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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
学園都市編
29/91

19 後夜祭

後夜祭が始まる。

進行を勤めるのはマリッサとサリ。


「始めに学園長からご挨拶をいただきます」


学園長が挨拶を述べているのをあまり気にせず、アルベールトはザイアスやノア、アメリアを探す。最初に見つけたのはノアだった。


「ノアさん」


「あれ、アルベールトさん」


声をかけられたノアは振り向き、アルベールトが連れている二人を確認し、察したようだった。


「お初にお目にかかります、サンデル卿、セイント卿、ノア・クリュプトンと申します」


頭を下げるノア。


「あのクリュプトン家の……」


言葉が詰まっているのはセイント卿。場の空気を読んだのはノアだった。


「私は半分家出しているような身ですが。私は次男ですし、自由にさせてもらってます」


少し暗い雰囲気をなごませるように笑うノア。なにか事情があるらしい。

サンデル卿とセイント卿は、ノアを嫌がっている様子はなかった。


「自由か、それはいいな。若いうちは自由でいてほしい」


「吸血鬼、いや貴族階級はとくにしがらみが多いからな。年取ったらいくらでもしがらみに悩まされることがあるからなあ」


笑いながら返すセイント卿の言葉を期に、少し場が和んだところで、アルベールトたちは、ザイアス、もしくはアメリアのもとへと向かった。



後夜祭の方は、学園長の挨拶が終わり、飲食部門や芸術部門等に別れた部門賞の発表へと移っていた。


次に見つかったのはザイアス。


「ザイアスさん」


「アルベールトさんか」


振り向きながら答えるが、ノアと同様にサンデル卿とセイント卿の姿を確認し、挨拶をする。


「お久しぶりです、お二人とも」


会ったことがある様子で二人に挨拶をする。


「ん?もしかしてカヴァリエーレ家のご子息か」


「大きくなったな、十年ぶりくらいか」


「ええ、お二人ともお元気そうで」


家の爵位はザイアスの方が上だが、まだ当主ではないので砕けた様子だった。

ザイアスもとくに気にすることなく談笑している。


吸血鬼の貴族階級はしがらみや派閥などがあり、ザイアスとノアは辟易している。

どうやらサンデル卿とセイント卿も似たような考えなようで、公式の場ではない今、二人とは特に家名を気にすることなく話をしていた。


普段ザイアスとノアは家名を明かさないが、必要に迫られたときのみ口に出していた。

今回はペンダントに関わることのため、少しでも家の名前が有利に働けばと判断をザイアスとノアの間でしていた。


後夜祭の方が終わりを迎えそうな様子だった。最後に総合優勝のクラスが発表されるときだった。


「すみません、お二人とも。

最後の一人はお話しできないかもしれません」


アルベールトが事前に謝る。

総合優勝はアメリアの担当するクラスだった。


学生たちが壇上にあがろうとしているが、アメリアは上がろうとしていなかったところ、半ば無理矢理引っ張られていた。


「私はなにもしていないんで」


というアメリアの声がマイクに拾われた。


「たくさんしているから!」


クラスの代表格であるミリアに言われ、渋々と壇上にあがるが、目立たない隅にそそくさと移動していた。


「あの方ですよ」


アルベールトが二人に話す。


「吸血鬼ではないのか」


「あんなに溶け込んでいて凄いな。いいことだ。

吸血鬼や人間という括りなく、学生生活を過ごせるのはいいことだ」


サンデル卿とセイント卿は驚きを口にした。


無事に後夜祭も終わり、サンデル卿とセイント卿は迎えが来て帰っていった。


生徒たちも片付けは明日にするクラスが多く、講師たちも疲労が見えていたので早々に解散した。

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