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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
サーカス団編
37/91

7 解散と新しい道

サーカス団の最終公演日となった。ザイアスたちは時間に余裕をもって劇場へと向かう。劇場に到着し、中に入ると開演三十分だが、席は八割方埋まっていた。


「今日は人が多いな」


ザイアスは辺りを見渡しながら言う。


「応援してる人多いんだよ。この国でサーカスは珍しいし」


マリッサが教えてくれた。四人は指定された席へと座る。ほどなくして、開演時間となった。ピエロによる大道芸、ジャグリング、トランポリン、そして最後に空中ブランコで終演した。


団員たちが舞台に全員出てきて挨拶をする。最後に団長であるラウルが挨拶をした。


「サーカス団ボヌールは本日をもって解散します。私たちは応援してくださる皆さまのお陰で今があります。十年間ありがとうございました」


深々と頭を下げるラウル。観客たちから大きな拍手が送られた。そのあと団員たちは初日のように観客席を回る。観客の中にはプレゼントを渡す人もいた。中には涙を浮かべる者もいた。


ゆっくり客席を回り、最後に再度舞台へ戻りお辞儀をする。大きな拍手が再度送られた、公演は終了し、サーカス団は解散した。


観客の熱気が収まった頃、ザイアスたちは席を後にした。出口のところでラウルが待っていた。


「明日、朝一のバスでいいのかな」


「うん」


「ならバス停で待ってるね」


ラウルは用件を伝え、目立たないように足早に戻っていった。四人も宿へと戻る。宿につき、明日は早いため夜更かしはせずに早めに寝ることになった。



マリッサを見送るためザイアスたちも早起きをした。予定通り、バス停へと向かう。


「二ヶ月後、あの宿に戻る。何かあれば連絡する」


「わかった、気を付けてね」


「マリッサもねー」


バスへ向かう道中に、二ヶ月後の合流方法について話し合う。バス停は宿からそれほど離れておらず、すぐに着いた。ラウルたちもすでに到着している。


「おはよう。ごめんね、巻き込んで」


「ううん、おばあさまも前からラウルたちのこと気にしてたから」


「ありがとう。ザイアスたちもごめんね。二ヶ月も旅を止めることになっちゃって」


「構わない。俺たちも実家に用があるからな」


バスの出発時刻になりラウルたちは乗り込んだ。


「気を付けてね」


「アメリアも気を付けてね」


最後にマリッサとアメリアが話して、マリッサもバスに乗り、出発した。

バスの中で自己紹介をする。マリッサの実家で働く予定の人は十二人。明るい人が多く、話は弾んだ。そしてマリッサの実家の町に到着する。バスを降りマリッサの実家へと向かう。到着して、チャイムを鳴らすとマリッサの祖母が出迎えてくれた。



「ただいま戻りました、おばあさま」


「おかえり。疲れただろうからダイニングで話そうか」


マリッサの祖母がダイニングへと案内する。ダイニングへと入るとおしゃれで横長のテーブルがあり、二十人くらい一緒に食事ができそうな広さである。サーカス団の団員たちはあまり慣れていないのか少し緊張した面持ちだった。


「適当に座って」


マリッサの祖母が声をかけると、全員座った。


「ご迷惑お掛けして申し訳ございません。本日からよろしくお願いします」


ラウルが深々と頭を下げる。


「人手が欲しかったから構わないよ」


マリッサの祖母は笑顔で言う。


各々自己紹介をして、最後にマリッサの祖母が話す。


「最初に名乗るべきだったわね。私はソフィア・インラール。マリッサと被るからソフィアって呼んで。貿易商アッシュデュの会長をしているわ」


マリッサの祖母・ソフィアは通る声で話す。


「今日は疲れただろうからゆっくり休んで。使っていない社員寮があるからそこを使って。管理はしているけど長い間使ってないから、三日間で生活する準備をして頂戴。マリッサ、案内して差し上げて」


段取りよくソフィアは話す。マリッサはラウルたちをつれて案内しようとする。


「ラウルは少し話があるから残って」


ラウルは立ち止まり留まる。マリッサたちが家を出たのを確認し、ソフィアは使用人を下げさせる。


「ラウル、手紙にも書いてあったけど貴方は本当にここで働かないの」


「ええ、私さこの国は住みづらいので」


ラウルは申し訳なさそうに話す。


「私たちのことは気にしなくていいのよ。吸血鬼という種が悪いわけではないわ」


以前マリッサを通じ、ソフィアに渡した手紙五枚目に自身が吸血鬼であることを書いていた。そのため、ソフィアはラウルが吸血鬼であることを知っている。


「ありがとうございます。ですがいつかソフィアさんたちや団員たちに迷惑をかけてしまうのは明白です。

あと、私もやりたいことがあるので」


吸血鬼を匿ったとしてソフィアたちや団員たちはこの町の人に蔑視されてしまう可能性が高い。そのことをラウルは気にしている。ソフィアは吸血鬼自体が悪いと考えていないようだが、町の人達のなかには吸血鬼の存在自体が嫌な人もいる。


「そう。それならこれ以上は言わないわ」


「ありがとうございます」


「あの社員寮は貴方たちの家のように使って構わない。他の場所で働くことになった子達も自由に出入りができるようにしておくわ」


ラウルは頭を下げてお礼を伝える。


「そこまでしていただいてありがとうございます」


「貴方たちは何も悪くないのにすべてを失った。

私は運よくすべては失わなかった。でも大変な気持ちは分かるから出来ることはさせてちょうだい」


「ありがとうございます」


話が終わり、ラウルは案内をしに行ったマリッサをとりあえず待つことにする。すると案内が終わったマリッサが戻ってきた。


「マリッサにはやってほしいことを伝えるわ。ラウルは上の部屋で少し休みなさい。明日、もう出るんでしょう」


「はい、二ヶ月後また来ます」


ラウルは部屋に案内され少し眠ることにした。

マリッサとソフィアは、団員たちがやる仕事について話をして、マリッサはまず誰に何の仕事をしてもらうか考えるよう言われた。


この日は休むことになった。

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