしれない。その日は来るけれど選択を誤らないで」
「……」
マリッサは俯き口を閉ざす。
「真実を知る方法はあるわ。その日より先に知れるかはまだわからない。あなたの一番の願いが素敵なものになることを私は祈るわ」
「わかっているんです、追っても無駄だって。何も意味はないってわかってるのに……」
マリッサは、俯きながら吐き出すように呟く。
「もっと幸せになれる方に目を向けてもいいのよ」
俯くマリッサに優しい眼差しを向けた。
「あなたにはこれを。幸福という花言葉もあるの」
女性は、ラッピングされたピンクの薔薇を渡した。
「あなたに幸福がありますように」
お礼を伝えてマリッサは温室をあとにした。少し離れたところで小さく誰も聞こえない声で呟いた。
「真実、か」
マリッサは五人が待つ喫茶店に到着しアメリアに声をかけた。今度はアメリアが向かった。マリッサ同様中に案内をされる。マリッサを占った女性に座るよう促された。名前も聞かれて答えた。
「聞きたいことはあるかしら」
「……いいえ」
アメリアは思い当たることはあるが話すのを拒んだ。
「一つはあなたの中で答えはもう出てるものね」
アメリアを見て女性は微笑んだ。
「もう一つの方は知りたい?」
「まだ、受け止める覚悟ができていないです」
少し気心を許したのか、アメリアは答えた。
「そう。なら今は言わないわ」
「わかるんですか、私の願いも」
「ええ、わかるものにはわかるの」
表の女性が入ってきて、紅茶を用意してくれた。再度表に戻る。
「貴女は大変な思いをしてきたのね」
「今は大切な人たちがいるので幸せです」
「あなたの幸せが続くことを祈ってるわ」
表の女性があと五分と教えてくれた。
「この先、関係が変わる人が出てくるかもしれないわ。でも、貴女が周りを思う気持ちが変わらなければ、何も問題はないわ」
思い当たることがあり少し顔を赤くするアメリア。
「あなたには悩んだけどこちらを。夢叶うという花言葉もあるの」
ラッピングされた青い薔薇を渡された。
「貴女の旅の目的が果たされることを祈ってるわ」
アメリアもお礼を伝えて温室をあとにした。
アメリアも喫茶店へ戻った。
「どうだったー?」
「なんかすごい人だった」
特に内容を聞きはしなかったがマリッサの話も聞いていたようで、一同は驚いていた。
「とりあえずイチェスに行ってみるか」
マリッサから占いでイチェスに行くといいという話を聞いたザイアスが言うが、事情を知らないアメリアが尋ねる。
「イチェス?」
アメリアは、マリッサから軽く経緯を聞いた。
「帰省する前に行くー?」
「観光案内所で話を聞いてから決める」
「いいの?イチェスで」
マリッサがザイアスに聞く。半信半疑なのはまだ変わらないようだ。
「ああ。闇雲に探すよりは良いと思う」
カフェを出て、祭りを楽しんだ。夕暮れ時になり、祭りは終了した。ラウルはアルベールトと食事をするとのことでここで別れた。
ラウルはアルベールトと食事をしてから部屋へ向かうことになった。




