9 休日のお出掛け
この日は全員休日。昼過ぎに一行とマリッサの友人、サリと合流し、自己紹介を済ませ、まずは薔薇園へと向かった。
この日は薔薇園と水族館に行くとのことだった。
「みなさん昼から動いて大丈夫ですか」
歩いているときにふと気になったのか、ザイアスとノアに向けてサリが話かけた。
「このくらいの時間なら大丈夫だよー。
少し眠いけどね」
笑いながらノアは答える。
この日は曇っており、日差しもそこまで濃くないため、晴天の日と比べ調子は良さそうだった。
「眠くないか、アメリア」
現在は夕方に起きて朝方に寝るという所謂昼夜逆転の生活を送っているアメリアのことをザイアスは気にかける。
「少し眠いけど大丈夫だよ。ありがとう」
一行が話していると、薔薇園についた。
広い公園のようになっており、辺り一面に色々な種類の薔薇が咲いていた。
女性陣がはしゃぎながら園内を回っていたところ、アメリアが見覚えがある人影を見つけた。
「アルベールトさん?」
「あれ、アメリアさんたちもお出掛けですか」
「はい、別の学園で働いてる友人も一緒に。アルベールトさんもですか」
アメリアはマリッサとサリがいる方向を向きながら答えた。
「ええ。薔薇が見たくて。夜だと閉園しているみたいなので早起きをしました」
学園内に吸血鬼もいるが少数であるため、娯楽施設は朝から夕方までしか空いていないところの方が多い。
「そうなんですね」
二人が少し談笑しているところ、不思議そうにサリが話しかけた。
「アメリア、そろそろ水族館行こうかって。こちらの方は?」
「同じ学園で働いているアルベールトさんだよ」
アルベールトが軽くサリに会釈をする。
「アルベールトさん、この後予定なければ水族館にいきませんか?」
サリが突然アルベールトを誘ったため、アメリアは少し驚く。同様にアルベールトも少し驚いている様子だが、
ふわりと笑顔を浮かべながら、了承してくれた。
少ししてザイアス、ノア、マリッサと合流し水族館へと向かい移動をする。さほど離れていないため徒歩で移動する。
サリの独断で決まったアルベールトの同行も拒否をされることもなく、マリッサとアルベールトも初対面のため、自己紹介を軽くした。
「あの人、すごくかっこいい」
サリはアルベールトから少し離れた位置で、アメリアに耳打ちをした。
「そうだね」
「ザイアスさんとノアさんもかっこいいけど。
アルベールトさんが一番好み!」
少し興奮気味に話され、若干引きぎみのアメリア。
サリは人見知りをしない性格、対するアメリアは人見知りではあるが、マリッサの友達ということもあり二人はすぐに打ち解けていた。
話をしながら歩いていると水族館につき、中には入ると、大きな水槽があり魚がたくさん泳いでいた。
魚を眺めながらマリッサが聞いた。
「そういえば、ザイアスたちは海行ったことあるの?」
マリッサとサリの出身地は海に囲まれているため、海に珍しさは感じていない。
「俺はある」
「俺もあるよー」
「私もあります」
「私はないよ」
と各々が答える。
アメリアだけが海を見たことがなかった。
大陸は基本的に陸続きであるため、海を見たことがない人も多い。アメリアが住んでいたリッシェは国々に囲まれており海はない。物珍しさからかアメリアは特に食いつくように魚を見ていた。
「アメリア、いつか海見れると良いな」
ザイアスが少し物憂げな表情でアメリアの頭を撫でながら、声をかけた。
その様子をサリはにやにやしながらマリッサに声をかけた。
「良い雰囲気だね」
「そうだね」
マリッサからは少し寂しそうな声で返ってきた。
「マリッサ?」
「ううん、なんでもない」
異変に気づいたサリはマリッサの表情を窺う。少し首をふりながらマリッサは答えるが元気はあまりなさそうだ。
「ザイアスのこと、好きなの?」
唐突にサリが聞いた。マリッサは否定する。
「いや、違うよ。
アメリアとノアとザイアスは私が知り合う前から、仲がいいらしいんだよね。
私も三人と仲は良いと思っているけど、たまに入り込めないというか入っちゃいけないんじゃないかって……」
うつむきながら話すマリッサ。
「ごめんね。 寂しい思いさせて。
ザイアスもアメリアも、もちろんおれも、マリッサのことは大切な友達だと思ってるよ」
想定していない声、方向から返事が返ってきたため、マリッサは驚きながら振り向いた。
「ノア!
サリも気づいてたよね!」
角度的にサリはノアがいることに気づいていた。しかしマリッサは敢えてマリッサが話すのを止めなかった。
「聞くつもりはなかったんだけど、聞こえちゃった」
少しおどけたようにノアが言う。
「ちょっとアルベールトさんのところにいってくるね!」
気を使うようにサリはアルベールトのところへと向かった。マリッサとノアは二人で館内を回る。マリッサは気まずいのか話をしない。沈黙が続くなか、ノアが沈黙を破った。
「薄々気づいてたけど、やっぱり寂しい思いをさせてたんだね」
「いや、大丈夫だよ」
「前も言ったけどもっと頼っていいんだよー。
一緒に旅をしてるんだし」
休憩スペースがあったため、二人は腰を掛けた。ノアはマリッサを心配そうに見ているがマリッサはうつむいている。
「ザイアスはいつもアメリアのことばっかで、ノアもザイアスとアメリアのこといつも心配してて……」
マリッサは小さい声で話始めた。ノアはそれを何も言わず頷きながら聞く。
「私も旅についていきたいって自分で言ったけど、たまに疎外感があった。
アメリアのことは大好きだし、少し子どもっぽいけど優しい良い子だし、すごい可愛くてとても及ばないけど、ザイアスやノアに守ってもらえていいなあって思っちゃってた。
最近はそう思う自分が少し嫌だった」
思ってたことを吐き出した様子のマリッサ。
「少し事情があってアメリアとザイアスは俺にとって大切な存在なのは事実だよ。それは否定できない。
けどね、マリッサのことも大切だよ。
マリッサはしっかりしていて、あまり弱音をはけないのかもしれないけど、俺のこと頼って。
旅は長いだろうし無理していると疲れちゃうよ」
ノアはマリッサの眼を見て真剣な様子で伝えた。
「ありがとう」
ノアは笑顔に戻ると、そろそろいこうかと声をかけ席をたった。
全員が合流し、水族館をあとにした。
外にでると夕焼けが広がっていた。
ご飯でも食べに行こうかということになり、近くにあったお店に入り、六人で楽しくご飯を食べた。
「そろそろ帰ろうかー。
マリッサとサリさん送るよー」
結局全員でマリッサとサリの寮に寄ってから帰ることになった。十分ほど歩くと寮についた。
「送って頂いてありがとうございました。
また、遊びましょう!」
「送ってくれてありがとう。
アルベールトさんもわざわざありがとうございました」
二人はお礼を伝え、部屋に戻った。
残った四人は歩いて自分達の寮へと向かう。
「アメリアは今日寝るのか」
「ううん、起きてるよ
今寝ちゃうとリズムか崩れて明後日起きれなくなりそうだから」
「じゃあ朝までのもうよー。俺の部屋とかで。
アルベールトさんもどう?」
アルベールトもアメリアも了承し、ノアの部屋へと向かった。




