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遥かなる旅路で  作者: 星野すばる
学園都市編
24/91

14 学園祭の準備

学園祭まで二週間を切った日。普段の講義は休みとなり、アメリア、ザイアス、ノアは各々が担当するクラスの監督をしていた。


「痛っ!」


ザイアスのクラスの男子生徒が声をあげた。屋台を作っている最中に、誤ってとんかちで指を叩いてしまったらしい。


「大丈夫か、医務室に行くか」


ザイアスは声をかけるが、男子生徒は首をふった。


「大丈夫です、普段こういうことしなくて慣れてなくて」


「そうか、腫れてきたりしたらすぐ教えてくれ」


慣れない手つきだがクラスの男子生徒たちで屋台を作っていく。ザイアスは直接は手を出さず一歩離れたところで見守っていた。生徒たちは最初は乗り気ではないようだったが、実際にやってみると楽しそうに作業をしていた。


「できたー!」


屋台を作っていた男子生徒たちから声が上がった。看板に絵を描いていた女子生徒たちも集まってきた。ザイアスは強度を確認していた。


「ああ。大丈夫だな。あともう一個だ」


喜ぶ声と安堵の声が聞こえた。


「今日は男子はここまでで、女子は看板ができたら終わりにしよう。明日は男子がもうひとつの屋台を作成し、女子は当日の服装を考えてもらうのでいいか?」


クラスのリーダー格の生徒が仕切り、クラスがまとまっていく。そんな様子をザイアスは微笑ましそうに見ていた。


「そうだ、保護者に学園祭の案内を送るがメッセージとか書きたい人がいれば明日までに声をかけてくれ」


ザイアスの声にクラスの生徒たちは話し出す。


「もう手紙だした!いつもと違うから来てほしいって」


「まだ親に話してないからメッセージ書こうかな」


笑顔で話をする生徒たちをみて、ザイアスは内心ほっとする。



一方アメリアのクラスではミュージカルの練習をしていた。


「凄いですね、この短期間で」


アメリアは様子をみながら感想を口にした。


「このクラスは貴族階級や裕福な普通階級の家の子が多いから、元々観劇とか歌とかを嗜んでる子が多いんですよ。そもそも貴族階級だと立ち振る舞いなどは叩き込まれますから」


一人の生徒が教えてくれた。裕福な普通階級というのは、爵位はないけれど家が服飾関係などで栄えている家系ということらしい。


「そうなんですね。

でも劇とかを嗜んでいても、自分でやることは少ないはずなのに、みなさん凄いです」


アメリアは言葉通り感嘆としていたところ、何人かは暇そうにしていた。


「どうしました?」


「いえ、もう服の準備や小物の準備が終わって、当日までできることがなくて」


劇の内容はクラスの全員が知っているようなおとぎ話を二種類。実際に劇に出るのは、二種類で十人ほどであり、残りは裏方に回る。裏方に回る生徒たちは手が空いてきている様子である。


「もう服の準備や小物の準備が終わったのですか?」


「はい。講義で作った服をアレンジしたのですが、楽しくて想定以上にはやく終わりました。

来週から実際服を着て練習を始めたら修正をするのでまた忙しくなりますけど」


生徒たちは楽しそうに答えてくれた。

アメリアは少し考えて、やることのない生徒たちに耳打ちをした。


「いかがです?私も手伝います」


「やってみます!」


「明日は少し町に出ましょうか」


手が空いた子達となにかをしようとしているアメリアは街に出て買い出しに行くことになった。



一方ノア。


「絵も看板もできてきたねー」


ノアのクラスでは喫茶店を行うことになっていた。どちらかというと休憩所みたいなもので、ドリンクとお菓子を提供しつつ、絵を見てもらおうと考えていた。着々と部屋に絵が飾られていった。


「ここにはなにもおかないのー?」


ある一角に、不自然になにも飾られていないスペースがあった。


「ここは当日来てくれた人の要望で絵をポストカードにかいて、それを貼っていこうと思っていて。」


「なるほどー、今さらだけどさ、ポストカード売っちゃえばー?」


軽く笑顔で言うノア。生徒たちはあまり乗り気ではない。


「売れるんですかね」


「わからないけどさ、実際に絵で仕事したいって思っている子もいるでしょー?良い練習になるんじゃないかなって」


売れるかどうかなんてやってみなければわからないとノアはいう。確かに誰も買ってくれないという不安もあるが、文化祭だし失敗してもいいと生徒たちに告げた。


「今からでも間に合いますか?」


リーダ格の生徒が回りの反応を汲んで尋ねる。


「何とかしてみるよー。

そういえば、当日の服装は用意してるー?」


部屋に着々とテーブルや絵が並べられていくなか、服の準備がされている様子が見られなかったためノアは生徒たちに聞いた。私服で接客は構わないが、新品のエプロン着用は衛生的に必須という決まりがある。


沈黙が流れた。どうやらなにも決まってないらしい。


「それも含めて相談してくるねー」


と言い残し、ノアは部屋を出ていった。



マリッサとサリは本部で手配に追われていた。

慣れないなかで行う学園祭なので、実際に準備が始まると、足りないものが各クラスから出てきている。


「マリッサー」


ノアが部屋に入っていった。


「相談があるんだけどー」


ノアが先ほどの話を告げるとマリッサは絵を描くときと飲み物を出すときのエプロンを違うものにすれば構わないと教えてくれた。またエプロンの手配もクラスの人数の倍をお願いした。


「これなに?」


用事も済み、ノアはクラスに戻ろうとしたところ紙の束があるのをみつけた。


「明日各クラスの担当の講師に渡す保護者の案内ですよ。私たちだけだと手が回らないので宛先の記載とかを講師の方々にお願いをしようかと」


マリッサの代わりにサリが答えてくれた。


「いよいよだねー

マリッサもサリさんも何かあったら言ってねー」


ノアは邪魔をしないよう長居はせず部屋を出た。

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