10 二人の帰省
時は戻り、ザイアスとノアは実家に向かった。二人とも同じ国の出身で船に乗って向かう。
一日かけて到着する。船を降りると夜にも関わらずたくさんの人が行き交っていた。この場所は、吸血鬼によって統治されている国。貴族制を採用している国である。
「じゃあまたねー」
到着してまもなくして二人は別れた。ザイアスは実家に向かう。ザイアスの実家も爵位を持っており、王族が住む城の近くにある。
家に着くと使用人が出迎えた。
「お帰りなさいませ」
荷物を手渡し、挨拶もそこそこに自室へ向かった。届いていた荷物や手紙を整理をする。
様々な贈り物などを開封し、仕分ける。ザイアスは容姿や地位も含め人気であり、贈り物はよく届く。
そして必要なものを整理したあと、使用人が食事の準備ができたと呼びに来た。ダイニングへと向かう。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、父上。お元気そうでなによりです」
実家に戻ると伝えていたため、ザイアスの父親は予定を開けてくれておいたらしい。
使用人を全員下げさせ、話をする。
「あのペンダントはどうだ」
「今、二つです」
「そうか、アメリアとノアは元気か」
「ええ。相変わらずです」
厳格そうなザイアスも二人の性格を知っているため少し笑っている。
「あとアメリアの友人も一緒だったか」
「ええ、彼女も元気です。あと彼女の幼馴染みの吸血鬼の青年もこれから一緒の予定です」
「吸血鬼か、大丈夫か」
笑っていたザイアスの父は顔をしかめる。
「少し調べないとわかりませんが十三年前に姫様のバースデーパーティにいたと話してました」
「名は」
「ラウルです、家名はわかりません」
「クラシオン家の子息か、なら問題ないだろう」
「姫様のバースデーパーティ招かれるなら問題ないだろうと判断しました」
「だけど、クラシオン家も今は大変だ」
ザイアスに聞こえないくらいの声で言う。
「父上?」
「いや、気にするな。
危なくなければ問題ない。アメリアもアメリアの友人も居るし、リスクはなるべく減らしたおいた方がいい」
「はい、父上はなにか情報はありますか」
「いや、特にはない。良くも悪くも変わらない」
「そうですか」
ザイアスと、ザイアスの父は食事を終え、部屋へと戻る。そしてザイアスは領地の視察や書類整理など父の手伝いをして過ごした。そして、ある日出掛けに行く。着いた先は病院だった。とある個室に向かう。
「母上、お元気ですか」
「ええ、元気よ」
ザイアスの母は父と違い、温厚そうな雰囲気を持っていた。色白で線の細い貴婦人である。
「久しぶりね」
「はい、一年ぶりくらいでしょうか」
「元気だったかしら」
「ええ」
二人に穏やかな時間が流れた。
「そろそろ帰ります」
「そう、元気でね」
「母上もお元気で。また伺います」
ザイアスは部屋を後にした。残る日も父の手伝いを続け、一ヶ月半過ぎた。
ノアも実家に戻る。家に着いてとりあえず部屋に戻り、ノアもまずは届いたものたちの整理をする。するとノックをされた。
「ノア、帰ってきてるのか」
「ええ、開けて平気ですよ、兄上」
ドアを開くと男性がいた。ノアと髪色や眼の色が似ているがノアとは雰囲気は似ておらず、いかにも厳格そうな男性だった。
「久しぶりだな」
「そうですね」
「問題はないか」
「ええ」
「ならいい」
とだけ話しをして、ノアの兄は立ち去った。ノアはため息をついたあと、片付けを再開した。
「堅苦しいのは性に合わないなー」
一人呟き片付けを終える。ノアは特に仕事を手伝うこともなく、部屋で過ごしたり、一週間ほど外泊したりして過ごしていた。
そして、一ヶ月半をすごし、最終日は父と母が来るとのことで食事をすることになった。気が重そうなノアは出発の準備を整えたあとダイニングへと向かう。
「父上、母上、お久しぶりです」
「ああ」
ノアの父はノアの兄以上にいかにも厳格そうな風貌だった。対して母は柔和な雰囲気で意外な組み合わせだった。席に着き食事をする。
「元気だったかしら」
「ええ、母上もお元気そうで」
ノアは母には笑顔を見せる。
「問題はないか」
「ええ」
「カヴァリエーレ家のご子息はお元気か」
カヴァリエーレとはザイアスの家名である。そしてザイアスのことを指している。
「ええ」
「ならいい、何があっても力になってやれ」
「承知しております」
ノアは食べ終わったあと挨拶をし、部屋に戻った。疲れた様子でベッドに倒れこむ。早々に眠りに着き次の日を迎えた。
この日はザイアスと合流し、マニフィへと戻ることになっていた。行きと同様船に乗る。
「久しぶりー」
いつもと口調は変わらないが、少しげっそりとしているノア。
「大丈夫か」
「いつものことだから大丈夫」
「そうだな」
ノアはいつも実家に長く帰るとこんな感じらしい。
「どうしてもあの厳格さは苦手なんだよねー」
「お前の性格はどこからやって来たんだ」
ザイアスはさらりと辛辣なことを言う。ひどいなとノアは返すがこのやり取りも一ヶ月半ぶりで笑っている。
「なにか情報あったー?」
「ラウルの実家はクラシオン家らしい」
聞いたノアは眉を潜める。
「そっかー。ラウルは戻らなくていいのかな」
「わからん。なにか事情があるんだろう。詮索する気はない」
なにかを知ってるように二人は話すがこれ以上はなにも語らなかった。そして、一日が経ち鉄道を乗り継ぎマニフィへと帰ってきた。




