11 始動
一行は一日ゆっくり過ごし、アメリア、ザイアス、ノアはいつもより早く学園に向かった。
休み明けのこの日は職員会議があるためである。
学園に着くと、広い部屋に案内された。
三十人ほどの講師が集まり、学園長主導で会議が進んでいく。
話題は集会やテストの話などがされ、最後の議題で学園祭の話になった。
「以前話しましたが、今年は学園祭を盛り上げ、成功させなければいけません」
学園長が話すが講師たちは困惑している様子だった。
「ご事情は理解いたしましたが、生徒にやる気がないのであれば厳しいかと……」
三十過ぎの男性が話す。周りの講師たちもうなずきながら同意をする。
学園長も成功させたい気持ちはあるが、講師たちが言うことも理解しているようで、何も言い返すことができない。
「そもそも学園祭がどういうものか知らないのではないですか?」
沈黙を打ち破るようにザイアスが話すと、周りの講師たちが同意をしはじめる。
「昼の文化祭にいく生徒は少ないだろうし、うちは展示のみだったからなあ」
「学園祭を知ってて当たり前って思いましたけど、考えてみれば、この学園の生徒、いや吸血鬼は自分で学園を選ぶことなく、親の指定で入る者も少なくないですもんね」
吸血鬼は階級や派閥などのしがらみもあるため、親が指定することが多い。そうなると、他の学園が行ってる学園祭など知る由もない。
「まずは学園祭がどのようなものか伝えましょう。そして各クラスや部活動がやりたい出し物を今週中にまとめて、調整を行いましょう」
学園長がこれまでの話をまとめて講師たちに指示を出した。
クラスは担任という制度はないが、講師がメインで持つクラスを各々ひとつ担当し、取りまとめることになった。
元々予算は用意しているため特に捻出することもなく、生徒たちが出してきた出し物をバランスを見て振り分けることになった。
「予算管理などは少し大変ですが、講師で行うことになります。ご協力をおねがいします」
学園長が軽く頭を下げ、職員会議は終わった。
講師同士の雑談に耳を傾けて聞いてみると、全員が今のこの学園の状況は理解しており、学園祭の成功が変革に繋がると思っているようだった。
しかし、肝心の生徒がやる気がないのであれば、どうしようもないと思っていたところだったらしい。
とりあえず、各々の講師室に一度授業の準備をするために戻ることにした。三人で廊下を歩いていると、ザイアスが講師のうちの一人に話しかけられた。
「あ、君。新しい方だよね?
さっきはありがとう。僕たち学園祭を生徒が知らない可能性があるという当たり前のことを忘れてたよ」
初老で、穏やかそうな男性だった。
「吸血鬼は、自分で学校を選ぶことは少ないですから、見学とかもあまりいかないのではないかと思って発言させていただきました」
「ありがとう、これから講義で話してみるよ」
お礼を伝え足早に去っていった。
三人も一度各々の部屋に戻り、準備をしたあと講義へと向かった。




