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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
サーカス団編
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14 疲れ


昼前にマリッサとアメリアがザイアスたちの部屋を訪ねた。ザイアスにドアを開けてもらい部屋に入るとノアとラウルも起きていた。


「次はツァイトにあるエルフォルクだ」


「エルフォルクって演劇の街?」


マリッサが聞き返す。ツァイトは今一行が居るトレランスから西にある国である。トレランス自体がツァイトとの国境近くに位置しているため、さほど距離もない。


「ああ、俺はあまり詳しくないが」


「エルフォルクならそんなに遠くないね、今から行っても夕方には着くよ」


ラウルも詳しいのか答えてくれた。


「ならもう行くか。あと今回ペンダントは二つ埋まった。サーカス団とマリッサの実家だろう」


サーカス団の団員の進路を決めたことと、マリッサの実家の人手不足を解決したことが今回のカギだったと推測するザイアス。


「マリッサ大丈夫?」


異変を感じたアメリアはマリッサの顔色を窺うように覗きこむ。


「うん、大丈夫」


「いや、顔色が悪いから寝てた方がいいよ」


といいながらラウルはマリッサのおでこに手を当てる。


「熱がある。部屋に運ぶからアメリア、案内してくれる?」


ラウルはマリッサを軽々と抱き上げ、アメリアと部屋へと向かった。マリッサのベッドに下ろし、毛布をかけてあげる。


「俺が見ておくからザイアスたちのところへ行ってきて。多分夜には熱が下がるから。ちょっと出発遅らせてって伝えてきてくれるかな」


「うん」


アメリアがザイアスたちの部屋へ向かった。



「ちょっと疲れがでたのかな」


ベッドの近くにある椅子に腰かけたラウルがマリッサに声をかける。


「かもしれない、多分今日中には下がるから」


「昔からそうだよね」


少し笑う二人。


「少し眠りな」


ラウルの声に安心したのかマリッサはまぶたを閉じた。寝息が聞こえてきたことを確認し、一旦ザイアスたちの部屋へ向かう。


話したところ交代でご飯を食べにいくことになり、先にラウルだけ向かう。その間はマリッサのそばにはアメリアがつく。ラウルは三十分ほどで戻って来て、アメリアとザイアスたちもご飯を食べに行き、そのあとは、三人はザイアスたちの部屋で過ごすことになった。


夕暮れ時前にマリッサが目を覚ました。ラウルが気づき声をかける。


「大丈夫?」


「もう大丈夫」


顔色もすっかりよくなった様子だった。


「ちょっと待っててね」


と部屋を去り、数分後に戻ってきた。


「これ、食べれる?」


外出したときに買ってきたスープをベッド横にあるテーブルに置いた。どうやら宿のロビーで暖めて貰ったようだ。


「チキンスープだ!ありがとう」


美味しそうにマリッサが食べるなか、ラウルが話しかける。


「ザイアスが明日もゆっくり休んで、治ったら行こうって」


「もう明日行けるよ」


「やっぱり、よく熱出すけど昔から治るのは早いよね」


スープを食べおわり、食器をテーブルに置く。すると、ラウルはベッドの端に腰掛け、マリッサのおでこに手を当てる。


「もう熱ないね、良かった」


「う、近い」


マリッサの頭を撫でて、微笑むラウル。熱は引いたマリッサだが顔は真っ赤だった。


「こういうのされるのはいつもアメリアなのに」


恥ずかしそうな様子のマリッサ。こういうのとは頭を撫でるといったような行為だろう。


「ノアとザイアスは意外とスキンシップ多いよね、なんか孤高な感じなのに」


「確かに」


「人はすごく寄ってきそうだけど。かなり前に吸血鬼のパーティで会ったことがあるんだ。その時も人だかりができてたよ」


「学園の時も常に誰か居た、ザイアスは特に分かりやすく嫌そうだったけど」


「ザイアスもノアも飛び抜けて格好いいよね、こういのもあれだけど、今まで見てきたなかでノアが一番格好いい」


マリッサが吹き出す。確かに格好いいが、同性相手にそんなことをいうのが面白くてたまらない様子だ。


「吹き出さなくてもいいのに。アメリアもものすごく可愛いよね」


「うん、私が会ってきた中で一番可愛い!」


言ったところで気付く。自分も同じことを言ったと。


「みんないい人だよね」


「うん」


「マリッサも含めてなんだけどね。

そろそろザイアスたちに声かけてくるね。ちょっと一人でも平気かな、すぐ戻るよ。」


マリッサが頷いたのを確認し、ザイアス達の部屋へ向かった。すると三人を連れてラウルが戻ってきた。


マリッサは明日出発できる旨を伝え、夜ご飯も食べに行けると伝えた。


「無理そうなら遠慮せず言ってくれ」


「無茶しないでねー」


「ご飯買って来ようか?」


三人は口々に言う。


「やっぱりいい人たち」


ラウルが言うとマリッサは笑う。なにも知らない三人は首をかしげていた。

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