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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
劇団編
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2 顔合わせ

次の日になり、五人は街へと出た。

ちょうどお昼時のためレストランに入る。


おすすめと看板に書かれていた牛肉の煮込みを人数分頼み、食事が届くのを待つ。すると、席に運ばれてきた。


「マッシュポテトだ」


牛肉の煮込みに添えられていたマッシュポテトをみてアメリアは嬉しそうにする。


「リッシェはマッシュポテトが主食だったもんねー」


「国によってこんなにも食事って違うんだな」


食事を終えてレストランを出た。特にすることもなく街をぶらぶらと歩く。

街の至るところに劇場があり、観光客と思われる人が多く行き交っている。飲食店や宿も多く、観光の街といった雰囲気だ。


特にどこかによることもなく一行は家へと戻った。

リビングで全員集まって談笑をしている。


「二ヶ月間することがないから、お家のことしながら絵でも描こうかなって思ってるけどいいー?」


「ああ、俺もアルバイトでもしようかと思ってる」


「できるのー?」


「なら私もしようかな」


劇の稽古がないザイアスとノアとマリッサは二ヶ月間やることがなくなるため、旅の資金を稼ぐことになった。


玄関のベルが鳴る。ザイアスが向かうとエリーがいた。


「急にすみません。明日のことを伝えていなかったと思って」


ザイアスが家に上がるよう勧めるが、長居はしないとのことで玄関で話すことになった。ザイアスはアメリアとラウルに声をかけた。


「明日は朝に劇場に来てもらえますか。明日以降のスケジュールなどは明日詳しく話します」


二人は了承する。


「あとマチルダさんからの差し入れです。おすすめのパンとチーズだそうです」


エリーから大きい紙袋を受け取った。


「すみません、昨日もビールとソーセージを頂いたのに。お礼を伝えて頂けますか」


「はい」


エリーは笑顔で答え、帰っていった。



「今度はチーズとパンを頂いた」


「自炊するー?キッチンあるし。

野菜とかコーヒーとか買ってこようよ」


ノアの提案に一行は乗り気で、ザイアスとノアが買い物に出掛けることになった。しかし、観光地とだけあって一般的な日用品や食材を売っているお店が少ない。観光案内所があり訪ねてみるが、業者ではない一般の人が買えるようなお店はバスで15分ほど離れた場所にあるとのことだった。


「明日にするか」


「そうだねー」


もうすぐ日が暮れるため、お店も閉まるだろうと思い、明日改めて向かうことにした。


アメリアとラウルは明日が早いため、いつもより早めに就寝した。


次の日になり、アメリアとラウルは劇場へとむかう。到着するとエリーがすでに待っており、中へと案内された。かなり広い部屋に案内されると、すでに十人ほどが集まっていた。


「本日はキャストの顔合わせです、マチルダさんもいらっしゃるので少々お待ちください」


と椅子に案内され、エリーは一度部屋を出た。

ほどなくしてマチルダを連れて戻ってきた。


「全員集まったね。顔合わせって行ってもそこの二人以外はみんな顔見知りよね。

舞台監督はクラウス、演出監督は私。キャストはシエラトエラ戦役後の私は私で、23歳から30歳の私がカリン。両親役がトーマスさんとペトラさん。兄役がラウル。18歳から23歳の私がアメリア。

私は今日から公演の舞台の調整してくるから!」


というだけ言って、エリーに車イスを押され去っていった。

まるで嵐のようだ。


アメリアとラウルが呆気にとられていると、 ペトラに話しかけられた。マチルダと年が近そうな女性だった。


「エリーから聞いたわ。マチルダがかなり無茶を言ったようね。一昨日レストランで見かけて声をかけるよう言われたって言ってたわ」


「いえ……、初めてあった日にマチルダさんの話を聞いて魅力的な方だと思って」


無茶を言われたのは確かであり、真っ向に否定はできないラウルである。


「あの子は人を惹き付けるところがあるのよね。やることはむちゃくちゃだし、一度決めたら曲げないけど」


ペトラは苦笑している。隣に居たトーマスも同意のようだった。


「巻き込んで申し訳ないけど、あの子に付き合ってほしい」


「皆さんの足を引っ張らないように頑張ります」


アメリアが答える。


「なにか困ったら相談してね」


次はカリンが答えてくれた。カリンは二十代半ば位で美人だが、可愛さも備えているような女性だった。話し方も優しく、仲良くなれそうだった。


「ありがとうございます」


一時間ほど談笑し親睦を深めたところに、マチルダがエリーと共に戻ってきた。


「どう?この二人、良い子でしょう」


にこにこしながらマチルダは言う。


「そうね、貴女の我が儘を聞いてくれるのだもの」


ペトラが苦笑しながら答える。


「そうでしょう!レストランでたまたま見かけた時にピンと来たのよねー。話も聞いてたけど良い子そうだったし」


「盗み聞きしてたのか」


呆れたようにトーマスは言う。


「一緒に居た子達も良い感じだったんだけど、ちょっとイメージと違うなって思ったのよね」


「どんな子だったの」


「もう一人の女の子は美人でしっかりしていて、お姉さんって感じの子だった」


「貴女の若い頃とは正反対ね」


ペトラがはっきりと言う。


「でもアメリアは妹みたいな立ち位置だけど、芯は通っているところが似てるなって思って」


「貴女の若い頃はこんなに可愛くなかったわ」


「そこは美化したいのよ。

男性の方は残りの二人は絶世のイケメン。私の兄はあんなに格好良くなかった」


「色々と酷いな」


トーマスが苦笑をしながら言う。


「ラウルも十分イケメンの部類に入るわよ」


「ラウルって見ての通り表情が乏しいけど、とても優しいの。そんなところが兄に似てるなって。」


マチルダが笑うとペトラとトーマスは同意した。マチルダの兄を知っているようだった。


「二人ともごめんね、マチルダさんも容赦なくて」


三人は昔からの仲のようで話が盛り上がっているのを気を使ってくれたのか、カリンが声をかけてくれた。


「いえ、俺もなんで選ばれたのか気になっていたので」


「私もです。演劇は一度もやったことがないのに」


「マチルダさんはそこにこだわってずっと人を探していたの。だから問題ないよ。でも最低限は鍛えてもらうけどね」


カリンが笑う。するとマチルダが時間を確認して声をかける。


「もうこんな時間。今日は解散で稽古は一ヶ月後からね。それまでペトラさん、トーマスさん、カリンは別の舞台もあるけどそれまでに台本読んどいて!

ラウルとアメリアは体力作りと発声練習とアメリアは歌ね!」


とだけ残しエリーにつれられ去っていった。


「やっぱり無茶苦茶ね」


ペトラが言うと実はクラウスが一同が雑談している裏で作っていた台本を渡してきた。ずっしりと重くまるで辞書のようだった。


「自分の役以外のところも読んでほしい。あの子の役者人生がつまってる」


受け取ったアメリアとラウルは大切に鞄へしまった。するとエリーが戻ってきて今後の予定が伝えられ、解散となるが、アメリアとラウルは別室に連れていかれた。基礎体力の測定と発声の確認、アメリアは歌の確認をされた。


夕方になり詳しくは明日説明すると伝えられ、二人は家へと帰った。

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