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過去を炉にくべて⑩の③~やぁ~

 生存報告代わりに久々の更新。短いよー。

 ふぅと一息吐いて、額の汗を拭う。

 極限にまで高められた集中力の中、ミスの許されぬ戦いは予想以上の負担をグリムに強いた。

 氷で造られたドラゴンの背で、玉座を模した椅子に座っていただけだというのに下着が汗で濡れている。前髪はぺたりと額に張り付いており、貴族として人前に出るには不格好だった。


 分かっていた事だが、本来一国総出で相手すべき老年竜を個人で対処するには荷が重すぎる。相手が本気で攻めてきていないからと、少し張り切りすぎたようだ。


「もう堪能しただろう」


 紡がれた声音は、疲労を隠しきれておらず若干草臥れていた。


 老年竜はそんなグリムの様子に、余裕綽々である事をアピールするがの如く蜥蜴顔をニィと歪めて見せた。


 一瞬、信仰装具を出してやろうかという思考が脳裏を掠めた。が、すぐに思い直す。信仰装具は便利な道具ではない。先祖代々の思念が宿っている象徴だ。意味もなく振り回すものではない。


 氷の竜と老年竜は滞空する。刺激に飢えた竜の欲求は満たせたらしく、攻撃してくる気配はない。


「……本題に入ろう。貴様からすればこう言う表現は適切ではないだろうが、何故攻め込んできた?」


 グリムの脳裏に思い描かれたのは昨夜のドラゴンステーキだった。しかし、竜は同胞を殺された程度で人間を滅ぼしに動く程狭量ではない。何故なら、竜とは転生するからだ。


 朽ちた際に力を宿した魂は肉体から乖離し、長い年月をさ迷い新たな体へと宿る。記憶は継承されないが、転生体は前世と同等かそれ以上の力を手に入れるとされていた。


 転生を繰り返し、最強へと至る。それがドラゴンである。


 竜にとって死とは、寧ろ望むものだろう。


『我等の同胞。その魂を回収しに来た』


 重くのし掛かる様な、重厚な声音で老年竜は答えた。


「回収だと? 済まないが説明して欲しい。それだけでは分からない」


『同胞の魂は分割され、二人の雌に吸収された。我等は魂を追い掛け、ここへとやって来た』


「…………」


 幼い頃から英才教育を受けたグリムの頭脳は、散りばめられた情報を繋げ一つの結論へと辿り着いた。見落としや早合点がないかと何度も検討し、それでも結論は変わらない。


 フィオレとスン……。幼馴染みと義妹の力が突如として強化された時期に、もしも、勇者の手によって竜が討たれたのなら。そして、討たれた竜の魂が二人へと流れ込んだ結果が強化に繋がったのなら。


「回収を諦めてもらう事は出来るか?」


 ある意味で、すがるような提案だった。最悪、信仰装具を喚ぶ覚悟も固める。


『諦めよう』


 けれど、それは余計な心配だったらしい。


 老年竜は、不思議な程あっさりと引き下がった。


「……理由を訊ねてもいいか?」


『我等を創りし天上の者。その使者の力添えとなるのなら、これ本望』


 そう告げた老年竜は、王都のある地点へと視線を向ける。釣られてグリムも魔法で強化してから目をやると、何故か色情魔と勇者一行が戦いを繰り広げていた。何やってんだあいつ等。


『礼を言う。長年の倦怠がようやく晴れた。いずれまた、会おう』


 一方的に告げると、老年竜は背を向けて飛び去って行った。傍観していた青年竜達も、戸惑った様子を見せながら後へ続く。


 彼等が完全に見えなくなるまで見送ってから、グリムはようやく体から力を抜いた。


「……めちゃんこ疲れたぴー」


 ずりずりと氷の椅子から滑り落ち、これ以上ないぐらいにだらける。誰も見た事の無い、グリムの姿だった。

友人「そういやさ、作者の軍師物って見た事ないよな」(ランキング見ながら)

作者「ん? データクラッシュした中に入ってた筈だけど?」

友人「マジ? タイトル何?」

作者「ぺらっさぺらっさおんどらべーん」

友人「それかよ! 普通にスルーしてたわ! つぅかするわ! そんなの!」

作者「確かー、んー? ラノベ一巻分の文字数だった覚えがあったり無かったり、らじば○だり」

友人「読んどきゃ良かった」

作者「でもなー、軍師物って書いてて疲れるのよ? 自分の性格上、なんちゃって軍師とか書きたくないじゃない? で、ワンサイドゲームとか何それくっそつまんないじゃん? 単品ユニットを強くし過ぎる訳にはいかないじゃん? 地図と地形考えるのもメンドイじゃん? 戦略もワンパターンだとゴミじゃん? ぶっちゃけあれ以上書けって言われても無理っす。戦記物はね、好きな人が書くから面白いんだよ。引き出し沢山あるから」

友人「そういうもん?」

作者「そういうもん。後はどう分かりやすく説明するかで頭を悩ませる」

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