11 誕生日パーティー
ザイアスとノアはそれぞれの別荘で休み、朝になってから二人でアメリアの家へ向かう。チャイムをならすとアメリアが出てきた。
「久しぶり」
「ああ」
「久しぶりー」
アメリアは笑顔で二人を迎えいれる。家にあげ部屋へと向かう。整理された部屋はテーブルと椅子が置いてあり、あまり物はない。服を作るためのミシンや布や道具などは別の部屋に置いているようだ。
「何もなかったか」
「うん」
答えたがアメリアは町中で吸血鬼に絡まれたことを思い出す。どうやら顔に出ていたようでザイアスは問い返す。
「何かあったのか」
「町を歩いていたときに、吸血鬼に絡まれそうになったの」
「昼間か」
「うん。でも、別の吸血鬼の人が助けてくれたの」
「怪我とかはなかったか」
「うん」
「良かった。助けてあげられなくてごめんな」
ザイアスはアメリアに対してとても申し訳なさそうにする。その様子を見てアメリアは慌てた様子で反応する。
「ううん、大丈夫だよ」
「でも昼間に珍しいねー」
「血が欲しいって言ってた」
「元人間の暴走一歩手前ってとこか」
元人間とは言葉通り元人間の吸血鬼であり、純血の吸血鬼によって、吸血鬼になったものを指す。血を与えた純血鬼に定期的に血を分けてもらわないと渇望で暴走してしまうこともある。
「そういえば前に話したパーティは三日後だ。俺たちと同世代が多いから、そんなに堅苦しいものではない」
「ドレスはどういうのなら平気?」
「持ってるの見せてー」
ノアが言ったので服をしまってある部屋へと案内する。服だけが保管されている部屋があり、ドレスをかけてある場所でノアとザイアスが確認する。
「この辺なら大丈夫だ、色も明るくて構わない」
ザイアスが指差すのはカクテルドレスだった。
「わかった、これとかどう?」
三人でアメリアのドレスを決めて、三日後に再度会うことになった。
パーティ当日、アメリアの家にザイアスとザイアスの使用人である女性が訪ねてきた。どうやらアメリアのメイクと、ヘアメイクをやってくれるらしい。その間ザイアスは家へと戻っていた。
アメリアの準備が整った頃、ザイアスとノアが迎えに来た。アメリアはザイアスの使用人にお礼を告げ、使用人は家へと戻った。アメリアは青色のドレスでスカートが青から白のグラデーションである、おしゃれなドレスに、髪の毛は巻かれていた。アメリアの目の色にあっているドレスだった。
「良く似合ってる」
「これ、俺からのプレゼントー」
渡されたのは小さな小箱に入ったアクアマリンの小振りなイヤリングだった。
「これは俺からだ」
渡された箱を開けると、三人が選んだドレスにあうハイヒールだった。
「お誕生日おめでとうー」
「おめでとう」
「ありがとう」
この日はアメリアの誕生日。アメリアは満面の笑顔でお礼を伝えた。支度を終えてザイアスの使用人が運転する車へ乗る。自家用車はまだ珍しく、アメリアは若干緊張しながら車に乗った。
車を走らせてから数時間たつ。辺りは暗くなってきていた。
「そろそろ着くぞ」
ザイアスの声をきき、アメリアが窓の外を見ると、豪邸が見えてきた。辺りには何もないため、きっと目的地なのだろう。
「着いたよ」
ノアが教えてくれたのと同時に、車は停車する。運転手がアメリア側のドアを開けてくれた。
三人が豪邸へと入ると、待合室で少し待つことになった。
「緊張しなくて平気だよー」
いつもに比べて表情が固いアメリアに対し、ノアが声をかける。
「うん」
返事と表情が伴っていなかった。そんな様子をみて、ザイアスが苦笑していた。
ほどなくして、中に案内された。ドアが開くが中は真っ暗だった。アメリアが不思議そうにすると、スポットライトがパッと三人に対して当たる。
「誕生日おめでとうございます!!!」
声と同時にクラッカーが鳴り響いた。アメリアは驚くが、聞き覚えのある声だった。フロア全体に明かりがつくと見覚えのある面々がいた。
アメリアが学園で担当していたクラスの子達だった。
「え、ありがとうございます」
驚きと嬉しさで少し涙が出そうなアメリアが、声を震わせていた。
「どうして?」
ザイアスに向けて問うアメリア。
「卒業パーティをするから来てほしいって俺の家宛てに手紙が届いて、たまたまアメリアの誕生日だったから、伝えてみた」
「卒業パーティなんて知らなかった」
「アメリア宛に手紙を出しても確認できるのがいつになるかわからないから、俺宛てに出したそうだ。
俺は家族や親戚以外の手紙は開けるよう使用人には伝えてあるからな」
立食パーティのため、各々好きな食事を取り談笑をする。アメリアは生徒たちと話をしていた。ふとしたタイミングで話が切れて、ドリンクを取りに行こうとしているとザイアスとノアに話しかけられた。
「アメリア、どうした?」
「飲み物が欲しくて」
「一緒にいこうかー」
ノアと一緒にドリンクカウンタに向かう。その様子を見ていた生徒たちが小さな声で話す。
「前から思ってたけどあの三人ってどういう関係なんだろう」
「わかんないけど、なんか素敵だよね」
「吸血鬼のなかでも人気のあのお二人にアメリア先生ものすごく大切にされていて、でも嫉妬心とかはわかないのが不思議」
うなずく生徒たち。
アメリアたちは気づくことなくザイアスのもとにもどる。そろそろお開きになると主催者に告げられた。アメリアは生徒たちにお礼を伝える。
「そろそろ帰るか、車はもう着いてる」
「そうだねー、みんなありがとう」
「ありがとうございました」
帰ろうとすると、アメリアに生徒たちから誕生日プレゼントが渡された。
車に三人は乗り、家へと帰る。
「二人ともありがとう」
「今回はミリア嬢から声をかけてもらったんだ。
お礼なら彼女に」
「うん、でも連れてきてくれたから。二人ともパーティとか苦手っていってたし」
「ああいうのは平気だ。苦手なのは家柄目当てで人がよってくるタイプのパーティだ」
よくない思い出があるのかげんなりした様子のザイアスにノアも同意する。
「ザイアスは男の俺から見ても格好いいし、婚約者もいないし、家柄も良いし、長男だしで大人気だよねー」
「長男以外はお前もな」
「ザイアスには及ばないよー」
楽しそうに談笑を続ける三人。数時間したころ、家に到着した。もう朝が近かった。




