初陣:アンデッドとの戦闘、そして淡い初恋
「あんたたちの初の単独クエストはねぇ。色々悩んだのだけど、アンデッド狩りにしようと思うの。それでもいいかい?」
「はい」3人仲良く声をそろえた。
「ちなみに何故アンデッドかというとだねぇ。ちょうど聖なる品物を扱う商人が来ていてねぇ。ほらあそこにいるドワーフだよ。グムリ、この子たちが例のパーティさ」おばちゃんはグムリと呼ばれた人間に向けて声を張り上げた。「まずミランダ。あんたは、アンデッドによく聞く聖なる魔法を私が教えてあげよう。そして、ニナ、フェニカ。あんたたちはグムリから聖なる武器を買うといい。聖なるアイテムがあれば、鬼に金棒さね。今の実力なら十分戦えるだろう」
「ありがとうございます」3人声が揃った。
俺はグムリから聖なる剣を買った。聖なる剣は不浄なるものに対して効果的らしい。
「じゃあ、三人とも準備はいいかい? がんばっておいでー」
指定された場所は、村近くの森の中だった。森は俺たち三人が得意とする戦場だった。
アンデッドは本来暗い場所にしか出現しない。しかし、アンデッドの出現場所は嫌な感じがするからわかる。俺たちは森の一角から不吉な何かを感じ臨戦体制に移る。ミランダが呪文を唱えた。
ミランダの呪文で姿を隠せなくなったアンデッド達が姿を現した。骸骨が3体と……あれは……首なし騎士? おばちゃんは、デュラハンが出るとは想定していなかったんじゃないかと思う。デュラハンは打たれ強く、馬に乗っているので、厄介だった。俺たちの戦闘力からすると少し背伸びした強さ。だからこそ、勝てた時には、もっと強くなれる。
「私がデュラハンを抑えるから、その間に二人は骸骨を処理して」そう叫ぶと俺はデュラハンに突撃する。
「不死鳥の一太刀をうけよ」そう叫ぶと、デュラハンの肩に一太刀を入れる。しかし、デュラハンの鎧に弾かれ、後ろに仰け反る。もし夜だったら俺はそこで殺されていただろう。しかし、昼のデュラハンは動きが遅く、手に持った槍で俺を貫くまでの動きが緩慢だった。なんとかデュラハンの槍を立てで弾く。
「鎧は硬いから、まずは馬から」ミランダが叫んだ。見ると骸骨は全て浄化が終わっていた。さすが俺の仲間達。ミランダはバフ呪文の詠唱に入る。
俺は、馬に一太刀を浴びせる。首を叩き切るつもりで剣を振り下ろしたが、半分しか切れなかった。今日の俺はイマイチいいとこ無しだ。再びデュラハンがゆっくりと槍を構えたので距離をとる。
「私が馬をやる。だから本体を」とニナはいうが早いが騎馬の左前脚に何本も矢を射かける。その狙いは的確で、馬がバランスを崩した。バフの詠唱も終わった。
デュラハンの本体がゆっくりと落馬する。俺はそれに合わせて全力で切り掛かった。不思議と、鎧ごときれる気がした。身体中には仲間の力が、不死鳥の力がみなぎっている。
スッと音を立て、デュラハンは真っ二つになった。そしてそのまま、鎧と骨を残して消えた。
「やった」と私が叫んだ。
「勝った」とミランダ。
「お疲れ」とニナ。
三人で抱き合って喜んだ。帰り道、私はニナに話しかけた。
「ねぇ、ニナ」
「何? フェニカ?」
「帰ったら話したいことがあるの。いい?」
「なぁに、大切なこと?」
「うん」
私はニナに想いを伝えたかった。
次回告っちゃいます