10 旅立ち
日が半分ほど登った始めた頃、ザイアスが、酒場に来た。
「おはよう、もう大丈夫?」
ザイアスにマリッサが声を掛ける。
キッチンではマリッサとアメリアが、昨日の片付けをしていた。結局ノアたちは日付が変わってからも飲んでいたらしい。
二人もノアたちの宴会が終わるまで手伝いをしていたが、終わったあとすぐに寝てしまったとのことで、しかし片付けが終わっていなかったため今行っている。
「もう大丈夫だ。出発は明日だな。あとはやっておくから二人はもう少し休んでた方がいい」
「明日もう行くの?」
「ああ、これをみてくれ」
ザイアスは二人に向けて、ペンダントを差し出した。そこには一つ今までになかった石がはまっていた。
「これでとりあえず終わったってこと?」
「たぶんな。だが条件はまだわからない」
村の人の希望が叶ったとか、リッシェに小麦が流通することが決定したとか色々考えられるが、確証は得ていない。
「ザイアスは早くこれを集めたいんだよね?」
アメリアペンダントを指差しながら尋ねた。
「ああ」
ザイアスがペンダントを握りしめながら、少し辛そうな顔をする。ザイアスが自分から話さないことは、アメリアもマリッサも聞きはしない。必要であれば話すだろうと言う考えであるためだ。
「そっか、これからも頑張ろ」
マリッサが笑顔で言う。
ザイアスはなにも聞かない二人にお礼を伝えた。
二人は早起きをしていたようで少し休むことにして、代わりにザイアスがあまり慣れない手付きで片付けを行った。
その後ノアも起きてきた。
明日の出発までは各々自由に過ごすことになり、ゆっくり体を休めたり、荷仕度をしたりした。
次の日、昼前に出発することとなった。
「今までお世話になりました」
ザイアスは見送りに来てくれた村長に伝えた。
「いえ、こちらこそ、また来て下さい」
「もういくのかい」
「元気でな」
村長、ハンナ、アンネが寂しそうに話す。
二度一緒に飲んだ常連の四人は仕事で見送りができないとのことだった。
「ありがとうございました」
四人は感謝を伝え、バスで村をあとにした。
「次はどこにいくのー?」
「リッシェの東にある国、クリーネだ。あそこの学園都市に向かう」
ザイアスは地図を出して指を指した。
「一度マニフィに戻ってから、鉄道でいくんだよね」
「ああ、詳しいなマリッサ」
「あの学園都市は憧れたことがあるんだよね」
クリーネにある学園都市。いくつかの学園が運営されており、学生主体で成り立っている都市の通称である。
その市では、市長なども学生が特例で務めていたり、治安を守る警備隊なども学生が勤めたりと、世界的にも珍しい場所である。
「簡単にはいれるのかなー」
「いや、セキュリティが厳しいはずだよ。
近くまで行って機会を待つしかないと思う」
ノアの疑問にマリッサが答える。
とりあえず近くまで行き、なにか学園祭などのイベントがあれば入れるとのことなので、機会を待つことにした。




