昨夜はお楽しみでしたね
「あ、お姉ちゃんおはよう」
朝が来た。ミネルヴァは、昨日泣いた分元気そうだった。
朝食は同期同士同じテーブルだった。アリシアはしょんぼりしていて、レイはなんか昨日よりピカピカしていた。
「あれ、アリシアさんなんかやつれてませんか?」
ミネルヴァが率直に口に出す。聞いてやるな。
「俺は……、俺は……、もうダメかもしれない」とアリシア。
「ふふふ、何がダメなのかなぁ」とレイ。いや、アリシアがこうなった原因お前だろ。
ここで追い打ちをかけるのは気がひけるが、リベルタスさまに頼まれたしなぁ、伝えないと。とか考えていたら、先にアリシアが聞いてきた。
「で、どうだった? リベルタス様なんだって」
「二度と戻す気は無いから、薬使っちゃえって」
アリシアは泣きこそしなかったが、すごい悲壮な表情だった。
「ねえ、だから僕が言っただろう? 新型は依存性なくすことに成功したから授業にも影響出ないしぃ。とっとと投薬始めちゃおう。邪念は全部僕が食べてあげるからぁ」
依存性なくなったのか、やばい薬だな。っていうかお前の食べるって性的な話だろ。いいのかこんな時間にそんなこと話して。
「薬? アリシアさん何か病気なんですか?」
何も知らないミネルヴァが、素直に心配する。病気といえば病気だが、ミネルヴァはまだ何も知らない方がいい。
「ミネルヴァ。あの二人の言うことは基本的に気にしちゃんダメよ」
アリシアが言った。
「俺を混ぜないでくれ。やばいこと言ってるのレイ様だけだろ」
様付けかよ。何があったんだお前ら。
「レイ様? お姉ちゃん、何でアリシアはレイ様って呼んでるのかなぁ?」
そういえば私もお姉ちゃん呼びさせてたわ。
「お姉ちゃん?」とレイ。「二人の間に何があったのかなぁ? 昨晩はアリシアに夢中で他の部屋まで気が回らなかったよぉ」
「昨晩は……って、他の部屋の様子分かるの?」
「性的なやつは全部わかるよ」
こいつダメなやつだ。気をつけないと。っていうか俺とミネルヴァはプラトニックな関係だ。断じて。
「皆様仲がいいですわね」
と声をかけられる。一番胸がでかいからマナカだ、多分。
「朝からわぁわぁきゃあきゃと、あなたたち帝国士官候補の自覚ありますの?」
怒られちゃった。




