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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
ハルモニア編
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6 御礼

午後になり、レイがザイアスとノアを迎えに来た。レイの案内で向かったのはガルシオの部屋だった。


「長居してしまってすみません」


「もう大丈夫なのか」


「はい」


ガルシオとザイアスが少し会話をしたあと、ガルシオは、二人を連れて別室に向かった。ノックをして入ると先日即位した王が書類と顔を見合わせていた。


「陛下、二人を連れてきました」


「ガルシオ、ありがとう。お二方ともそちらにおかけください」


二人は素直に椅子に座る。


「私のことはサーシェスと呼んで頂けませんか。ザイアスさん、ノアさん」


突然名乗り始めたため、ザイアスは少し慌てる。目下の者から名乗るのが、ザイアスとノアにとっての常識だったためだ。


「私は今、王という立場ではなく、今はただの一個人としてお話をさせていただきたいと思っています」


「承知いたしました、そちらのほうが我々としても助かります」


国として礼を告げられてしまうと、ザイアス達がハルモニアの国政に加担したことになってしまうため、ザイアス達は正直避けたかったので好都合である。


「私を助けてくれてありがとうございました」


「いえ、ただの通りすがりなのでー」


ザイアスとノア、サーシェスは笑う。


「こちら御礼の品です、私個人からの物と思ってください」


ガルシオが袋を渡す。ザイアスは少し悩みつつも受け取る。


「これは俺からだ」


ガルシオもノアに袋を渡す。


「屋台で失礼をしたお詫びも入っている。あのときは無礼をして申し訳ない。女性たちも怖がらせてしまっただろう」


「そんなことしたの?ガルシオ」


今まで笑顔で応対していたサーシェスがガルシオを睨む。


「このあと謝らせてくれ」


「ええ」


「いつかまた、ハルモニアに遊びに来てください」


「ええ、いつかまた。サーシェス様もお元気で。

お世話になりました」


明日明後日は不在と言うサーシェスにお礼を告げ、二人はガルシオとともに部屋をあとにした。



「二人に、いや三人に謝りに行ってもいいか?」


「ええ、もちろん」


部屋に戻るまでの廊下で会話をする。ザイアスの部屋でガルシオは待ってもらうことにして、アメリア、マリッサ、ラウルを呼んできた。


「三人共、初日に手荒な真似をして申し訳なかった」


頭を下げるガルシオ。三人は気にしていなかったようで驚いていた。


「頭を上げてください、ガルシオさん。

俺は気にしていないので」


「私も大丈夫です。驚きましたけど、ナイフよく見たら握っても痛くないような物だったので」


「私も大丈夫です」


ラウル、マリッサ、アメリアが言う。ガルシオは申し訳無さそうに続ける。


「ありがとう。怪我をさせるつもりはなかったが、怖がらせてしまうことに考慮してなかった、申し訳ない」


ナイフを向けられた、人に襲われたという恐怖心。そのようなものは目に見える傷にはならないが、その人にとって深い傷になる可能性もある。


「赦してくれてありがとう。

ザイアス、ノアも謝る場を作ってくれて感謝している」



ガルシオは仕事に戻るとのことで部屋をあとにした。

アメリア、マリッサ、ラウルも荷作りのため、一度部屋に戻った。


「そういえば何を頂いたのー?」


ザイアスがサーシェスからもらった袋を確認する。


「ワインだ」


「いいねえー。夜に、みんな誘って飲もうか」


ノアはガルシオからもらった袋を開ける。


「ジュースとこれはなんだ」


箱に入ったお菓子のようなものもジュースと一緒に入っていた。


「それ、フルーツジュースかな、確かフルーツが特産品って言ってたよね。それもハルモニアの特産品かな」


話しているとノックの音が聞こえた。応えるとガルシオだった。



「少し話し忘れたことがあったんだが今いいか?」


「ええ」


「明後日、サルザールトにむかうと聞いたんだが、軍用車で構わなければ送ろう。ちょうど用事がある」


サルザールトとハルモニアは友好国らしく、首都と行き来をすることもあると教えてくれた。丁度、用事があるとのことで首都まで行くとのことだった。


断る理由もないので、お言葉に甘えることにした。



「ガルシオさんー。先ほど頂いたこれってなんですか?」


二人がわからなかったお菓子と思われる箱を指差すノア。


「それはドライフルーツだ、お嬢さん方がデザートを美味しそうに食べてただろ?」


屋台で、フルーツを使ったデザートを食べているところを見ていたガルシオ。一行が気に入ると思って贈ってくれたらしい。


「ええ、屋台で食べたフルーツはあまり私達がいた国では食べたことがなかったので、嬉しいです」


「この国の特産品だ。暑いところでないと採れない。あと陛下が贈ったワインのつまみにもいい」


そう教えてくれたガルシオは、今度こそ仕事へ戻った。



「俺、この旅の目的、陛下を探すことだと思ってたんだよねー」


ノアが戴き物を片しながら言う。


「俺もそう思っていた」


「まあ、俺が詮索するようなことじゃないけれど。必要であればザイアスが教えてくれるしねー」


笑いながらザイアスに言うノア。


「ああ」


「陛下じゃないと王妃様かなーとは思ってるけれど」


「姫様だとは思わないんだな」


表向きには療養中のお姫様だが、その実は明らかにされていない。陛下のように行方不明の可能性もある。

ザイアスが呟くように言う。ノアは聴こえていたようで返す。


「姫様はどこかにいらっしゃると思ってるよー」


「なんでそう思う」


ザイアスの問いにノアが表情を変えて真剣な表情で言った。


「姫様が陛下のように行方不明だったらそれこそ大騒ぎで、俺の耳にも届いてるはずでしょ。だって不敬を承知で言うけど、陛下は代わりがいるけれど、姫様の代わりはいない」


「ああ、俺もそう考えている。まあ俺たちだと知ってる情報が少ないがな。現に陛下も誰が探していたかわからなかった」


「そうだねー」


ノアはいつもの表情に戻る。


「とりあえず、今はペンダントのことを考える。その後のことはその後だ」


話を終えて、二人は夕食を取りに行った。

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