13 プレゼント
マリッサとアメリアは荷ほどきを終え、再びザイアスたちの部屋へと向かった。
すでに夕暮れ時になっており、夕食を取りに行くことになった。
「三人は魚好き?」
ラウルがおすすめのお店を案内してくれることになっており、ザイアス、ノア、アメリアに確認する。
「あんまり食べたことないからわからない、ごめんなさい」
アメリアが申し訳なさそうに返事をする。前を歩いていたラウルが振り向き、頭をぽんぽんとする。
「謝らなくていいよ、教えてくれてありがとう」
数分歩くとお店に着いたようで、中へとはいる。店内は賑わっているようだったが、すぐに席へと案内された。ラウルが適当に食事の注文をすませ、各々が選んだお酒とおつまみが運ばれてきた。そして、ほどなくして食事も運ばれてきた。
「これ、全部おすすめだけど、アメリアには牛肉のワイン煮込みがおすすめ」
ブイヤベースなど魚料理が並ぶなか、ラウルはアメリアには肉料理を勧める。
「あと魚だけどブランダードがおすすめだよ、食べてみる?」
少し戸惑いつつ頷くアメリア。その様子を見てブレッドに乗せて渡す。アメリアはお礼を言いながら受け取って意を決したように口に運ぶ。
「あ、おいしい」
アメリアは笑顔でラウルの方へ向くと、ラウルも少し笑っていた。
「良かった。色々な国に行くなら、食べれるものは増やしておいた方がいいかなって思って」
「ありがとう」
食事を終えてデザートを食べる一行。
「アメリア、お誕生日おめでとう」
プレゼントを渡すマリッサ。
「いつもありがとう、マリッサ」
「俺からも、おめでとう」
「ラウルも?ありがとう」
ラウル以外の四人はいつもお互いの誕生日にプレゼントを渡すのが習慣となっているが、ラウルと知り合ってまだ日が浅いためかアメリアは少し驚いているようだった。
「そういえば二人は今年は何を渡したの?」
「ハイヒール。
学園都市でアメリアが受け持っていたクラスの卒業パーティに行くためにプレゼントした」
「イヤリングだよー」
「今年はノアだけだけどやっぱりアクセサリー」
やっぱり当たったといいたげにマリッサはラウルを見る。そんなマリッサをみてラウルは表情を崩す。
「最近ラウルよく笑うね」
「そう?昔からよく笑うよ」
「それはない」
マリッサとラウルが言い合ってるとノアが笑っていた。
デザートを食べおわり、五人は宿へと戻った。アメリアとマリッサは部屋に戻り、男性陣は部屋で飲み直すことにした。
部屋でいつも通りワインをあけるノアとザイアス。
「二人はすごい飲むよね」
といいつつもノアとザイアスのペースに劣らないペースでワインを飲むラウル。
「ラウルもな」
世間話をしながら飲んでいると、空いたボトルは三本を越えた。
「そういえばマリッサとはあれから大丈夫か」
「うん、特に気まずくはなってないよ」
ラウルは手に持っていたグラスのワインを飲み干す。
「でもね、我ながら酷いことをしていると思ってるよ。もう吸血鬼だって伝えたけど、今までマリッサが好意を寄せてくれてるのに気づいているのに、嫌われるのが怖くて吸血鬼ってことを隠し続けて」
ザイアスとノアは口を挟まず聞くことに徹している。
「俺は長男だから、いくら大切でもマリッサと結ばれることはできないのに」
ザイアスもグラスに入ってたワイン飲み干して、またワインを注ぐ。
「そうだな」
同じく長男であるザイアスが答える。長男は家を継ぐのが一般的。そして結婚し跡継ぎを誕生させるのが重要な役目。
「まあ吸血鬼と人間だと越えなきゃいけない壁が多すぎるから、お伽噺の世界だけのお話かもしれないね」
「そうだな、お伽噺の主人公のようにすべてを捨てて、好きな人の元にいく勇気はないな」
「そんなことしたら千年は言われるね」
「一生だな」
ザイアスとラウルは笑いあう。
ノアは次男のため、二人とは状況は違う。特に継ぐ家もないので、比較的に自由だ。
「そういえばノアはこういう話ないの?」
「んー」
少し困った顔をして言い淀むノア。その様子を察してラウルが言う。
「ごめん、踏み込んだこと聞いちゃったね。
そろそろ寝る?」
「そうだな」
空いたボトルやグラスを片付けて寝る準備をする三人。もう日が変わりそうな時間だった。




