18 学園祭二日目
いよいよ学園祭も最終日となった。昨日と劣らないくらいの来客があり、賑わっていた。
始まる時間に来た来客の受付が落ち着いた頃、来賓が訪れた。受付を担当していた講師は、学園長を呼び、対応をする。
「お久しぶりです、サンデル卿、セイント卿」
学園長は受付から少し離れたところでサンデル卿とセイント卿に挨拶をする。
「その呼び方はよしてくれ、友人だろう」
苦笑しながらサンデル卿が返した。
「今日はどうしますか」
「敬語もよしてくれ」
今度はセイント卿が返す。
「今日は立場がありますからね、他の講師たちにも私たちが友人であることを公にする必要はないでしょう」
学園長は頑なに敬語を崩さない。サンデル卿とセイント卿は学園長が言ってることが正しいと思っているのか、特に反論もしない。
受付で手渡された案内パンフレットを見ながら、サンデル卿が言った。
「懐かしい題目のミュージカルがある、これを観たい」
「ご案内しますが、まだ時間がありますね。」
「なら、適当に歩いてなにか食べたい」
セイント卿が今度は提案した。
「私は劇の時間まで、少し仕事をしてきます。
誰か案内をつけますか」
「いや、平気だ」
学園長の提案をサンデル卿が断る。講堂で再度合流することになり、二人は屋台が並ぶところへと向かって行った。
一方学園長は講堂へと向かった。
「まだ暇だね」
ノアは自身が受け持つクラスの喫茶店で軽食を作っていた。二日間やってみた感覚だと、忙しくなるのは来場者が疲れてくる後半になってからというのが分かった。
「ちょっと劇でも観てくるねー」
クラスの生徒たちは見送る。自由奔放すぎる講師である。
劇が始まる時間が近づいたところ、サンデル卿とセイント卿が学園長と合流した。学園長は席へと案内し三人で観劇することになった。
ミュージカルを行うのはアメリアが受け持つクラス。
初日とは違う題目である。
ブザーが鳴り、幕が降りた。
時は昔。想い合っていた二人の男女がいた。身分は二人とも貴族階級だが爵位が違う。
周りは反対し、各々婚約者も居た。二人は結局結ばれることがなかったが、お互いの血しか飲まないと心に誓っており、どんどん衰弱をする。
二人の各々の婚約者もあきれ果て離れていってしまい、二人の家の者たちも諦め、二人の結婚を認めることにした。
晴れて二人は結ばれて、幸せなときを過ごせることになった。
ミュージカルが終わり幕が降りた。
「懐かしい、今の子達にも馴染みがあるんだな」
サンデル卿は小さく呟きながら大きな拍手を送る。
三人は講堂を出てまた屋台をぐるりとまわることになった。
「活気づいてて良いな、昨年とは大違いだ」
笑いながらセイント卿は話す。
「そうだな、学生たちの親や友人が来てるのか」
「ええ、大々的に行うのが初めてなので、今年度は学生たちの関係者と学園都市の生徒たちと来年度入学を考えている子とその親に限定してます」
講堂を後にして、屋台の食べ物や飲み物を堪能したところで、学園長室にて話すことになった。
「いかがでしたか」
学園長室でソファに座りながら話をする。
「去年のままだったら断ってたが、講師になってもいい」
サンデル卿は笑いながら話す。
「学生は学業だけではなく、こういった行事を通して色々なことを学んでほしい。机等に向かって個々で成果を出すのも良いが、それは学園でなくても出来る」
「そうだな。協調性やリーダーシップを養うことは将来のためになるからな」
「ということは来年来てもらえるということですか」
学園長は単刀直入に聞くと、二人は頷いた。
「どうやって今回の学園祭をやったんだ」
「若い講師たちが色々動いてくれたんですよ
そもそも生徒たちが学園祭を知らないのではって、言ってくれて」
なるほどと頷く二人。
「会ってみたいな、その講師たちに」
セイント卿が言う。
「後夜祭のときでよろしいでしょうか、今は別々の場所にいるから会いに行くのは大変です」
「そしたらそれまでここで休んでいても構わないか。少しはしゃぎ疲れた」
笑いながらサンデル卿は返答し、学園長室で休むことになった。学園長は一度、学園祭の様子を見回りに行くということで部屋を出た。
学園祭の終わりの時間となり、学園長は学園長室へと向かうときに、アルベールトに会った。
「お疲れ様、後夜祭の準備はどうだい」
「お疲れ様です、集計や会場の準備も終えました。来客もお帰りになりました」
後夜祭は自由参加だが、来客者にどの出し物や屋台がよかったか投票してもらった結果も発表することになっているため、どのクラスも基本的には参加する流れになっている。
「少し時間はあるかな、サンデル卿とセイント卿に少し挨拶をしてほしいんだ」
「ええ」
二人は学園長室に向かった。
「ご無沙汰しております」
部屋にはいると、アルベールトが二人に挨拶をする。
「若い講師とは貴方のことだったのか」
驚いている二人。三人は面識があったようだ。
「あと三人いますよ」
笑いながら答えるアルベールト。
「貴方が学生たちが学園祭を知らないのではと気付いたのかい」
サンデル卿が訪ねるが、アルベールトは首を振る。
「いえ、私ではありませんが、お二人はご存じだと思いますよ」
頭をかしげる二人。
時間になり、後夜祭を覗きに、校庭へと向かう。
ステージがあり、そこで発表がある。
特に席とかは用意されておらず、好きな場所で自由に参加できるが、参加者は学園の生徒と講師、あとは学園の出資者などの来賓のみとなっている。
学園長は始めに挨拶をすることになっているので、二人をザイアスたちに案内するのはアルベールトがすることになった。




