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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
サルザールト編
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1 二つの祭り

出発の日になり、一行は朝食を済ませる。

荷物を持ち、ガルシオと待ち合わせている部屋へ向かう。レイも付いてきてくれている。


サーシェスは用事があるようで、見送りに来れないとのことだった。


「そろそろ行くか」


ガルシオに案内され、軍用車が用意されているところへ向かう。到着すると六人くらい乗れるだろう車が用意されていた。一行は乗り込み、見送ってくれたレイにお礼を告げて、ガルシオの運転により出発した。



「サルザールトの首都なら夕暮れ前に到着する」


助手席に座ったザイアスに声をかけるガルシオ。


「意外と時間がかからないんですね」


「あまり車は走ってないからな。今は首都で祭りをやってるから行ってみたらどうだ」


「なんの祭りですか」


「薔薇祭りと即位祭だ。即位祭と言ってもハルモニアのだがな」


ハルモニアとサルザールトは友好国のため、ハルモニアの王の即位をお祝いして、祭りが開かれているとのことだった。ガルシオが用事があるのもその関連とのこと。


薔薇祭りは毎年行っているもので、サルザールトは花が名産であり豊作を祝って行われるお祭りらしい。



途中休憩をはさみながら車は走り、当初の予定通り夕暮れ前に首都に到着した。


「ガルシオさんありがとうございます」


「いや、こちらこそ礼を言っても足りないくらいだ」


「昨日いただいたワイン美味しかったですと伝えてくださいー」


行き交う人もいるためあえて名前を出さないノア。


「ああ、必ず。またハルモニアに来たら声をかけてくれ」


ガルシオは、再度車に乗り、目的地へと向かった。



「まず、宿をとるか」


とりあえず、宿を探すことになった。五人ともサルザールトは初めてのため、とりあえず今いる場所の近場で宿を取ることにする。祭りの時期のため空いている宿を探すのに苦労をしたが、なんとか見つけることができた。


夕食時も近いため、宿の店主おすすめのレストランへ向かった。



一行は食事を取りながら話す。


「とりあえず、明日から祭りに行ってみるか」


「即位祭と薔薇祭りは少し場所が離れてるみたいだね。即位祭が後三日、薔薇祭りはあと一週間みたい」


パンフレットを宿で受け取っていたマリッサが説明する。


「三日間は二手に分かれるー?」


「そうだな」


少し話した結果、ノアとマリッサ、ザイアスとアメリアとラウルになった。


「ザイアスとノアは一緒じゃなくていいの?」


ノアがザイアスの護衛と知っているためラウルが聞く。


「ああ、分かれたほうが効率がいいだろう。ノアは護衛というより協力者に近い。サルザールトは治安はいい方だが、吸血鬼は多いから念の為気をつけたい」


リッシェの北にある国、サルザールトから吸血鬼が統治する国・レヴォントゥレットへ向かう船が出る。他にも船が出る場所はいくつがあるが、一番船に乗っている時間がかからないため利用者が多いため、サルザールトは多くの故郷に帰る吸血鬼の通過点となっている。


「そうだねー。二週間後に向けて帰省する吸血鬼も多いと思うし」


一行はご飯を食べ終わり、宿へと戻る。宿は一人部屋しか空いていなかったため、各々の部屋へと戻った。



次の日になり、二手に分かれて祭りに向かった。


ザイアスたちは今いる宿から西へ三十分ほどバスに乗って移動して、即位祭に向かった。


広めの広場を中心に、出店が立ち並んでいた。人も多く賑わっている。ハルモニアで食べた料理が中心のようだ。


「ハルモニアの名産が多いようだな」


「そうだね」


歩きながらザイアスとラウルが話す。


「お兄さんたちこれどうだい?ハルモニアのレモンで作ったレモネードだよ」


「じゃあ三つ」


「ちょっとまってな」


呼子に勧められ、レモネードを買うザイアス。


「兄さんたちレヴォントゥレットに帰るのかい?」


店主も珍しく吸血鬼のようだった。


「帰りますけど、旅をしていて」


「そうか、なら東にいかないほうがいい」


「サルザールトの?」


「いや、アズベールだよ。俺は色んなとこでこの店を出してるんだが、ついに入国できなくなった」


アズベールは一番東にある大国。レヴォントゥレット以外は大陸続きになっており、大陸の三分の一の面積を有している。


「戦争でもするんじゃないかって噂だよ。ちょうどとなりのジオルグは内戦一歩手前だからね。まあ噂だけどさ。近づかないに越したことはない」


「ありがとうございます」


レモネードを受け取って、再度歩き出す。


「戦争……」


「アズベールはもともと好戦的だからな。今までもいくつもの国を合併している。まあ、戦争はしないだろう。今までも付近の立ち行かなくなった国を併合していただけで、戦争にはなっていない」


心配そうな表情を浮かべるアメリアにザイアスが話す。この世界では基本的に内戦はあるにしろ国による戦争は基本的にない。戦争までになると、レヴォントゥレットも直接ではないにしろ介入した場合に勝ち目はないためだ。



話しながら歩いていると、中心部に着いた。ステージが設置されており、ステージの近くにはテーブルが並んでいる。ステージでは、時間ごとに音楽が演奏される、このスペースで出店で買ったものを食べれるらしい。


「祭りは夕暮れ前までだから、それまでいるか」


お昼を過ぎると、お酒の販売も始まり、三人はつまみながらお酒を飲み音楽を楽しんだ。



「飲み物買ってくるね、ザイアスはワインでいい?」


「ああ、ありがとう」


ラウルが席を立ち、アメリアとザイアスがふたりきりになる。以前のこともあって少しアメリアが気まずくなっているようだった。


「アメリア、あのときはあんな言い方して悪かった。アメリアが嫌いで断ったわけではない」


周囲の目もあるため、ある程度伏せて話す。アメリアにも伝わったようでアメリアは首を降る。


「ううん、大丈夫。ザイアスは私のこと大切にしてくれてるのは分かってるよ」


「だからといってマリッサをぞんざいに思ってるわけではない。俺にとってマリッサも大事な友人だ」


「それが聞けてよかった」


アメリアはザイアスの言葉を聞いていつもどおりにザイアスと話す。アメリアが引っかかっていたのはマリッサが蔑ろにされていたのではないかと思っていたためだった。


「理由を聞かないのか」


「ザイアスが言ってこないなら、聞かないよ。さっきの言葉を聞けただけで安心したから」


「ありがとう」


ラウルが戻ってきて祭りを楽しんだ。そして、終了のアナウンスが流れ、宿に戻ることにした。

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