真実を知る者
「待て、あんた生き物じゃないな」ヴァンはそう言った。切っ先はまだ喉のすぐそばにある。ナレッジ・ハルの方は切っ先もヴァンも見てはいない。
「え、生き物じゃないってどういうことですか? ロボット?」とリベルタス様。ロボットという単語は多分この世界にはない。そういえばさっきスルーしたけど、リベルタス様私と同じ世界の出身なんだっけ?
「ミルドリス様いかがなさいますか?」とナレッジ・ハルは抑揚のない声で言う。ヴァンの事は全く障害とは思っていないらしい。
「リベルタス、ヴァン、フェニカ、ウェル……。隠し事は無しにしよう。私も知っていることはすべて話そう」と校長、賢者ミルドリス様は言った。
「一つだけ……フェニカちゃんのどうしても隠したい秘密だけは隠したままでも良いでしょうか? プライベートなことなので」とリベルタス様。
多分転生のことだろう。ありがたい。
「戦局に影響がないと思うなら、そのくらいは構わない。どうだね、ヴァン、ウェル?」とミルドリス様。
「俺は観念した。他言しないのなら俺たちの秘密をすべて話そう。無論、こいつや他のやつらが俺たちのことを言い触らさないなら……だ」こいつと言いながらコンコンとナイフの柄でナレッジ・ハウの頭を叩いてそして……
ヴァンはいつの間にかリベルタスさまの隣の地面に座り込んでいた。なんだこの瞬間移動。
「ウェル。あなたは契約の通り、他言しない。これで良い?」
「それが我が帝国の平和に繋がるならそれで良い」
「本当か? ウェル」ヴァンはいつの間にかウェルの目の前に立っていた。
「私が一度でもお前の前で嘘をついたことがあったか? ヴァン」
「人間は、一度も嘘をつかないのが美徳だと思っている。だが実際は、常に嘘をついているやつのほうが信頼できるのさ。正直者の嘘は真実と思われ、嘘つきの真実は嘘だと思われる。
それにだ、そもそも三ヶ月の付き合いで何が分かる?」
二人は睨み合った。
そして……
「ではこの場で全員に魔法をかけましょう。最初にかけた口封じの比ではない呪いレベルのやつを。秘密契約呪文です」
最初に口封じの呪文かけてたんですか。初耳です。
「問題のある方は?」
「本当に黙っていることが帝国のためになるんだろうな?」とウェル。
「私の考えは先に話した通りです、ウェル」「わかった」ウェルは承諾した。
リベルタス様はぶつぶつと呪文を唱えそして……、なんか発動した。




