獣人の疑問
「支配者って何なんだ?」とウェルが聞いた。「俺たちを支配していたのか?」その顔には曇りが見える。
「支配者は、かつてこの世界を支配していた存在、千年戦争で私たちが退けた相手、そしてあなたたちの敵です」偉そうにリベルタス様が言った。あなたさっきその話知らなかったじゃないですか「その話をする前に、話しておくべきことが幾つかあります」
「そうですか……」ナレッジ・ハルが何か言いたそうだ。「オムニスと戦わねばならないのですね」
「私、オムニスの話を聞くたび、怖くて姉様に泣きつきました」とミネルヴァ。
「まずは、先ほどの伝承で言うところの力、寿命、生命についてです。あなたがた種族の能力は、バランスが取れています。どの種族も突出して優れていないということです。寿命も皆100年程度。それぞれの間で大体の子どもも作れる。これが力、寿命、生命ということだと思うのですがあってますか?」
「一般的にはその解釈です」とミネルヴァ。
「ふむ。なら一旦質問コーナーにしましょうか」
「質問させてください」とアダム。
「うーん。どうしようかなー」とリベルタス様。
「なんか私達だけ扱いひどくないですか?」
ナレッジ・ハルが賢者ミラドリス様の方を見、ミラドリス様はナレッジ・ハルを手で制する。
「そんなことは……、えーっとそれで質問は?」
「さっき6種族って言ってましたよね。どうして1種族減ったんですか? それで、どうしてそのことを誰も疑問に思わないんですか?」
いわれてみれば……。さっきの1150年の方は覚えているのにうっかりしてた。私も口を開こうとしたが……。
「フェニカさん。何も言わないでくださいね」とリベルタス様に先を越された、笑顔で。「はい。いつまでですか?」
「あなたの身体の話が終わるまでです」長いよ。
「長いですね」と返すと、「魔法で黙らせますよ」と言われたので黙ることにする。
「この話、私よりちゃんとできるのは……」
「俺だ」とヴァンが言う。「僕も」とレイが言う。「いいえ、私が話しましょう」とミネルヴァ。「この話を当事者にさせるのは酷です。無関係なエルフが話します。私では不十分なところをお二人が補足してください」とミネルヴァが言うと
「「わかった」」と二人は納得する。
ミネルヴァの話が始まった。




